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『いわゆる国の借金①』三橋貴明 AJER2014.9.23(3)

http://youtu.be/Kh8vo8Zjc2I

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一般参加可能な講演会のお知らせ

2014/11/04 『Voice』特別シンポジウム「2015年の安倍政権を占う」

小浜逸郎氏、藤井聡氏、三橋貴明氏、柴山桂太氏が安倍政権の経済政策を斬る! http://voice.peatix.com/

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 明日は6時から文化放送「おはよう寺ちゃん活動中」に出演します。

http://www.joqr.co.jp/tera/


 さて、本日、メルマガに藤井聡先生が極めて重要なエントリーをご投稿されましたので、本ブログに転載致します。バシバシ、ご拡散頂ければと存じます。


『【藤井聡】「公共事業による民需阻害」という「事実誤認」
http://www.mitsuhashitakaaki.net/2014/10/07/fujii-111/

 政府の「経済財政諮問会議」では,いよいよ次年度予算の内容についての本格的議論が始められました.
http://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/minutes/2014/1001/interview.html
 これは次年度の予算,すなわち,次年度の政府の取り組みの大枠を決定するための,極めて大切な会議で,その様子は様々に公表,報道されています.中でも,重要論点の一つとして議論されたのが,以下の視点です.
「公共投資への過度な依存、民需主導の成長阻害=諮問会議民間議員
http://jp.reuters.com/article/businessNews/idJPKCN0HQ3L620141001
 実際,会議後の甘利大臣からの記者会見でも,次のようにまとめられています.
『民間議員から、「公共事業は、資材・人件費の高騰もあり執行度が低い...(だから)公共事業によるクラウディングアウト(に)注意が必要である.」』
http://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/minutes/2014/1001/interview.html

 この発言に対応するのが,政府HPに公表されている「民間議員の提出資料」の中の以下の下りです(民間議員とは,東京大学の伊藤元重教授らをはじめとした,財界関係者とエコノミストら四名の方々です).


 公共事業の過度な拡大が民需主導の持続的成長を阻害する可能性
http://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/minutes/2014/1001/shiryo_01_2.pdf  のP2の図2あたり)


 もちろん筆者は,それがいかなる事業であろうと,それが政府のものである以上,優先順位を決め,絞り込みを行っていくべきである,と考えます.
 しかし,上記の「民間議員からの意見」には,これだけ短い文章であるにも関わらず
『いくつもの間違い』
 が含まれています.
こうした「間違い」に基づいて議論が重ねられ,政策判断がなされてしまえば,「効果的な財政の執行」が阻害されてしまうことにもなりかねません.
 以下,それら「間違い」を一つずつ指摘して参りたいと思います.


(1)公共事業の執行度は「低い」 ⇒ 正しくは,『高い』
 これは,今回の間違いの中でも,特にシンプル(かつ深刻)な間違いです.
 民間議員の意見として,「公共事業の執行度は低い」と断定的に書かれていますが,そういう事実はありません.
 実際は,去年よりも,今年(6月時点)の方が執行度が1~2割弱程度も「高い」のです.
https://www.facebook.com/photo.php?fbid=563863303714617&set=a.236228089811475.38834.100002728571669&type=1&theater
 また,いわゆる「不調不落」(政府から募集しても,業者が決まらない現象)については,今年は去年よりも一昨年よりも低いのが実情です.
 つまり,「公共事業の執行度は低い」という事実は存在しないどころが,実情は,その真逆に「高い」のです.


(2)資材の高騰もある ⇒ 正しくは,資材は高騰して『ない』
 では,なぜ,メディア等でのイメージとは裏腹に,実際の今年の執行度は高いのでしょうか?資材が高騰したり,賃金が高騰したりしていては,執行度が低いはず,であるにも関わらず──.
 もちろん新聞やテレビでは,「今日,公共事業のやりすぎの結果,資材が高騰して,建設事業がやりにくくなっている」と言われており,民間議員も,そういう報道にそったご発言,ご提言をしておられます.しかし,こうした報道や指摘は全て「イメージ論」にしか過ぎず,実態においては,そういう事実は,存在してい「ない」のです.
 こちらのグラフをご覧ください.
https://www.facebook.com/photo.php?fbid=569134109854203&set=a.236228089811475.38834.100002728571669&type=1&theater
 確かに一部の資材(赤線)が値上がりしていますが,それらは全て「輸入」資材を主体とするものであって,その値段の変動は,「石油価格の高騰」と「円安の進行」によってもたらされています.
 国内調達ができる資材(黒線)に至っては,ほとんど値段は変動していません.

