株式会社三橋貴明事務所  講演・執筆依頼等、お仕事のご依頼はこちらから

三橋貴明のツイッター  はこちら

人気ブログランキング に参加しています。

新世紀のビッグブラザーへ blog

人気ブログランキングへ

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

※amazonの在庫戻りました!

 

チャンネルAJER更新しました!

デフレ・所得・グローバル株主資本主義(前編)①三橋貴明

デフレ・所得・グローバル株主資本主義(前編)②三橋貴明

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


 小学館「コレキヨの恋文 」が、オンライン書店でもリアル書店でも、異様と言いたくなるほどコンスタントに売れ続けています。小学館によると、「普通に評判がよく、口コミで広まっていっている」とのことですが、まだまだプロモーションを続けてみたいと思います。


 ちなみに、「コレキヨの恋文 」の感想で一番個人的にウケたのは、

「これって、さくら子を主人公としたオジさん版アンジェリークですよね
 というものでした。長身鬼畜メガネ(しかもツンデレ)、アイドルもどきの幼馴染、年下のエリート官僚、葉巻が似合う素敵なオジサマ、過去の偉人のお爺さんを、さくら子が攻略する(?)話にしか読めなかったとのことです。おーい、戻ってこ~い、と言いたくなりました。


 さて、上記の「コレキヨの恋文 」のテーマは、濱口雄幸、若槻礼次郎、井上準之助らが「深刻な財政危機に緊縮財政を適用した」結果、デフレが深刻化した日本を救った高橋是清と、現代日本の内閣総理大臣である霧島さくら子の邂逅ですが、アメリカの「濱口、若槻、井上」と言えば「フーバー&アンドリュー・メロン」で、ドイツで言えばワイマール共和国の「ハインリヒ・ブリューニング」になります。


 というわけで、ドイツの元副首相兼外相のヨシュカ・フィッシャー氏が、朝日新聞に寄稿していましたので、ご紹介。現在の日本にも通じる主張です。


『〈私の視点〉孤立するドイツ 財政統合で欧州危機防げ
http://www.asahi.com/news/intro/TKY201206150522.html
ヨシュカ・フィッシャー(元ドイツ副首相兼外相)
 「欧州」という家が、燃え上がっている。
 メルケル首相が隊長をつとめるドイツ率いる消防隊が、緊縮財政という「ガソリン」で火を消そうとし続けた結果、ユーロ圏の金融危機はたった3年で、欧州の存続そのものの危機へと変容した。もしユーロが崩壊すれば、欧州連合(EU)も崩壊し、かつて経験したことのない規模の世界的な経済危機を引き起こすだろう。
 フランスとギリシャの選挙は、両国の国民がドイツによって押し付けられた緊縮財政を支持しなくなったことを示す。治療するはずが、殺してしまうが如き救済策は、民主主義に阻まれたのだ。
 深刻な財政危機に緊縮財政を適用しても不況を招くだけだ。1930年代初頭のフーバー米大統領、ブリューニング・ワイマール共和国首相による緊縮財政から得た教訓を、我々は再び学んでいる。欧州が救われるかどうかは、フランスが政治統合や構造改革への立場を、ドイツが経済政策の方針を、それぞれ根本的に変えるかどうかにかかっている。
 フランスは政治統合、つまりユーロ圏共通の議会を持つ政府を認めなければならない。ユーロ圏の各国政府は危機に対処するために、事実上、すでに一つの政府として一致団結して行動している。
 一方、ドイツは財政統合を選択せねばならない。それはドイツの経済力と資産でユーロ圏の存続を保証することを意味する。危機に陥った国の国債を欧州中央銀行が無制限に買い入れ、ユーロ債によって国債をEU内で統合してユーロ圏の不況を回避し、回復を後押しするための成長プログラムを設けるのである。欧州は競争力の回復を目的とした構造改革を、緊急に必要としている。
 こうした計画にドイツで声高な講義が起こるのは、容易に想像できる。「さらなる負債か」「われわれの資産が失われる」「うまくいくはずがない」と。
 だが、それがうまくいくのである。ドイツの輸出主導型の経済は、米国や中国などの新興国が、一部を国債で調達した資金を自国経済に投入したことに支えられてきた。ドイツ国民は今、自問しなければならない。欧州統合から最大の利益を得た自分たちが、そのために進んで犠牲を払うのか、あるいは欧州統合が失敗に終わるのを、ただ見ているのか、を。
 欧州の中でドイツ人が今ほど孤立していることはない。まだ遅すぎはしないが、方向転換に数年かける猶予はない。数週間か数か月しか残されていないのだ。』


