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『規制緩和を考える(後編)①』三橋貴明 AJER2013.6.18(1)

http://youtu.be/kpAwByL4wPM

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 7月11日(木) 第11回烏山講演会「世界経済とマスコミの嘘」(会場:東京都)

http://members3.jcom.home.ne.jp/takaaki.mitsuhashi/data_42.html#karasuyama

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 田母神先生との対談本を含め、すべて発売開始になりました!



経済界 2013年 7/16号 [雑誌] 」に連載「実践主義者の経済学」第29回「投資減税」を寄稿しました。


 熱暑の中、参議院選挙の戦いが続きます。候補者の皆様は熱中症や脱水症状にお気を付け下さい。(汗が出なくなったら、要注意でございます)


 本日のテーマはポルトガル。といっても、もちろん火縄銃の話ではありません。


 ポルトガルと言えば、バブル崩壊後に、
「財政赤字が拡大し、政府が増税をした結果、却って減収になり、財政が悪化した」
 を「やってしまった」南欧諸国の一つでございます。ポルトガルは2011年に付加価値税(≒消費税)の一般税率を21%から23%に引き上げ、さらに軽減税率の一部を撤廃しました(これも増税)。ホテルなどのサービス分野や、エネルギー関連(電力料金など)について軽減税率を適用していたのですが、一律23%としました。


 ポルトガル政府は増税実施時に、
「増税により対前年比で11.6%の税収増となる」
 と豪語していたわけですが、実際には(12年7月末時点)税収がマイナス1.1%となりました

 増税した結果、政府が減収に。まんま、橋本政権でございます


 理由は、もちろんバブル崩壊で経済成長率がマイナスに落ち込み、国民の所得が小さくなってしまっているためです。ポルトガルの経済成長率は11年がマイナス1.6%、12年がマイナス3.2%、そして今年はマイナス2.3%と予想されています。


 経済成長率がマイナスに落ち込むと同時に、失業率も上昇し、13年5月時点の数値は17.6%。スペイン、ギリシャ水準にまでは悪化していませんが、18%弱で高止まりした状況が続いています。


 インフレ率の方は、対前年比で0%台(0.3%とか)が続き、ギリギリ「マイナス」にはなっていないのですが、消費者物価で1%を割り込んでいる時点で、立派なデフレでございます。


 このポルトガルですが、IMFやEUなどから支援を受けるのと引き換えに、緊縮財政を「優等生的」に実施してきました。それ故に、状況が悪化しているわけですが、結局は国民の所得縮小と失業率上昇により、政治的に耐えられない段階に至ってしまったようです。


財務相と外相が辞任 経済危機のポルトガル
http://sankei.jp.msn.com/world/news/130703/erp13070309140002-n1.htm
 経済危機に苦しむポルトガルで2日までにガスパール財務相とポルタス外相が相次いで辞任した。欧州連合(EU)などからの金融支援と引き換えに財政緊縮策を進めるコエリョ政権にとって、痛手となった。
 ポルタス氏は、連立与党である民衆党の党首。政権支持を取り下げるかどうかについては態度を明らかにしていないが、連立解消となれば与党は議会で過半数を割り込むため、政局の混乱を招く恐れがある。
 AP通信によると、ガスパール氏は1日に辞任。辞任の理由は明らかではないが、自らが中心となって進めてきた緊縮策が国民の強い反発に直面していることが一因とみられている。
 ポルタス氏は2日、緊縮策を推進する政権の方針に反発して辞任。ガスパール氏の後任の人選にも不満だったとされる。
 欧州連合(EU)統計局によると、ポルトガルの5月の失業率は17・6%。緊縮策の影響で深刻な不況に陥っており、国民の不満も高まっている。』


 ポルタス外務大臣は、連立与党の一翼を担う民衆党の党首です。そして、民衆党が連立の解消を決断すると、与党は過半数を割りこんでしまいます。そうなると、ポルトガルの財政再建路線(そもそも、これが問題なのですが)が維持できなくなる可能性があり、「ポルトガルの対外債務危機」が再燃することになります。


