サバイバル 前編

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チャンネルAJER 更新いたしました。今回のテーマは「日本の公共事業の現実」です。

『日本の公共事業の現実①』三橋貴明  AJER2012.7.10(3)
『日本の公共事業の現実②』三橋貴明  AJER2012.7.10(4)

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8月30日(木)18時30分-大阪「三橋貴明が語る!政治・経済の真実『メディアの大罪』 」講演会開催

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 扶桑社「経済と国家がわかる 国民の教養 」がまたもや増刷になりました。この本は昨年の8月に出版したのですが、一年近くたっても売れ続けています。小学館「コレキヨの恋文 」同様に、ロングセラーの一冊になりました。


 扶桑社からは来月「ぼくらの日本」という、「どなたかの本」そっくりのタイトルの本が出る予定になっています(わたくしの作業は全て完了済み)。


 本日のエントリー「サバイバル 前編」と、明日の後編は、恐らく多くの日本国民の違和感をかき立て、批判も相当に来ると思いますが、あえて書きたいと思います。


 何度も書いていますが、日本国は世界屈指の自然災害大国です。地震、台風、水害、土砂災害、火山噴火、高潮、豪雪。日本列島は、自然災害の種類と頻発度で、他国の追随を許しません(全然嬉しくないですが)。

(本日の参考図書 藤井聡:著「コンプライアンスが日本を潰す (扶桑社新書) 」など)
 
九州豪雨:3県での死者は26人 不明者は6人に
http://mainichi.jp/select/news/20120716k0000m040083000c.html
 九州北部地方に豪雨災害をもたらした梅雨前線は15日、活動がやや弱まり、被災地では行方不明者の捜索が再開された。福岡県では男性2人の死亡を確認し、熊本、大分両県でも行方が分からなくなっていた各1人を遺体で発見。福岡、熊本、大分3県での死者は26人、行方不明者は6人になった。一方、福岡県では土砂崩れで道路が寸断され、山間部を中心に孤立した集落が出ている。
 気象庁は15日、九州北部地方を11~14日に襲った豪雨を「九州北部豪雨」と命名した。梅雨前線は15日、朝鮮半島に停滞し、激しい雨はいったん峠を越えたが、九州北部では16日以降も局地的に雷を伴った激しい雨が降る可能性があり、土砂災害などに引き続き警戒を呼び掛けている。
 福岡県では、八女市黒木町で14日に土砂崩れに巻き込まれて心肺停止状態だった農業、松本勝利さん(70)の死亡を確認。柳川市三橋町の水門では15日午前9時15分ごろ、水没した乗用車の近くから、乗っていたとみられるみやま市瀬高町上庄、無職、川龍正幸さん(28)が見つかったが、死亡が確認された。』


 自然災害が恐ろしいのは、「いつ、どこで発生するか」が、誰にも分からない点です。水害の場合は、豪雨の状況を観測し、直前に予測することはできますが、それにしても「直前」にならなければ分かりません。また、地震の場合は長期予測がやっとで、短期の予測は不可能に近いのが現実なのです。


 すなわち、日本列島に住んでいる限り、わたくしたち国民は「今、この瞬間」予期しなかった自然災害に襲われる可能性が常にあるということになります。


 そして、実際に自然災害に襲われたとして、真っ先に救出してくれるのは誰でしょうか。無論、警察、消防、時には自衛隊の皆様も動いてくれますが、これらの組織にも増して「真っ先」に必要なのが「地場の建設産業」なのです。


 実際、昨年3月11日の東日本大震災の際には、自衛隊などが被災地に入る前に地場の建設企業が現地に入り、救援活動と同時に、自衛隊などが本格的な作業をするための下準備をしています。何しろ、被災地の救援活動は「土地勘」がなければできません。土地勘と機材と人材、さらに土木・建築のリソースを兼ね備えた企業は、地場の建設産業以外にはないのです。


 というわけで、日本の各地域に確固たる建設企業が存在しているというのは、新自由主義者の方々のお好みの経済合理性とは無関係に、国民のサバイバルのために必要なのです


 市場競争とは、競争原理により敗者(退場者)を生み出すシステムです。別に、市場競争を否定しているわけでも何でもありませんが、各国の国土的条件などにより「敗者を増やしてはならない業界」というものも存在するのです。なぜなら、建設産業でバリバリの市場競争で、次々に「地場の建設企業」が消えていくと(すでに日本はそうなっています)、いざという時に国民の生命が失われてしまうためです。日本と自然災害がほとんどない他国とでは、建設産業の「意味」が異なるという話でございます。


 だからと言って、例えば政府が補助金を出し、「地場の建設企業」を存続させるというのはダメです。別に建設産業に限らず、企業とは常にリアルで「ビジネス」を行い、技術に磨きをかけ、ノウハウを積み上げ、人材を育成していかなければなりません。「いざ」という時のために政府が補助金で各地の建設企業を生き延びらせたとしても、その企業から技術やノウハウが失われてしまうのでは、非常時に役に立たないという話になり、やはり国民が生き延びられません。