 つまり,「公共事業のやり過ぎによる資材の高騰」というイメージは,単なるイメージにしか過ぎず,現実には生じていない,という事が,このグラフから読み取れます.


(3)公共事業の拡大が民需を阻害する ⇒ 正しくは,阻害してい『ない』
 この諮問会議での民間議員のご提言の最大のポイントは,「公共事業を増やしすぎて,民間の投資が阻害されている可能性がある」というものでした(民間議員発言ではこれを「公共事業によるクラウディングアウト」と表現しています).この主張はもちろん要するに,「だから,公共事業を拡大すべきで無い,むしろ,削減すべきだ」という趣旨を示唆しています.

 もちろん,そういう『可能性』が存在することそれ自身には,当方もまた同意します.しかし,可能性があるからといって,そのクラウディングアウトが「本当に今,存在している」とは限りません.

 そして事実,実際の状況を考えれば,民間委員の方々が指摘する「クラウディングアウト」なるものは,存在するとは考えがたいのです.
 そもそも第一に,「公共事業が増えすぎて,行政の仕事すらまともに受注することができない,これ以上の仕事を受注できる余裕は無い」というイメージそれ自身が,誤りである,ということは,先に指摘した通りです.
 第二に,同じく先に指摘したように,「公共事業のやりすぎで,資材が高騰している」というイメージも,必ずしも真実ではありません.
 そして何より重要なのは,現在の建設産業の構造を考えれば,公共事業がどれだけ増えても,民間が建設投資をできなくなるということは,考えにくい,という点です.

 そもそも,建設には橋や道路,堤防などを作る「土木」と,ビル等をつくる「建築」の二種類の「分野」が存在しており,両者はきれいに住み分けられています
 多くの業者は土木だけを専門に扱ったり,建築だけ扱ったりしています.土木と建築を取り扱うゼネコン各社ですら,土木と建築の部署は,何から何まで分離されているのが実情です.
 そして,民間投資の大半は建築で,公共投資の大半は土木なのです.
 こうした事実は建設業界の人間にしてみれば,「常識」なのですが,一般のメディア,エコノミスト,経済学者の皆様方にとっては,全く知られていない事実ではないかと思います.
 もちろん,この業界の常識は,データからも明白です.
https://www.facebook.com/photo.php?fbid=569305533170394&set=a.236228089811475.38834.100002728571669&type=1&theater

