税収弾性値(中編)

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『「原発ゼロ」の真実①』三橋貴明 AJER2014.7.15(3)

http://youtu.be/txi8clj3I_8

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 さて、昨日に引き続き、税収弾性値のお話。(続きものなので、昨日のエントリー から読んでくださいね)


 なぜ、税収弾性値について正しく理解する必要があるかといえば、
「デフレ脱却し、名目GDPが成長すれば、それ以上の%で税収が増える」

 というわけで、消費税増税の理由を否定できるためです。


 今後の日本において、介護、医療等の社会保障支出が拡大するとしても、金額的には精々1.2兆円「程度」に過ぎません。1.2兆円「程度」の支出増など、税収弾性値を無視したとしても、名目GDP3%成長「程度」で賄える金額に過ぎません。


 そして、名目GDP3%成長とは、GDPデフレータベースのインフレ率を3%「程度」にすれば、実質GDPが成長しなくても(実際にはそんなことはないですが)達成できる数値なのです。


 さらに、我が国の昨今の税収弾性値は高まっているため、実際に税収を1.2兆円増やすには、名目GDP3%成長すら不要なのです。


 要するに、
「税収は所得から徴収され、所得の合計が名目GDPであるため、名目GDPと税収は相関関係にある」
「税収弾性値が高いと、税収は名目GDPの成長率以上に増える」
 この二つを理解すれば、「社会保障の財源のために消費税を~」といったプロパガンダに騙されることはなくなるわけです


 というわけで、財務省は我が国の税収弾性値について、何と「1.1」というとんでもない数値を言い張っています。法人企業の7割超が赤字の国で、税収弾性値が1.1などという低い水準であることは、「絶対に」あり得ません。


 実際のところはどうでしょうか?


『【お金は知っている】アベノミクス、今こそ再出発を…狂った「羅針盤」廃棄せよ
http://www.zakzak.co.jp/economy/ecn-news/news/20140725/ecn1407250830002-n1.htm
 21日に発表された産経新聞社とFNN(フジニュースネットワーク)の合同世論調査によると、安倍晋三首相の景気・経済対策を「評価しない」との回答が47・1%と「評価する」を7・7ポイントも上回った。4月の消費税増税後の勤労者家計の実質収入や消費支出の急激な落ち込みが反映した。政府や日銀が強調する個人消費、設備投資とも底堅いという楽観論をうのみにしてきた日経新聞などメディア多数に対し、一般世論は冷静に現実をとらえたわけである。
(中略)

 どうするべきか。今さら、消費税率を元に戻すわけにいかないから、せめて来年10月からの税率10%への引き上げを見送るべきなのは言うまでもない。だが、そうした消費税に限定した議論では、「増える社会保障財源をどうするのか」という財務官僚の論理に押し切られるのがオチである。20年デフレで沈んできた日本経済にふさわしい財政政策をどう位置づけるか、という基本的な路線を明確にすることから再出発すべきではないか。
 そもそも、消費税増税は財政のプライマリーバランス(公債など債務関連の元利払いや公債発行を除く財政収支)を均衡させるために欠かせないという論理が殺し文句になってきた。増税なしで適切な経済政策を実行して景気を浮揚させると税収は自然に増加し、財政収支が均衡に向かうという事実が無視されてきた。
 アベノミクスが成果を挙げた13年度、名目国内総生産(GDP)の前年比伸び率は1・9%であるのに対し、税収総額は6・9%伸びた。GDP増加分1に対して税収がどれだけ増えたかという税収弾性値は3・7である(グラフ参照)。財務省は税収弾性値を1・1程度にしか見ない。
(後略)』


 2013年度の名目GDPは1.9%成長でした。それに対し、税収は6.9%の増加。


 すなわち、税収弾性値は3.7

 税収弾性値を3と置き、名目GDPが今後、2%のペースで成長していくと想定してみましょう(低い成長率ですが)。すると、税収は6%ずつ増えていくことになります。

 現在の税収が50兆円であると仮定すると、毎年3兆円のペースで税収が増えていくことになります。社会保障費の1.2兆円「程度」の増加など、余裕で賄い続けることが可能です。


 要するに、社会保障の財源確保のカギは、
名目GDPの安定的な成長
 なのです。そして、名目GDPは実質的に経済が成長しなくても、日本経済がデフレから脱却し、GDPデフレータベースのインフレ率がプラス化するだけで達成できます(ちなみに、2014年第一四半期すら、GDPデフレータは未だにマイナス0.1%でした)。


 そして、GDPデフレータをプラス化するにはどうしたらいいのか? 誰かが「モノやサービスを購入する」形でお金を使えばいいのです。


 ところが、現実の政府は消費税増税により、国民の消費を減らし、さらに来年度予算で支出抑制を行う緊縮財政路線に向かいつつあります。向かうべき方向が、まるで正反対なのでございます。


「カネを使い、あるいはカネを使わせ、GDPデフレータをプラス化し、名目GDPを成長させることで『財源』が確保される」
 にも関わらず、政府は国民にカネを使わせず、自らの支出をも削ろうとしています。橋本政権、小泉政権が犯した過ちを、そのままなぞろうとしているわけでございます(と言いますか、なぞっています)。


 しかも、今回は橋本政権期(デフレではなかった)や小泉政権期(アメリカの不動産バブルという外需があった)とは異なり、
「外需が不安定で輸出が伸び悩み、国民がデフレマインドに冒され、カネを使いたがらず、家計貯蓄率は1%にまで落ち込み、実質賃金が下落を続けている」
 という最悪の状況で、更なる増税と政府支出削減に踏み込もうとしているわけでございます。


 抵抗しなければなりません。安倍政権の現在の経済政策では、「国民が豊かになる日本」を取り戻すことはできません。
 

 政府に政策転換を迫るには、できるだけ「データ」に基づき、理路整然と、誰にでも分かる形で現状と解決策を説明する必要があります。そのためには、ある程度の基礎知識(税収弾性値等について)が必要です。


 というわけで、明日に続きます。

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