三つの疑問

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『財政均衡主義の払拭を①』三橋貴明 AJER2014.10.21(2)

http://youtu.be/xKv1OE-9LaY

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 新潟にいます。さすがに、寒くなって参りました。

 寒いと言えば、このニュース


『「景気条項」削除を検討=消費再増税先送りで-政府
http://www.jiji.com/jc/zc?k=201411/2014111400952&g=eco
 政府は14日、来年10月の消費税10%への引き上げを1年半延期するのに合わせ、経済情勢が好転していなければ増税を先送りする「景気条項」を、消費増税法から削除する方向で検討に入った。財政健全化への意思を市場に明確に示し、金利急騰(国債暴落)といった混乱を未然に防ぐのが狙いだ。
 安倍晋三首相は、消費税再増税の先送りを決めた上で、来週中に衆院を解散する方針を固めている。
 消費税率を今年4月に8%、来年10月に10%へと2段階で引き上げる消費増税法には、付則として「景気条項」がある。経済状況を見極め、増税するかどうかの最終判断を、政府が行うことを定めたものだ。

 安易な先送りが繰り返されれば、日本国債が市場の信認を失い、売り浴びせられる恐れがあるとの指摘がある。こうした懸念を取り除くため、同法を改正する際に景気条項を外し、10%への引き上げ時期を確定させるべきだとの主張が財務省を中心に強い。
 ただし、今後の法改正の国会審議では、野党を中心に、条項の維持を訴える声が上がる可能性もある。』


 「政府は」という単語で始まっている記事ですが、実際に「安倍政権」なのかどうかは、現時点では分かりません。日本の新聞は、産業競争力会議の一メンバーの発言すら、平気で「政府が検討」と書くほど、無茶苦茶です。


 とはいえ、財務省が消費税増税の「景気条項」を削除させようと動き出していることは間違いないようです。すなわち、今回の総選挙において(解散するとして)、17年4月時点の消費税率10%引き上げを「確定」にしようと図っているわけです。


 記事にもありますが、消費税増税の根拠法である社会保障と税の一体改革法では、附則十八条(景気条項)がありまして、増税するかどうかを「政府(総理大臣)」が判断すると書かれています。すなわち、安倍総理が現在の経済指標の悪化を受け、
「適切に判断し、増税を先送りします」
 と決定することは、法律に則った行為なのです。(というわけで、何故に解散総選挙なのか、未だに納得がいかないのですが)


 いずれにせよ、消費税増税を延期しようが、凍結しようが、税率を引き下げようが、日本国債の金利には影響しません。日本国債は別に、「市場の信認」という得体の知れないものにより買われているわけではないためです。


 日本国債は、デフレ深刻化で貸出先が乏しい中、銀行などに集まる預金(や保険料など)の運用先が見当たらない結果、買われてきました。当然、日本国債は100%日本円建てです。


 「市場の信認」とやらが日本国債を売ったとして、手に入った日本円を、一体、どうするのでしょうか。何しろ、日本円は日本国内でしか使えませんので、「外国に投資」するわけにはいきません。結局、日本国債を売って手に入った日本円で、日本国債が買われることになるでしょう(何しろ、他に運用先がない)。


 このポイントは、「外貨(特にドル)」建ての国債と決定的な差異になります。例えば、アルゼンチン政府にドルを貸し付けていたとして、ドル建てのアルゼンチン国債を「売り浴びせ」した金融機関は、手に入ったドルを「世界各国」の政府に貸し付けることが可能です。アルゼンチン政府のドル建て国債には、「競争」が存在していることになります。アルゼンチン政府は、「他の国の政府」にドルを貸し付けられるリスクを持っているのです。


 同じ話は、ユーロでも言えます。ギリシャ政府にユーロを貸し付けている金融機関は、ギリシャ債を売却し、ユーロを別のユーロ加盟国に貸し付けることが可能です。すなわち、選択肢があります。


 それに対し、日本国債の場合は選択肢がありません。もちろん、日本国内で事業を行う民間に貸すという選択肢もありますが、そもそも民間への貸出が伸びないからこそ、日本国債が買われているのです。


 さらに、日本政府は「日本銀行」という子会社を持っています。日本銀行は日本円の通貨を発行し、日本国債を買い取り、政府の借金を「チャラ」にすることが可能なのです。というか、実際にやっています。


【2014年6月末時点 日本国債所有者別内訳(総額は840.8兆円)】

http://members3.jcom.home.ne.jp/takaaki.mitsuhashi/data_48.html#kokusai


 今回から「日銀保有国債」について、薄いグレーで表現しています。今年6月末時点で、日銀が保有する国債は全体の18%を上回っており、そろそろ20%を突破しているでしょう。日銀が保有する国債については、政府は返済する必要がなく、さらに利払いも不要です。一応、日本政府は日銀保有の国債に対し利払いをしていますが、連結決算の決まりにより、日銀決算後に「国庫納付金」として返済されています。親会社と子会社のお金の貸し借り、利払いは、連結決算で相殺されてしまうのです。


 というわけで、「市場の信認を失い、国債を売り浴びせられる」と主張する人は、以下、三つの疑問に答えなければなりません。


1.消費税延期がほぼ確定したにも関わらず、長期金利が0.48%と、相変わらず世界最低の超低水準で推移しているのはなぜか?

2.国債を売り浴びせ、日本円を手にした人は、その日本円を何に投資するのか?

3.日本銀行が国債を買い取ることで金利の抑制が普通に可能な日本国債の金利が、なぜ「急騰」するのか?


 上記、三つに論理的に答えられない限り、
「安易な先送りが繰り返されれば、日本国債が市場の信認を失い、売り浴びせられる恐れがあるとの指摘がある」
 といったファンタジックな主張は、「出鱈目」ということになります。


「増税延期で国債金利急騰を主張する人は、三つの疑問に答えるべき」に、ご賛同下さる方は、

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