 一応、ポルタス外相が、社会民主党(最大与党)を率いるコエリョ首相と、連立維持に向けた措置で合意したと報じられていますが、その場合はもちろん「緊縮財政路線続行」というわけで、国民の中に怒りのマグマが沸々と溜まっていくことになります。


 同国の財政再建路線の行方が不透明になったことを受け、例により格付け会社のS&Pがポルトガル国債の格下げを予告しました。まあ、元々ポルトガル国債は投資不適格級の「BB」なのですが、これをさらに引き下げると警告してきたのです。


 日本とは異なり、ポルトガル国債はユーロ建てです。すなわち、ユーロの投資先、運用先を求める「国際金融市場」側には、国債購入の際の選択肢があるのです。別に、好き好んでポルトガル国債を購入せずとも、安全なドイツ国債におカネを投じておけばいいわけです(金利は低いですが)。


 というわけで、ポルトガルにとってS&Pの格下げ(厳密には格下げ予告)は痛手となります。


 注意しなければならないのは、ポルトガル「国内」の銀行の投資行動です。デフレ化したポルトガルでは、国民が銀行預金を増やします。ポルトガル国内の銀行は、国民から預けられた「ユーロ」を何らかの手段で運用しなければならないわけですが、彼らもまた「国際金融市場」の一部なのです。すなわち、別に母国(ポルトガル)政府に金を貸し付ける義理はさらさらないのです。


 ポルトガルの場合、国内銀行すら「銀行預金(ユーロ)の運用先」について、選択肢を持っているわけでございます。


 さて、翻って我が国の場合、日本国債は100%日本円建てです。さらに、日本の銀行に国民が預ける(厳密には貸し付ける)おカネもまた、日本円です。そして、日本円は日本国内でしか流通しておらず、日本円の借り手は日本国内にしか存在しません。(いわゆるサムライ債が多少ありますが)


 というわけで、日本の銀行にとって、「最終的な日本円の借り手」は日本政府しかないのです。国際金融市場や格付け会社が何をわめこうが、日本の銀行の手もとで過剰となった日本円は、企業や家計に貸し付けられないのであれば、国債に向かうしかないのです。(というわけで、日本国債は格下げされても金利は上がらない)


 すなわち、ポルトガルと我が国は、
「バブル崩壊後のデフレ期の財政悪化を受け、増税を実施し、却って政府が減収になり、財政がさらに悪化した」
 という愚行を演じたのは共通しているのですが、「政府の負債(財務省の言う「国の借金」)」問題は、そもそも性質が全く違うわけです。


 ポルトガル政府は「国際金融市場」やら「格付け会社」やらの意向を気にする必要がありますが、日本政府はありません。日本経済にとって問題なのは、ただただ「デフレ」だけです。財政問題など存在しない以上、単にデフレ対策を十分に実施すれば、我が国は成長路線、そして「財政健全化路線」に戻れます。(※ここでいう財政健全化とは政府の負債対GDP比率の引き下げを意味し、「国の借金で破綻する~っ!」云々ではありません)


 上記の類の話は、「落ち着いて」おカネの流れを考えてみれば、誰でも理解できるはずです。ところが、数年前までは(今でもですが)、
「日本はギリシャになる!」
「日本国債が格下げされると、金利が急騰する!」
 などと、荒唐無稽なファンタジーが国内に流布していました。


 何も、国民全員が上記のような「日本とポルトガルの違い」を理解するべきと言っているわけではありません(さすがに無理でしょうから)。とはいえ、せめて政治家には「正しく」理解してもらわなければ困るわけです。


 というわけで、参議院選挙の候補者とお話しする機会があったら、上記の類の話について「確認」して見て下さいませ。そして、勘違いしているようでしたら、教えて差し上げて下さい。


 もう一度書いておきますが、上記の話は「落ち着いて」おカネの流れを考えれば、誰でも理解できるはずなのです。理解しないような候補者に対しては、「投票しない」と宣言すればいいだけの話です。これも民主主義国における「国民の主権行使」の一環でございますよ。


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