 ちなみに、フィッシャー氏は「かつて経験したことのない規模の世界的な経済危機を引き起こすだろう」と書いていますが、そんなことはありません。世界は一度、主要国が「不況下の緊縮財政」を実施していった結果、カタストロフィとしか表現しようがない経済危機を一度経験しています。すなわち、1930年代の大恐慌です。


 フィッシャー氏が今回の危機が30年代の大恐慌を上回るような経済危機をもたらすと予想しているわけですが、それが本当に実現すると想像すると、さすがにビビります。「コレキヨの恋文 」では、日本の霧島内閣のデフレ対策が世界を救うというストーリーになっていますが、ポール・クルーグマン教授が言う通り、現在の世界は日本、アメリカ、ユーロ諸国がそれぞれ「正しいデフレ対策」を盛大に打たなければ、冗談抜きでフィッシャー氏が予想する暗い未来を到来させかねない危険な状況です。


 ちなみに、フィッシャー氏は、ギリシャやフランスについて、
「治療するはずが、殺してしまうが如き救済策は、民主主義に阻まれたのだ」
 と書いています。ギリシャは緊縮派が勝ったと言いたくなったかもしれませんが、得票率は緊縮派約四割、反緊縮派が約六割でした。例の「第一党に50議席が上乗せされる」ギリシャ独特の選挙ルールにより、緊縮派のNDとPASOKが過半数を超えたわけです。


 民意の過半数が反緊縮派の政党に投票した以上、新たに発足した連立政権は「ドイツに対し」緊縮政策の緩和を求めざるを得ません。これに「一切、否!」とやっているのが、メルケル政権というわけです。


 このままでは、アンゲラ・メルケル独首相は、30年代のブリューニング首相と同じ形で「歴史に名を残す」ことになるでしょう。


 ところで、フィッシャー氏はユーロ圏に対し、「金融のみならず財政も統合し、『ユーロ政府』を作れ」と言っています。ギリシャもドイツも、超国家「ユーロ」の一地方としろという話ですが、さすがにこれを数か月で実現するのは、無理があるでしょう。ドイツ国民に「犠牲を払え」というのは、「ドイツ国民の金で、ギリシャ国を救え」という話です。ユーロが「ナショナリズム」を共有しているのならともかく、現実にはドイツ国民はドイツ国民、ギリシャ国民はギリシャ国民です。


 現在のユーロ圏は「デフレ下の緊縮財政」「ナショナリズムと経済」「財政政策と金融政策」などについて、日本国民が学べるケーススタディで満ち溢れています(困った意味で)。


 本日後半は投稿です。


----平成幕府 (by TN(西)様)---
 徳川家康。
 当時、未開の地だった江戸に居城を置き、絶対的不利だった関が原の戦いに勝利を収め、その後、260年にも渡る世界に類を見ない長期政権、徳川幕府を樹立させた武将
 武力の織田信長、商業の豊臣秀吉、では徳川家康と言えばその象徴とも言える政策はなんでしょうか。
 当時、ヨーロッパでは絶対君主制の下に重商主義が発展し、貿易が盛んになり始めた頃でした。その中で家康はその流れに逆行する形で封建制で日本を支配し、世界との交流を絶ちました。
 そう、いわゆる鎖国政策が家康の代表的な政策で異論はないかと思います。

 さて現在、日本は世界を席巻するグローバリズム、いわゆるTPPに参加の決断を迫られています。
 その一方、日本はデフレ、少子高齢化など様々な社会問題に苦しめられています。
 特に少子高齢化は深刻で、このままでは2050年には日本の人口は9000万人になり、現在生まれる赤ちゃんの人数も100万人から50万人へと半減してしまいます。
 このままでは日本は滅亡する!移民!移民!とっとと移民!しばくぞしばくぞTPP!

