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『財政均衡主義の払拭を①』三橋貴明 AJER2014.10.21(2)

http://youtu.be/xKv1OE-9LaY

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2014/11/14 東京都トラック協会 ロジスティクス研究会 三橋貴明氏 講演会 テーマ「生産性向上のためのインフラ整備-運送サービスで考える-」

http://ws.formzu.net/fgen/S54394876/

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 明日は文化放送「おはよう寺ちゃん活動中」に出演いたします。
http://www.joqr.co.jp/tera/


 さて、先日、読売新聞に以下の記事が掲載されました。


ノーベル賞経済学者の「日本への謝罪」
http://www.yomiuri.co.jp/economy/20141101-OYT1T50096.html
 米国のノーベル賞経済学者ポール・クルーグマン博士は10月31日付の米紙ニューヨーク・タイムズに「日本への謝罪」と題する手記を寄稿した。
 日本政府と日本銀行が1990年代以降にとってきた経済政策を批判してきたが、欧米の政策に関しても「2008年以降は、日本がかすむほどの失敗だった」と指摘。「我々は、日本に謝らなければならない」と現在の心境を吐露した。』


 東京新聞には、もう少し詳しい内容が掲載されています。


『「欧米経済、もっと悪い」 クルーグマン氏 日本に謝罪
http://www.tokyo-np.co.jp/article/economics/news/CK2014110102000247.html
 米国のノーベル賞経済学者ポール・クルーグマン氏は、十月三十一日付の米紙ニューヨーク・タイムズに「日本への謝罪」と題するコラムを寄せた。一九九〇年代の後半以降、経済を立て直せない日本政府と日銀を批判してきたが「欧米も日本と同じか、それより悪い不景気に陥ってしまった」と自省している。
 財政規律を気にしすぎて政策投資に二の足を踏む欧米の政府や、時期尚早の利上げに走った欧州中央銀行の例を挙げ「(金融危機のあった)二〇〇八年以降の欧米の政策は不十分か逆効果ですらあり、日本の失敗が小さく見えるほどだ」と指摘。
 自身を含む欧米エコノミストが、日本を「先進国の
経済運営でしてはならないことを教えてくれる反面教師」としてきたことを謝罪した。
 欧州では経済が低迷を続け、景気が堅調とされる米国でも賃金や物価の伸び悩みが懸念されている。コラムには長期のデフレに陥った日本の経験に学べない欧米のエコノミストや政策決定者への皮肉が込められている。(後略)』


 東京新聞の記事でも、クルーグマン教授が一体何を「謝罪(東京新聞の記事にもある通り、欧米のエコノミストや政策担当者に対する皮肉でしょうけれども)」したのか、今一つ分かりません。「財政規律を気にして政策投資に二の足を踏む欧米政府」という文言で、ピンときた方はいるかも知れませんが。


 元々のソースは、クルーグマン教授がコラムニストを務めるNYTです。


【Apologizing to Japan -Paul Krugman 】
http://www.nytimes.com/2014/10/31/opinion/paul-krugman-apologizing-to-japan.html?_r=0


 上記、コラムにおいて、クルーグマン教授が何について「謝罪」するべきと書いているか。該当部分を引用します。


『What policy failures am I talking about? Start with government spending. Everyone knows that in the early 1990s Japan tried to boost its economy with a surge in public investment; it’s less well-known that public investment fell rapidly after 1996 even as the government raised taxes, undermining progress toward recovery. This was a big mistake, but it pales by comparison with Europe’s hugely destructive austerity policies, or the collapse in infrastructure spending in the United States after 2010. Japanese fiscal policy didn’t do enough to help growth; Western fiscal policy actively destroyed growth.
Or consider monetary policy. The Bank of Japan, Japan’s equivalent of the Federal Reserve, has received a lot of criticism for reacting too slowly to the slide into deflation, and then for being too eager to raise interest rates at the first hint of recovery. That criticism is fair, but Japan’s central bank never did anything as wrongheaded as the European Central Bank’s decision to raise rates in 2011, helping to send Europe back into recession. And even that mistake is trivial compared with the awesomely wrongheaded behavior of the Riksbank, Sweden’s central bank, which raised rates despite below-target inflation and relatively high unemployment, and appears, at this point, to have pushed Sweden into outright deflation.』


 以下が訳です。例により、三橋の超訳なので、修正するべき個所がありましたら、コメント欄でご指摘ください。


『私は何の政策的な失敗について話しているか。まずは、財政政策だ。誰もが知っているが、1990年代前半、日本が怒涛のような公共投資で経済を活性化させようとした。あまり知られていないのは、1996年以降、政府が消費税を引き上げたにも関わらず、公共投資が急速に縮小し、景気回復に向けた動きを潰してしまったことだ。これは大きな間違いだったが、ヨーロッパの破滅的な緊縮財政、あるいは2010年以降のアメリカのインフラ投資の削減よりはましだ。日本の財政政策は経済を成長させるためには不十分だったが、欧米の財政政策は積極的に成長を破壊した。
 あるいは、金融政策だ。日本銀行(日本の連邦準備制度理事会に相当する)はデフレに対しあまりにものんびりと対応し、少しでも景気拡大局面になると金利の
引き上げに熱心になったことで、多くの批判を受けている。その批判はもっともだが、日本銀行は、2011年に金利の引き上げを決定し、欧州を不況に叩き込んだ欧州中央銀行ほど愚かだったわけではない。
 さらに、日本銀行の間違いは、スウェーデンの中央銀行よりはましだ。スウェーデン中央銀行はインフレ目標を達成しておらず、失業率も比較的高いにも関わらず金利を引き上げ、現在のスウェーデンを明らかにデフレに落ち込ませたように見える。』


 ポイントがお分かりでしょうが、クルーグマン教授は、まずは欧米政府の「財政出動の不足」「緊縮財政」について猛烈に批判しているわけです。何しろ、ズバリ「まずは、財政政策だ」と、書いているわけでございます。


 また、クルーグマン教授は1997年以降の日本政府の緊縮財政について、「大きな間違いだった」と評しています(間違いでした)。とはいえ、2008年以降の欧州の破滅的な緊縮財政よりはマシだった、と。

「本当かな?」

 と、思われた方がいらっしゃるかも知れませんが、ギリシャのGDPが08年のピーク(2332億ユーロ)から13年には1820億ユーロに落ち込んでしまった、つまりはGDPが22%も減ってしまったことを知れば、ご納得されるのではないでしょうか。


 それはそれとして、我が国の長期デフレも深刻な問題です。何しろ、日本国民の実質賃金のピークは1997年であり、それ以降、継続的に国民が貧困化していっているのです。


 それにしても、クルーグマン教授のコラムのポイント、すなわち、
日本の90年代の財政政策の拡大は正しかった
97年以降の緊縮財政は間違っていた
 といった部分を報じないマスコミに、存在価値があるのでしょうか。別に、「マスコミ」という業態に存在価値がないとは言いませんが、少なくとも現在の国内マスコミは「情報」を生業にする企業としては、明らかに失格だと思うのです。



「現在の国内マスコミは「情報」を生業にする企業として失格」に、ご賛同下さる方は、

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