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チャンネルAJER更新しました!

NEW!『デフレの原因(後編)③』三橋貴明 AJER2013.10.15(2)
http://youtu.be/g7jG7Oq_cwA

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11月11日 「アベノミクス・TPP・増税・オリンピックでどうなる!?日本経済と地域経済(町田市)

12月2日グローバル資本主義を超えて(Beyond Global Capitalism)」 (京都)

NEW!12月13日「日本大復活 東京オリンピックと安倍政権、日本経済の行方 」(大手町)

12月19日 「「“強い”日本経済は実現するか?」 --安倍政権誕生一年とこれからを検証する 」(御茶ノ水) 

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 わたくしが企画と監修を担当した小説、「顔のない独裁者 「自由革命」「新自由主義」との戦い 」(さかき漣:著)の予約がスタートしました。(さかき漣は弊社所属の作家です。今回のわたくしは企画・監修のみで、ストーリーは全面的にさかき漣が担当しました。) 本書は以前、PHP研究所から出版した「新世紀のビッグブラザーへ 」の続編にあたります。世界観、主人公たちはそのまま引き継いでもらいました。

 

 毎年恒例の徳間書店の年末シリーズ、ようやく書き終わりました・・・。今年はもちろん「2014年 xxxxx」というタイトルでございますが、改めて振り返ると今年は本当に色々とありました。


 結局のところ、現在の世界の問題は政府の経済政策の方向(目的は「経世済民」)を、
インフレ率の抑制
 から、
完全雇用の実現
 にシフトできるのか、という話なのだと思います。


 ポール・クルーグマン教授が昨年、出版した「さっさと不況を終わらせろ」は、要するに「さっさと政府は雇用問題を解決しろ」という話でした。


 失業者は、所得を得られないために、政府の社会保障なしでは生きていけません。さらに、失業者は仕事の「経験」をする機会を奪われ、将来的な国民経済の成長力を奪い取ります


 日本の場合、失業率は他国より低いですが、デフレ長期化で各労働者の所得が縮小していっています(派遣労働の拡大、という問題も同じです)。所得縮小は、購買力の低下と同意ですので、国民経済の内需拡大の抑制要因となります。内需が拡大しないことを受け、企業が「グローバル市場」を目指すと、何しろ新興経済諸国の企業と「日本よりも所得水準が低い人々の市場」で競合しなければなりませんので、国内の人件費は下げざるを得ません。結果、またまた派遣社員への切り替え、従業員の給与水準の低下、そして内需停滞という悪循環に突っ込みます(突っ込んでいます)。


 人材というものは、
「安定的な雇用環境の下で、社員がチャレンジし、失敗し、怒られ、再びチャレンジし、またもや失敗する」
 という、皆さんも経験されたであろうプロセスを経なければ創出されません。人間は働くことで、様々な経験、技術、スキル、ノウハウ等を自らの中に蓄積し、「人材」へと育っていくわけです。そういう意味で、かつての日本の終身雇用制は、「人材」を育てるということを考えたとき、極めて合理的だったのだと思います。


 失敗を繰り返して育った「人材」は、将来の国民経済の成長力の原動力になります。失業の拡大は「将来の成長の芽を摘み取ってしまう」という問題でもあるわけです。


 というわけで、雇用問題が極端に悪化しているユーロです。


【2013年9月末時点 ユーロ主要国及び日米英の失業率(単位:%)】
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http://members3.jcom.home.ne.jp/takaaki.mitsuhashi/data_44.html#Unemp09