【出生数将来推計】
三橋貴明オフィシャルブログ「新世紀のビッグブラザーへ blog」Powered by Ameba


 当時の日本も様々な事情はあるものの、フランシスコ・ザビエルに代表される宣教師が日本に来ていましたし、日本に対し、「世界」が参加を迫っていたと言って、それほど間違いではないと思います。
 つまり、諸々の事情の違いはあるにせよ、現在と状況が似ているのではないでしょうか。
 当時の権力者であった徳川家康は鎖国政策であえて、世界の重商主義の流れと逆行し、260年間、日本を封建制で支配し続けました。

 260年間支配したと言えば、聞こえはいいですが、鎖国した当時の江戸幕府は赤子も同然であり、家康自身、幕府を開いたからと言って、260年間も支配できるなんて思ってもいなかったはずです。
 ましてや戦乱相次ぐ戦国時代が終わったとはいえ、武将の大半はまだ存命しています。いつ内乱が起きるかわかったもんじゃありません。しかも実際に内乱で信長や豊臣家が倒れています。
 そして、重商主義の流れに参加した所で、一歩間違えば、当時のメキシコのように植民地になってしまいます。付け加えるなら、日本はもともと世界有数の金銀産出国であり、当時のヨーロッパから見ればまさに黄金の国であり、どんなに支配しても支配したりないほどの魅力があったと言えると思います。

 いわば外も内も敵だらけであり、冷静に考えれば、当時の日本にとって鎖国政策を採り、あえて封建制で自国の安定に専念するというのは非常に正しく、260年後に開国した時に既に日本以外の国はほぼ全て欧米列強の植民地であり、いわゆる脱亜入欧を果たせたのも日本だけであった事を思えば、家康の鎖国政策は唯一の正解だったと言うほかないでしょう。

 同時代の支配者、織田信長や豊臣秀吉が重商主義の発展を目指した中で、あえてその流れに逆らい、鎖国での封建制を選んだ徳川家康。
 普通なら天下統一を果たし、そのまま勢いをかって世界の大海原に乗り出してもおかしくない所を、あえて自国と世界を取り巻く状況を冷静に分析し、世界の流れに逆らい自国の安定を優先させ、それを見事果たしたというのは驚くべき事だと思います。

 私は別にだから鎖国!鎖国!攘夷!攘夷!が正しいとは思いません。
 ただ若者が結婚すらろくにままならず、次代に繋ぐための子供さえ満足に産むことすらできない状況で世界のグローバリズムに参加するのが果たして正しいのでしょうか。

【年齢別未婚率の推移】

三橋貴明オフィシャルブログ「新世紀のビッグブラザーへ blog」Powered by Ameba


 今、消費税増税やTPPに参加すれば、確かに桶屋は儲かるかもしれません。
 しかし、それは赤ちゃんを洗うための産湯をためる桶ではなく、増税やTPPで苦しむ人達の涙をためる桶であり、更にはその儲かる桶屋すらおそらく日本の桶屋ではないという事です。

 私は結論を押し付けようとは思いません。そして、私の出した資料を信用するもしないも自由です。皆さんが皆さんなりの結論を出してください。

 我々は何をするべきなのでしょうか。
 現在、我が国は貿易立国であり、世界との貿易なくして立ち行かない事は明々白々です。しかし、貧困に喘ぐ若年世代を潤し、出生数を上昇させるにはお金の動きを国内に向ける必要があります。だからといって貿易で得た利益を回すには、現在の世界ではあまりにも敵が多く、いわゆる「地の利」が日本にあるとは思えません。

 エコポイント、高速1000円、定額給付金。

 かつて麻生政権が実行したこれらの政策は、少なくとも国内にお金の動きを向けるのに有効に作用した政策であったと思います。この中で現在残っているもので、かつ有効なのはエコポイントだと思われます。ただこちらはマスコミでも言われている通り、家電や自動車が対象の為、いかんせん需要の先食いとなってしまい、今後の運用に関しては不透明です。
 では他に何か打つ手は無いのでしょうか。
海 外ではなく国内にお金の動きを向けるには、国内生産品で需要の先食いにならない。つまり日常的に国民全体で消費されるもので、かつ自国で完全自給でき、そして海外との貿易において支障をきたさないものである必要があります。
 果たしてこれら全ての要素を満たすものがあるのでしょうか。

