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『いわゆる国の借金①』三橋貴明 AJER2014.9.23(3)

http://youtu.be/Kh8vo8Zjc2I

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一般参加可能な講演会のお知らせ

2014/11/04 『Voice』特別シンポジウム「2015年の安倍政権を占う」

小浜逸郎氏、藤井聡氏、三橋貴明氏、柴山桂太氏が安倍政権の経済政策を斬る! http://voice.peatix.com/

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 日本では電力各社の送電網のキャパシティがボトルネック(制約条件)となり、FIT(再生可能エネルギー固定価格買取制度)の受付がストップしていますが、ドイツはすでに日本に先行して「終了」の方向に歩いていっています。

 2014年7月11日。ドイツの連邦参議院(上院)は、再エネ法(EEG)改正法を可決しました。改正法では、
(1) 再生可能エネルギーにより発電される容量を限定する
(2) FITの固定買取価格を引き下げる
(3) 大量に発電する事業者には、将来は固定価格ではなく、卸売市場で電力を販売することを義務付け、送電網の負担を減らす

 と、なっています。


、フィナンシャルタイムズ紙が社説を書いていました。

 ドイツの電力サービスについて


[FT]ドイツの脱原発政策は矛盾だらけ(社説)
http://www.nikkei.com/article/DGXLASGM07H0H_X01C14A0000000/
 ドイツのメルケル首相は、欧州で最も頼もしい政治家と評されてきた。欧州連合(EU)における経済大国というドイツの確固たる地位を築いたのである。だが、メルケル首相の内政における判断がすべて正しかったわけではない。ドイツ経済に影が差すなか、メルケル氏の8年間の首相任期中で最悪の決断に注目が集まるのも当然だろう。それは、ドイツのエネルギー政策から原子力という選択肢を消し去るという政策判断である。
■電気料金、消費者へ転嫁 欧州平均の1.5倍(後略)』


 ドイツの再生可能エネルギーは、発電全体の23%を担っているのですが、本ブログで散々解説した通り、太陽光にせよ風力にせよ「最大」の発電容量に含めることはできますが、「安定」的な発電源ではありません。しかも、最大の発電ができるかどうかはお天気任せで、人間の自由にはなりません。


 電力サービスの需要は、これまた電力会社の自由にはなりません。予想に反し、暑くなるだけで、エアコンによる電力需要が急増し、電力会社は何らかの発電源で対応しなければならないのです。

 発電需要の変動への対処は、再生可能エネルギーではできません。これは、再エネ好みの方々にとってはご不満かも知れませんが、厳然たる「事実」なのです。


 しかも、ドイツのFIT(日本のFITのモデル)は消費者に再エネ賦課金として負担を押し付けます。現在、ドイツ国内の電力料金は、欧州平均の1.5倍に達しようとしています。中小企業の場合、再エネ賦課金の減免がないため(大企業はあるのです)、アメリカの二倍の電気料金を負担しています。


 その状況で、ドイツは脱原発を目指しているわけですが(現時点ではしていません)、国内のエネルギー需要を満たす「安定電源」として、石炭火力に頼らざるを得ない状況になっています。すでに、石炭火力の急増は始まっておりまして、今後10年から15年後までに、ドイツは9基の石炭火力発電所を新たに稼働させることになっています。2013年の石炭火力による発電は、90年以来の最高水準に達しました。 


 「再エネ普及+原発廃止」 の組み合わせについて「エコ」だと信じている人は少なくないでしょうが、現実には違います。再エネで原発を代替することは不可能であるため、結局は別の「安定的発電源」が増えるだけの話なのです。すなわち、火力発電です。


 FT紙は後略部において、ドイツのエネルギー政策について、
「ドイツのエネルギー政策のパラドックス(逆説)は無視できない。ドイツは二酸化炭素(CO2)の排出量削減に取り組む一方、石炭火力発電所を増設しようとしている。太陽光にはたいして恵まれていないのに、太陽光発電に多くを託してきた。採算のとれていた原発を閉鎖する一方、フランスの原発から電力を輸入している。」
 と、書いています。


 日本の場合、原発を本当に廃止してしまった場合、何を代替電源とするのでしょうか。再エネが頼りにならない以上、現時点では「ガス火力」以外の選択肢がありません


 ちなみに、ドイツが石炭火力に原発を代替させようとしているのが、国内から石炭が取れるためです。ドイツにとって、石炭火力は「自給エネルギー」なのです。


 それに対し、日本はガスをほとんど自給できません。しかも、外国からパイプラインで輸入することすらできず、LNG(液化天然ガス)と化した天然ガスを、タンカーに詰め込んで何週間もかけて日本列島に運び込んでいます

 自給できないエネルギー源に、原発を代替させる。安全保障上の「自殺行為」以外でも何でもありません。


 結局のところ、現在の日本にとって「原発再稼働」以外の選択肢はないも同然なのです。「いや、ある!」と主張するならば、どうか具体的な提言をしてくださいませ

 わたくしは別に、イデオロギー的な原発推進者ではありませんので、具体的な「実現可能な案」が示されたならば、議論をするにやぶさかではありません。現在の日本のエネルギー戦略にとって重要なのは、感情的ではない、冷徹な真っ当な議論です。


 というわけで、議論のとば口になればということで、10月23日にKADOKAWA/中経出版から「原発再稼働で日本は大復活する! 」が出版されます。



エネルギー政策について「感情的ではない、真っ当な議論をしよう」に、ご賛同下さる方は、

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