9月のユーロ圏失業率、過去最悪の12.2%-同水準に前月分改定
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MVJ1BS6JTSF201.html
 ユーロ圏の9月の失業率 は、過去最悪に改定された前月と同水準に並んだ。
 欧州連合(EU)統計局(ユーロスタット)の31日発表によると、9月のユーロ圏失業率 は12.2%。8月は同水準に速報の12%から改定された。ブルームバーグ・ニュースがまとめたエコノミスト36人の調査中央値で9月は12%が見込まれていた。
 過去最悪の失業率はリセッション(景気後退)と債務危機がもたらした負の遺産で、欧州中央銀行(ECB)によれば域内経済の回復は「段階的」にとどまっている。ブルームバーグが今月実施した別のエコノミスト調査によると失業率の低下ペースは遅く、来年は平均12.1%、2015年は12%が見込まれている。
 9月の失業率は国別では、スペインが26.6%にとどまったほか、イタリアは12.5%に上昇。ドイツでは5.2%に低下した。 』


 イタリアの失業率が、急上昇しました(元々、高いのですが)。エコノミストの予想の中間値は12.3%だったのですが、現実には12.5%。しかも、イタリアは若年層失業率が40%を超えています


 現在、イタリアでは反緊縮財政の運動が沸き起こっていますが、現実にはユーロに加盟している限り、「インフレ率抑制」から「完全雇用」への政策転換はできないでしょう。元々、レッタ首相は、
「成長と雇用を重視する」
 と、まことにもっともな路線を打ち出していただけに、国民からすれば「裏切られた」という印象なのです。


 レッテ首相は、今年の4月には、
緊縮による死を終わらせる。路線変更をしない限りヨーロッパそのものが『正当性の危機』に直面する
 と、ドイツとの対決姿勢を見せていたのですが、結局は欧州を(いや、世界を)覆い尽くす財政均衡主義の前に妥協せざるを得ませんでした。結果的に、レッテ首相の予言通り、ユーロは「正統性の危機」に直面することになるでしょう。失業率が二桁に達している国において、緊縮財政を推進する以上、今後のユーロには「システムとしての正当性」がないという話になると思います。


 ところで、またまたポール・クルーグマン教授にご登場いただきますが、先月、発売になった「そして日本経済が世界の希望になる (PHP新書) 」において、クルーグマン教授は財政政策の重要性を強調していました。理由は「てっとり早く雇用が生まれる」ためです。


「十五年前に比べ、私は日本やそれ以外の国からさまざまな事実を学んだ。自国の通貨で借り入れをする国は手綱が緩く、借金のレベルが高くても、公債についてはそれほど悩む必要はない。
 財政拡大の恩恵とリスクについて、かつてに比べれば私の考え方は大きく変化した。いまではその積極的な拡大を行う必要がある、と確信している
 問題は危機に直面したとき、リアルタイムでいかなる政策手段が必要か、ということだ。財政政策がより有効な解決策である、というのがその答えである。この点については私も、コロンビア大学のマイケル・ウッドフォードも同じ意見だ。
 「流動性の罠」への対処策として、金融政策が人びとの期待を変えることに依存する、という点に比べ、財政出動の長所は、それが人びとの期待を変えなくてもよい、ということだ。人びとが(当局の)約束を信じようと、信じまいと、景気を拡張させる効果がある。目の前の橋をつくることによって、現実の雇用が生まれるからだ。(P39)」


 クルーグマン教授が正しいとすると(正しいと思いますが)、現在のユーロという共通通貨のシステム、国家から金融と財政の主権を奪い取るシステムには、少なくともバブル崩壊後には正当性がないということになります。「現実の雇用」を生み出せないシステムについて、国民は「正統性がある」とは評価しないでしょう。


 というわけで、雇用問題を解決できない共通通貨ユーロは、最終的には瓦解の方向に向かわざるを得ないと考えるわけです。そもそも、ユーロというシステムには「インフレ率抑制」の機能が組み込まれています(中央銀行独立、財政抑制など)。現在の課題が「インフレ率抑制」ではなく「完全雇用」である以上、ユーロ加盟国はユーロに残っている限り(勝ち組のドイツなどを除き)長期に渡り衰退していくことになるでしょう。


 現在の世界は、各国政府が「完全雇用」に目的をシフトしなければならない時期なのです。


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