・・・・

 以上,いかがでしょうか?
 要するに,公共事業がどれだけ増えても,民間の建築事業が大きく阻害されるとは考えがたいし,資材の高騰や,公共事業の執行率も低い,などという事実はいずれも確認できないのです.
 これら以外にも,「人件費の高騰」と言いますが,これについても,大きな誤解があるものと思います.
 もちろん,人件費が,上昇してきているのは事実です.しかし,建設の現場従業者の賃金は,製造業のそれよりも1割以上も低いのが実情です.しかも,「かつて」の水準に比べても,まだ2割程度も低いのです.
(出展:http://www.thr.mlit.go.jp/Bumon/B00097/K00360/taiheiyouokijishinn/kasoku1/140927shiryou1.pdf  のP31)
 つまり,今までデフレのために下がりすぎていた状況があり,それが少しずつ「改善」してきているのが実情です.常識で考えれば,これをして「高騰」と呼ぶ事は難しいのではないかと,筆者は考えます.
 さらに「人手不足」とも言いますが,民間議員提出資料にも明記されているように,今年7月時点での労働力不足率は2%にしか過ぎません.
http://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/minutes/2014/1001/shiryo_01_2.pdf  のp2)
 これは裏をかえせば実は,98%の水準で,つまり「ほとんど」人手は足りてい
る,ということを意味しています.
 もちろん,前年よりも今年の方が不足率は高いわけですが,そのピークの時でも4%に過ぎません.これはつまり裏を返せば,「最悪の状況」においても,96%は人手が足りていた,ということです.
 さらに言うと,人手不足現象は,主として復興やオリンピック需要などがある東日本において生じており西日本においては,求人倍率は「格段」に低いのが実情です.
http://www.thr.mlit.go.jp/Bumon/B00097/K00360/taiheiyouokijishinn/kasoku1/140927shiryou1.pdf  のP30)
 つまり,甘利大臣が記者会見でご報告された,
「公共事業は、資材・人件費の高騰もあり執行度が低い...(だから)公共事業によるクラウディングアウト(に)注意が必要である.」
 という民間議員のご指摘には,これだけ短い文章であるにも関わらず,驚くべき量の誤りが含まれている,という次第です.
 繰り返しますが,資材の高騰も人件費の高騰も必ずしも存在するとは言えず,公共事業の執行度も「高く」,かつ,構造的に考えてクラウディングアウト(公共事業による民業圧迫)を注意する必要性は必ずしも高くない....のが実情であり,したがって,上記のご指摘は全て「逆が真」なのではないかと筆者には思えるのであります(さらにもう一つ付け加えれば,去年よりも今年の方が,実際上公共事業関係費は1兆円以上も低いのです.....).
 是非とも,イメージ論ではなく,きちんとしたデータに基づいた議論が展開され,そ
れに基づいて国の政策方針が定められていきます事を,心より祈念申し上げたいと思います.』


 藤井先生、ありがとうございました。


 結局のところ、伊藤元重氏に代表される、供給制約だのクラウディングアウトだの、公共事業、公共投資を否定しようとする人たちは、
「公共投資はダメ」
 という結論が決まっており、それを裏付けるための「理屈」を強引に作り出すという、例により例によるパターンなわけでございます。


 それ以前に、甘利大臣が「人件費上昇」をクラウディングアウト(実際にはそんなものはないのですが)の言い訳に使っているのは、非常に奇妙な話です。何しろ、現在の日本政府の経済政策の目標は、「デフレ脱却」であるはずなのですから。


 デフレから首尾よく日本が脱却すると、総需要が供給能力よりも大きくなり、デフレギャップ状態からインフレギャップ状態に移行します。結果的に、人手不足、資材不足、機材不足、設備不足等が発生し、人件費が上がる。すなわち、国民の「所得」が伸び始めるわけでございます。


 無論、経営者は人件費上昇分を、自社が販売するモノやサービス価格に転嫁し(そうしなければ、利益が出ません)、全体的に物価が上昇していくことになるわけです。


 現在、土木・建築分野がインフレギャップに移行した結果、国土交通省は労務単価を二度、引き上げました。
 何が問題なのでしょうか?



 藤井先生が書かれている通り、建設業の従業員の方々の賃金は、デフレ期に下がりに下がりました。それが「回復」しているというだけに過ぎず、まことに結構な話だと思うのですが、なぜ「デフレ脱却」を標榜する政府の閣僚が、人件費上昇をまるで「悪いこと」であるかのごとく語るのか、理解に苦しみます


 結局のところ、日本の政治家の多くは「デフレ」あるいは「デフレ脱却」について正しく理解しておらず、未だにデフレ・マインド(とにかく、安ければいい!)に冒されていることが分かるわけです。


 いずれにせよ、この類の「次々に出現する、公共投資否定論」に一つ一つ、反論、対応していかなければ、日本国民の生命や安全が守られない状況が続き、さらに将来的な生産性の向上も実現できないという話です。

 藤井先生も書かれている通り、きちんとデータに基づいた議論をする必要があります。



「きちんとデータに基づいた議論をしよう!」にご賛同下さる方は、↓このリンクをクリックを!

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