分裂する世界

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『「原発ゼロ」の真実①』三橋貴明 AJER2014.7.15(3)

http://youtu.be/txi8clj3I_8

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 先日、ある講演会でご高齢の男性から、
「日本は英仏独などと比べると、十分にGDPが大きいので、もう成長する必要はないのではないですか?」
 という、質問を受けました。それに対する回答は、
中国という問題があります。政府の財政や軍事力はGDPに依存します。税収は(税収弾性値を除くと)名目GDPx税率になるのです。このまま日本が成長せず、中国が一方的に成長し、GDPの規模が十倍になると、財政規模も十倍という話になります。もはや、その時点で日本は中国に抗し切ることができなくなっているでしょう。中国という仮想敵国がある以上、日本も成長するしかないのです」
 と、お答えいたしましたところ、ご納得頂けたようでございます。


 アメリカの「覇権力」が弱まり、国民が厭戦気分に陥ると同時に、中国やロシアなど「グローバリズムのルール」を踏みにじる新興国が台頭してきているというのが現実の世界です。別に、
「日本は即座に、どこの国にも頼らず、自国の力のみで、自国を防衛する自主防衛を実現する必要がある」
 などと、極端なことは言いません(不可能ですし)。ともあれ、中長期的には自主防衛の方向には進まざるを得ないと思います


 そして、自国の防衛という安全保障を「供給」するためには、総需要と潜在GDPを同時に伸ばし、所得のパイを拡大していく必要があるのです。所得のパイとは、要するに名目GDPですが、税収の源泉です。


 政府が「経済成長の果実」として税収を増やし、安全保障のために支出する。国民側は、政府が主導する安全保障という需要を満たすために、潜在GDPを拡大する。結果的に、国民の所得が増え、税収も増える。


 早急に上記の循環にもっていかなければ、日中の経済規模の差は開くばかりで、我が国の安全保障は日に日に弱体化(相対的に)していくことになります。だからこそ、デフレ脱却と経済成長が必須なのです。


コラム:対ロ制裁が告げるグローバル化の終焉 Mark Leonard
http://jp.reuters.com/article/jp_column/idJPKBN0G010E20140731?sp=true
 欧州連合(EU)と米国がロシアに対する制裁を強化する一方、それに対するプーチン大統領の報復措置には、米外食大手マクドナルドへの攻撃も含まれるようだ。地政学が経済のグローバル化を逆行させる例として、これ以上象徴的な動きはないだろう。
 マクドナルドの店舗が世界中に広がれば戦争はなくなるという「紛争防止の黄金アーチ理論」をジャーナリストのトーマス・フリードマン氏が提唱したのは今から15年前。しかし、マクドナルドがモスクワに店舗を開いて約四半世紀が経った今でも、相互依存関係が大国間の対立を終わらせたとは言い難い。それどころか、新たな戦いの場を与えただけではないだろうか。
 どんな関係もこじれる時は同じだが、最初はお互いを結びつけることに使われていた多くのことが、今では溝を深める方に使われている。われわれは過去20年間、世界は1つの村のようになると聞かされてきた。その理由として挙げられていたのは、貿易・投資面での結びつきの拡大と深化、グローバルガバナンスやインターネットの出現だ。しかし、こうした相互依存を深めるための力は、実際には逆方向に作用しつつある。
 以下に、グローバル化の終焉を示す3つの項目を挙げてみたい。
1)自由貿易から経済戦争へ(中略)
2)グローバルガバナンスから競争的多国間主義へ(中略)
3)1つのインターネットの時代にピリオド(中略)  
 冷戦終結後、グローバリゼーションの熱心な支持者らは貿易が紛争の抑止力になると主張した。だが、軍事戦略研究家エドワード・ルトワック氏は、それが間違いだったことが間もなく証明されると語っていた。資本の力が武器の火力に取って代わり、市場が基地や駐屯地が果たしていた役割を演じるようになるが、それでも国際関係を動かすのは貿易ではなく衝突だと。同氏が言うように、われわれは「貿易の文法を用いながら戦争の論理」に従うことになるのだろう。BRICsが世界経済への参加を急いでいた時には、同氏の予言は間違ったように見えたものだが。
 こうした国々が国際社会の一員となった冷戦後の世界は、米国が主導する一極性の安全保障秩序と、自由貿易や経済的相互依存などを通じた統合を目指した欧州主導の法秩序を特徴としてきた。しかし今、米国主導の安全保障は、戦争疲れと新興勢力の台頭によってほころびを見せている。その結果、米国のような大国は国際的な法秩序を武器にする傾向を強めており、武力行使の代わりに制裁に重きを置くようになりつつある
 かつて経済的利益だった相互依存は、今では脅威にもなっている。どの国もグロ-バル経済の
恩恵を逃したくはないが、大国は例外なく、そのリスクから自国をどう守るかを考えている。中国は、米金融危機からの脅威を受けた後、内需重視に向かっている。米国は、イラク戦争の後、エネルギーの自立に向かっている。ロシアは、ユーロ危機の後、ユーラシア連合の創設に取り組んでいる。国際主義的なドイツでさえ、EU加盟国にドイツ型政策を取り入れさせるべく、EUそのものを変えようとしている。
 冷戦終結後、相互依存は紛争終結の原動力だった。しかし2014年現在、相互依存は対立を生み出している。かつてないほど緊密に結びつこうとした25年が終わり、世界は再び分裂に突き進んでいるのではないだろうか。』