 実は上述の徳川幕府は貨幣鋳造権を持っておらず、貨幣である大判小判の製造は民間の組合が行っている、世界史においても非常に珍しい稀な政権でした。
 いわゆる税金、年貢として収めていたものは「コメ」です。米俵を持って、お代官様どうか~と農民が口にする時代劇でおなじみのあの光景です。
 なぜ「コメ」が徳川幕府の経済の基本足りえたのか。それは毎年、生産消費され、なおかつ完全自給でき、海外から流入も流出もしなかったからです。
 そして現在でも「コメ」は我が国で100%完全自給ができ、毎年、生産消費もされており、輸入米を好んで食べる人など本当に限られた人しかいません。

【都道府県別コメ消費量(飯用)】
三橋貴明オフィシャルブログ「新世紀のビッグブラザーへ blog」Powered by Ameba



 今更、コメで税金払えるようにしろ。という話ではありません。
 しかし、国が定めた一定の基準で生産された国内生産のコメ、いわゆるブランド米にエコポイントならぬ「コメポイント」を支給するとしたらどうでしょうか。
 コメは主食であるものの完全栄養食ではなく、いわゆるおかずが必須であり、豚や魚など動物性たんぱく質は国内では完全自給できず輸入せざるをえません。
 つまり諸外国から見たとき、日本におけるコメ消費の拡大はおかず消費の拡大につながり、敬遠どころかむしろ歓迎されるのではないかという事です。
 このコメポイント導入の大前提として「少子化解消」の為の経済の国内回帰というお題目があり、もし出生数上昇につながるなら多少値が張っても、ブランド米を買う人はいるのではないでしょうか。それに何らかの付加価値がついてくるのならば、なおさらです。
 私は現在、2kg1000円程度のブレンド米を食べていますが、もしコメポイントが付くのであれば、給料日くらいはおそらく1500円ぐらいのブランド米を買ってもいいかなと思うのですが、皆様はいかがでしょうか。
 そして、コメ農家に対しては売上に応じて優遇をし、きちんと若い世代のコメ農家の育成に繋げてもらい、コメポイントの消費先としてはコメ同様の付加価値の高い国内生産品に限れば、表だって反対に回る人は出ず、国内の需要復興の足がかりになるのではないでしょうか。
 今回はフランス革命でおなじみのあの人のお言葉をお借りして、記事を締めくくりたいと思います。

 おカネが無いなら、おコメを回せばいいじゃない。
----

 TN(西)様、ありがとうございました。



日本、アメリカ、ユーロの三地域で「同時に大々的なデフレ対策を!」にご賛同下さる方は

↓このリンクをクリックを!

新世紀のビッグブラザーへ blog

人気ブログランキングへ

本ブログへのリンクは↓以下のバナーをご利用ください。

新世紀のビッグブラザーへ blog


三橋貴明オフィシャルブログ「新世紀のビッグブラザーへ blog」Powered by Ameba
◇ポルパパのブログ
投資と車と日々の起業家日記
管理人:ポルパパさん

三橋貴明オフィシャルブログ「新世紀のビッグブラザーへ blog」Powered by Ameba
◇おじさんの談話室
経済通のおじさんと、女子高生真理ちゃんが織り成す、経済を解りやすく掘り下げた基礎講座!


日本経済復活の会
三橋貴明オフィシャルブログ「新世紀のビッグブラザーへ blog」Powered by Ameba

積極財政による日本経済復活を目指して活動をしているボランティアグループです。


Klugにて「三橋貴明の『経済記事にはもうだまされない』」
連載中
「三橋貴明の<ウラ読み>経済レポート」 
本メルマガではセミナー、勉強会のご案内など、メルマガならではの情報発信をしていきます!
 
新世紀のビッグブラザーへ ホームページはこちらです。

新世紀のビッグブラザーへblog一覧はこちらです。