税収弾性値(前編)

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『「原発ゼロ」の真実①』三橋貴明 AJER2014.7.15(3)

http://youtu.be/txi8clj3I_8

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 消費税とは、確かに安定財源です。何しろ、所得(利益)は「景気」の動向で激しく変動しますが、消費はそれほど変わりません。


 理由は、消費は先延ばしが困難であるためです。工場建設を先延ばしにすることは簡単ですが、消費を減らしすぎると国民は餓死してしまいます。


 というわけで、所得に比べると変動が少ない消費に一定の税率をかけ、社会保障のための安定的な財源とすることは、一見、正当性があるように思えます。とはいえ、消費税は安定財源であるが故に、少なくとも二つ、大きな欠陥を抱えているのも確かなのです。


(1) 消費税は景気動向の影響をあまり受けない安定財源であるため、スタビライザー(安定化装置)としての機能を有しない
 
 所得税や法人税は、失業者は赤字企業は払う必要がありません。失業者や赤字企業といった「敗者」の税負担を軽くすることで、彼らの復活を助けます
 逆に、景気が過熱した際には累進性が働き、所得が多い人、企業の税負担が重くなります。税負担を高めることで、景気を抑制することができるのです。


 ところが、消費税には上記のスタビライザーとしての機能が全くありません(少なくとも日本の仕組みでは)。失業者だろうが赤字企業だろうが、消費税は満額支払わなければならず、敗者の負担を高めます


(2) 消費性向が高い低所得者層の税率が高まり、消費性向が低い高所得者層の税率が低くなる


 例えば、所得が200万円のA氏と、1000万円のB氏のケースで比較してみましょう。消費税は面倒くさいので10%で。


 A氏:所得 200万円。消費性向80%。消費160万円。消費税16万円。消費税対所得比率=8%
 B氏:所得 1000万円。消費性向50%。消費500万円。消費税50万円。消費税対所得比率=5%


 上記の通り、低所得者層の方が消費性向が高いという現実がある限り、税率として見ると、どうしても低所得者層の負担が高くなってしまうのです。すなわち、消費税には逆累進性があることになります。


「高所得者層の税負担が低く、低所得者層の税負担が高い」
 というわけで、消費税は格差拡大型の税制でもあります。

 消費税(あるいは付加価値税)の格差拡大効果を抑えるために、欧州の多くの国々では軽減税率を適用していますが、正直、泥縄のように思えます。安定化装置としての機能を持たず、格差拡大型の税金である消費税は、そもそも「欠陥税」だと思うのです。(もちろん、景気の安定化装置など不要で、敗者の負担を軽くする必要などなく、格差拡大型大いに結構! という価値観を持つ方にとっては「欠陥税」ではないのでしょうが)


「ならば、今後の日本で増えることが確実な高齢者向け医療や介護サービスといった社会保障の財源はどのように賄えばいいんだ!」


 というのが、本日以降のテーマですが、とりあえずは税収とは「=名目GDPx税率」プラス「税収弾性値による増加分」で決まるということをご理解頂きたいわけです。


 名目GDPが1%成長したとして、税収弾性値が3であれば、税収は3%増えます。名目GDP100兆円、税収40兆円の国でシミュレートしてみましょう。


 一年目:名目GDP100兆円 税収40兆円 
 ケース(1) 二年目:名目GDP101兆円 経済成長率(名目)1% 税収41兆2000億円 (税収弾性値3
 ケース(2) 二年目:名目GDP103兆円 経済成長率(名目)3% 税収41兆2000億円 (税収弾性値1)


 上記の通り、税収弾性値が3の場合、名目GDP(実質ではありません)が1%成長するだけで、税収は3%増えます。


 あるいは、税収弾性値が1であっても、名目GDPが3%成長すれば、税収はやはり3%増えます。実質ではなく「名目」であるため、GDPデフレータベースのインフレ率が3%になるだけで、税収弾性値が1であっても、税収は3%増えます。税収弾性値が3の場合は、税収は実に9%も増えるのです。


 税収弾性値が存在する理由は、景気が上向く、つまり名目GDPがプラス成長になると、
これまで税金を支払っていなかった赤字企業や失業者が、黒字化、就職し、税金を支払い始める」 
 ためです。すなわち、税金のスタビライザーとしての機能が効いてくるわけです。


 この税収弾性値が「現在の日本ではいくつなのか?」が、極めて問題なのです。何しろ、財務省は「1.1」という、現実離れした数値を公表しています
 それでは、現実の我が国の税収弾性値はいくつなのでしょうか?


 安倍政権は、今のところ来年10月に消費税を「再増税」する方向で突っ走っています。「日本国民のために」この暴挙(というか再暴挙)を食い止めるためには、国民が税金や税収に関する正しい知識を持ち、財務省が繰り出してくるプロパガンダと対抗していかなければなりません

 というわけで、明日に続きます。


「正しい知識で財務省のプロパガンダに対抗しよう!」にご賛同下さる方は、

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