 だからこそ、公共事業があるわけです。


 ところが、公共事業の入札方式が、現在の日本は「一般競争入札」オンリーになってしまっています。一般競争入札とは、「誰でも入札でき、最低価格を出したものが落札できる」というシステムです。


 すなわち、手抜き工事で有名な建設企業であっても応札でき、かつダンピングで最低の価格を提示すれば、落札できるのです。ダンピングで落札した以上、その企業は今回も可能な限り「手抜き」をするわけで、公共事業の品質は維持できなくなります。

 しかも、公共事業はやり直しがききません。黒部ダムを作り、品質が悪かった。じゃあ、もう一度作ろう。などということは現実にはできないのです。


 品質の悪い公共事業をやってしまった場合、わたくしたちも迷惑を被りますが、それ以上に将来世代が困ります。公共事業は常に「高品質」を求められます。


 新自由主義者、市場原理主義者は、
「品質は市場が保証してくれる」
 と言うかも知れませんが、公共事業に「市場」はありません。同じ仕様の公共事業は二つとなく、全てがオーダーメイドです。しかも、やり直しが効かない。


 例えば、自治体などが乗用車を公共調達するというのであれば、市場原理が品質を保証してくれます。乗用車には「市場」があるからです。ところが、公共事業はありません。


 当然、日本以外の国々は、公共調達に際して「一般競争入札、指名競争入札、随意契約を使い分けること」という法律になっています(アメリカも)。調達する財・サービスにより、市場が有ったりなかったりするわけですから、当然です。例えば、NASAが特殊技術を特定の会社から調達する場合は、当然の話として随意契約です。


 ところが、現在の日本は法律的に「全ての公共調達は一般競争入札」となってしまっており、現実に一般競争入札で公共事業の入札をしています。結果、どれだけ評判が悪い企業であっても応札が可能で、かつ落札業者は「価格」で決まります。ダンピングで落札した業者が、極めて質の悪い公共建築物を作ったとしても、その業者を「次の入札」から排除する手段はありません。
 これで一体、どのように公共事業の品質を維持できるというのでしょうか


 しかも、価格競争のみで、公共事業の入札をしていては、落札できない状況が続いた「地場の建設企業」が次第に廃業していきます(実際にそうなっています)。すると、その地域から建設企業が消え、次なる自然災害時に国民の生命が失われる、という話になってしまうのです。


 実は、「公共事業を一般競争入札で」というのは、明治時代につくられた法律です。確かに、法律に従えば、公共事業も一般競争入札でやるべきなのです。


 が、最近まで上記が問題になっていなかったのは、過去の日本人が「知恵」を働かせ、実際の公共事業は「指名競争入札」でやってきたためなのです。指名競争入札とは、公共事業入札の際に応札できるメンバーを、特定の条件により制限する入札制度でになります。「誰でも」応札できる一般競争入札とは異なり、応札できる業者を「枠」でくくるわけです。


 公共事業を指名競争入札にすることで、公共建築物の品質が確保されることになります。何しろ、下手に手を抜いて建築物を作ってしまうと、次の指名競争入札の際に「枠」から排除されてしまうのです。すなわち、次の落札機会が無くなってしまうというわけで、建設企業に品質を高めるインセンティブが働きます。


 そもそも、指名競争入札を批判しまくる新聞社にしても、自社のビルを建てる際に一般競争入札にはしないでしょう。過去の実績で品質が確保できる業者を集め、「限られた業者」に見積もりを出させるはずです。すなわち、指名競争入札です。


 過去の日本人は、法律上は「一般競争入札で」となってはいますが、これでは公共事業の品質が確保できないため、
まあ、法律はああなっているけど、品質を維持するために公共事業は指名競争入札で
 と、日本らしい「なあなあ」の精神を発揮し、指名競争入札で公共事業を行い、世界屈指のインフラストラクチャーを築き上げることに成功したわけです。


 が、指名競争入札の場合も、問題が発生します。一応、指名競争入札とはいえ、落札者は「最低価格」を提示した事業者になります。すなわち、指名競争入札の「枠」には入れられたものの、連続して最低価格を提示することができない事業者は、やはり競争に敗れ、廃業せざるを得なくなってしまいます。 


 結果、確かに公共事業の品質は高まるかも知れませんが、大元のサバイバル、すなわち「地場の建設企業を存続させる」という目的は達成できないことになります。


 というわけで、過去の日本人たちはまたもや「知恵」を働かせました。公共事業の品質を維持し、かつ各地域の「地場の建設企業」をサバイバルのために存続させるという二つの目的を同時に達成しようとしたのです。そのために誕生したのが、、、、、


後編に続く


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