 グローバリゼーションの旗の下で、各国が緊密に結びついた結果、逆に「経済制裁」などの武器が有効化してしまった。結局、グローバリゼーションが「国益の衝突」を抑制することはなく、軍事力による制裁が「経済制裁」に変わっただけではないか。という話でございます。


 レナード氏のコラムにもありますが、特に、
「こうした国々が国際社会の一員となった冷戦後の世界は、米国が主導する一極性の安全保障秩序と、自由貿易や経済的相互依存などを通じた統合を目指した欧州主導の法秩序を特徴としてきた」
 の部分は核心をついていると思います。


 1991年にソ連が崩壊し、およそ四半世紀続いた「今回の」グローバリゼーションは、米国が覇権国として主導する安全保障秩序の維持と、自由貿易・経済的相互依存を通じた欧米主導の法秩序により実現したものです。特に、米国の安全保障秩序の主導(要するに軍事力)は圧倒的で、多くの国々は「アメリカナイゼーション」ならぬ「グローバリゼーション」のルールに従わざるを得ませんでした。


 アメリカナイゼーションとはいえ、各国がグローバリゼーションのルールを守ることで、利益を得てきたのも確かです。


 とはいえ、グローバリゼーションとは、経済的に見れば、
資本効率を最大化するため、国内の生産者(労働者)の所得を外国の生産者及び投資家に移転する
 という特徴を持っています。


 資本を外国に移し、「グローバル・スタンダード」に従って生産することで、企業は製品・サービスの品質はそのままに、人件費を削減することが可能なのです。結果的に、株主資本主義下における株主の目的(資本効率の最大化)は達成できます


 反対側で国内の生産者が損をしている(失職する、賃金が下がる)わけですが、「経済学」の理論では、企業が工場を外国に移転した結果、失職した元生産者は、次の瞬間には別の仕事に就けることになっています。仕事は常に存在し、失業率は常に完全雇用の失業率。要するに、セイの法則が前提になっているのです。


 無論、現実には「仕事が不足する」状況がありうるわけで、特にバブル崩壊後のデフレ期には顕著になります。


 08年にリーマンショックが発生しましたが、それ以前から欧州諸国でバブルが次々に崩壊していきました。中国のバブルも、どうやらピークアウトしたようですが、世界の主要国でバブルが崩壊し、インフレ率が低迷。仕事(=需要)の量が不足し始めた状況で、ロシアや中国など、アメリカ主導のグローバリゼーションのルールを守らない新興国が台頭してきた、というのが現在の世界なのです。


 マーク・レナード氏は、コラムを、
「かつてないほど緊密に結びつこうとした25年が終わり、世界は再び分裂に突き進んでいるのではないだろうか」
 と、結んでいますが、わたくしは(個人的には)世界はすでに「統合」から「分裂」の方向に突き進んでいると確信しています。その最初の「インパクト」は、恐らく欧州(ユーロ圏)で発生するのではないでしょうか。


 無論、東アジアも、元々「統合」されていたわけでも何でもないですが、これまで以上に「分裂」の方向に突き進むことになるのでしょう


 分裂する世界において、日本国がいかに生き延びるのか。
 主権者たる国民一人一人が真剣に考え、「政治」と向き合わなければならない、厳しい時代がやってきたと考えるのです。


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