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『移民亡国論①』三橋貴明 AJER2014.7.8(5)

http://youtu.be/0vU6JkETtvs

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 講談社から「あなたの所得を倍増させる経済学 」が発売になりました!


 本日はテレビ朝日「サンデースクランブル」に出演します。(恐らく12時過ぎの登場です)
http://www.tv-asahi.co.jp/sundayscramble/


 さて、6月の戸建て住宅受注が単前年比で35%減と 5月と比べてさえマイナス幅が拡大してしまったため、今後の需給バランスが読みにくいのですが、一応、建設や運送などの業界では人手不足が続いているようです。


 以下は、長野県の報道ですが、二年前に長野県に行った頃は、人手不足という話は出ていませんでした(東京と東北は、その時点で凄まじい人手不足に陥っていました)。ところが、現在は長野県も人手不足に陥っています。予想通り、人手不足が「地域」「産業」を超えて伝播していっているわけです。


運輸・建設業界で強まる人手不足感 受注業務こなせぬ企業も
http://www.shinmai.co.jp/news/20140710/KT140709BSI090009000.php
 長野県内の運輸、建設業界で人手不足感が強まっている。求人を出しても思うように人材が集まらず、受注した業務に対応しきれなくなる企業が目立ち、建設業界では、工事を進められずに資金繰りが行き詰まって事業停止に至る例も。各社は勤務地を限定して採用するなど人材確保に知恵を絞っているが、打開が難しくなっている。
 運送業の信濃陸送(千曲市)は、公共職業安定所にトラック運転手の求人を出し続けているが、2年ほど前から応募がぱたりと止まった。中曽根伊(おさむ)・人事総務部長は「運転手の仕事は、休みが不定期で拘束時間が長い。労働条件を敬遠して応募が控えられているのではないか」と推測する。
 約160人の運転手がフル稼働する状態が続くが「仕事があっても運転手が足りず、新たな仕事を取れない」(中曽根部長)。半年前、上田市や塩尻市など、勤務地を自社の営業所がある地域に限定した募集を始め、2人の採用に至ったが「焼け石に水の状態」という。
 同業のあづみ野(松本市)は昨年11月、全日本トラック協会が安全性優良事業所と認定する「Gマーク」を取得。小口佳伯(よしのり)社長は「労働環境が整っていることを採用面でもアピールしたかった」とするが、目に見えた人材確保の効果はまだ表れていないという。小諸市の運送会社の人事担当者も「消費税増税や燃料費の高騰で利益が圧迫される一方、人手不足で仕事は増やせない。忙しいのにもうからない悪循環」と話す。
 県内のある建設業者は今年5月、人手不足も一因に事業を停止し、自己破産も視野に事後処理を弁護士に一任した。社長(59)によると、鉄骨職人が確保できなかったため、新たに受注した工場の建築を予定通り進められず、資金繰りが悪化した。工場の建築資材を運ぶ輸送業者も確保できず、工期が遅れたのも響いたという。
 長野市の建設会社は3年前、震災復興需要も見込んで、リーマン・ショック後に休止していた新卒採用を再開。だが、応募数は再開前と比べて半減した。人事担当者は「給与待遇を改善して人材確保を進めたいが、資材の高騰などで利幅が減り、難しい」と話している。 』
 

 問題の本質を勘違いして欲しくないのですが、日本は現時点で「真の意味の人手不足」に陥っているわけではありません。何しろ、未だ完全雇用は達成せず、労働参加率も世界最高水準というわけではありません。


 ちなみに、日本の生産年齢人口は約8千万人であるため、労働参加率が2%だけ上がっただけで、新たに160万人もの労働者が市場に参入することになります(実質賃金が下がるため、むしろ↑を推進する政策はやってはダメだと思います)そして、日本の労働参加率が2%上がったとしても、未だ労働参加率主要国最高のオランダには及びません。


 さらに、若年無業者(いわゆるNEETに近い概念です)の数は60万人(細かいことを書くと、13年の数字で59万人)、生活保護受給世帯の内、「高齢者世帯、母子世帯、障害者世帯、傷病者世帯」以外の「その他の世帯」の世帯数が28万3千世帯


 もっとも、生活保護受給世帯全体に占める「その他の世帯」の世帯数は、昨年夏以降に減少傾向にあります。


【日本の生活保護受給世帯数(左軸)と「その他の世帯(右軸)」 (単位:世帯数)】

http://members3.jcom.home.ne.jp/takaaki.mitsuhashi/data_46.html#hogo


 まさに、人手不足という「市場の力」の働きにより、「普通に働ける生活保護受給者」が労働市場に戻っていっているわけです。


 この状況を後押しするために、政府がするべきことは何でしょうか。二つの面があります。
 一つ目。土木・建設業界の人手不足、賃金上昇を吸収するべく、公共事業の労務単価と予定調達価格を引き上げること。人手不足、人手不足とはいっても、予定調達価格を引き上げていけば、公共事業は落札されています。


 要するに、公共事業の予定調達価格が硬直的で、「市場」の人件費上昇を吸収できないのが問題なのです。地方自治体も含め、政府が公共事業の「価格引き上げ」に動けば(動いていますが)、土木・建設分野の人手不足は解消するでしょう。


 その場合、運送業界など、土木・建設以外の産業はどうなるでしょうか。当然、人手不足がさらに酷くなります。結果的に、運送業の場合は「顧客側」のビジネスが滞るほどに、トラック・運転手が不足することになるでしょう。その時点で、顧客側(大手スーパーやコンビニに代表される大手小売業など)が「価格の引き上げ」に踏み切ってくれれば、運送業は人件費上昇を「市場の力」で吸収することができます。


 現在は、大手スーパーやコンビニが未だに「デフレ脳」に陥っており、運送業に対しサービス価格の引き上げを認めようとしません(大手であればあるほど認めません)。結果的に、運送業は片方で「人件費上昇・軽油価格上昇」というコストアップを受け、反対側で「顧客が値上げを認めない」状況になっており、完全に挟まれてしまっています。

 市場の力により、大手小売業などに「人手不足という現実」を理解させなければならないと思います。


 二つ目。土木・建設産業において「企業側」が安心して人材投資を拡大できるよう、中長期的な「需要」を金額ベースで示す必要があります。長期予算を組まずとも、国土強靭化計画のアクションプランに「予算規模」を入れるだけで、相当に話は違ってくるでしょう。


 現在は、ゼネコンなどがすでに「2020年以降」を視野に入れ、人材雇用を絞っています。日本政府は早急に2020年以降について、見通しを示す必要があるのです。


 ゼネコンが長期的な人材確保に乗り出せば、他の業界も動き出すでしょう。「市場の力」により、日本国は、
モノよりもヒト(生産者)にお金がかかる
 という、素晴らしい社会を取り戻すことができるのです。


 というわけで、現在の人手不足は、「市場の力」と「政府の力」を組み合わせることで、解消します。同時に、生産者の実質賃金が上昇方向に向かい、当然ながらデフレからの完全脱却も見えてきます。


 上記を「ぶち壊す」可能性があるのが、別に説明が必要とは思いませんが、
外国移民(外国人労働者)の受け入れ
 と、
労働規制の緩和(労働市場の競争激化)
 なのです。


 わたくしが安倍政権の第三の矢(成長戦略)を全く評価していないのは、日本国が「ヒト(生産者)にお金がかかる国」に戻るチャンスを奪おうとしているためなのです。ご納得いただけたでしょうか。


「納得がいった」と思って下さった方は、

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