ドイツとユーロ

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『消費税①』三橋貴明 AJER2012.4.24(1)

『消費税②』三橋貴明 AJER2012.4.24(2)

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ニコニコ動画版「さくらじ#29 「コレキヨの恋文」三橋貴明 登場!」http://www.nicovideo.jp/watch/1335153831
Youtube版「さくらじ#29 「コレキヨの恋文」三橋貴明 登場!

http://youtu.be/Uv9VYSPsifc

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【頑張れ日本!全国行動委員会 群馬県支部設立記念講演会】
http://nippon.daa.jp/index.html
日時:平成24年5月6日(日) 12:30開場 13:00開演 16:30閉会
場所:前橋市民文化会館 大ホール
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北海道十勝管内 音更町(おとふけちょう)「「TPP」に関するまちづくり講演会」

http://www.town.otofuke.hokkaido.jp/town/sonota/sonota/koenkai-230328.html

日時:平成24年5月20日(日曜日) 午後2時から

場所:音更町文化センター

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 エンターテイメント経済歴史小説、「コレキヨの恋文 」、長谷川慶太郎氏との対談本「日本と世界はこう激変する 大恐慌終息へ!? 」、日本の資本主義を語る「悲観論に踊らされるな! ニッポン経済集中講義 」発売になりました!




 昨日はチャンネル桜の桜プロジェクトのキャスターのお仕事でした。


【【欧州情勢】ドイツ圧倒かユーロ分裂か、選挙と経済の行方[桜H24/5/2] 】
http://www.youtube.com/watch?v=7Wf_3AgOirc
【明るい経済教室】名目GDPと実質DGPの違い[桜H24/5/2]
http://www.youtube.com/watch?v=lNGj0Znlf30
【消費増税】増税派の論拠、それこそがギリシャ化への道[桜H24/5/2]
http://www.youtube.com/watch?v=JiTipMS5zLo


 上記でも取り上げた、ドイツの話。


『2012年5月2日 朝日新聞「ドイツモデルは手本か? 福祉国家路線を転換」
 欧州の景気は、債務危機の底に沈む。そのなかでドイツだけが絶好調だ。2011年の経済成長率は2年連続で3%を超え、失業率も5.7%(欧州統計局調べ)と東西ドイツ統一後、最低水準に達した。危機の震源地となったギリシャの成長率がマイナス約7%に落ち込んだのとは対照的だ。
 成長を支えているのは好調な輸出だ。昨年の輸出額は前年比11%増の1兆600億ユーロと過去最高。伸び盛りの新興国への輸出が顕著だ。(中略)ユーロ安が輸出を加速させている。ユーロ安の原因はドイツ以外の国があえぐ債務危機だ。陰では「ドイツは欧州危機でもうけている」とささやかれている。
 ギリシャ、イタリア、スペインといった危機に陥った国が取り組み始めたのが、ドイツがシュレーダー政権時代に進めた労働市場の改革だ。失業手当を切り下げて就労を促し、派遣労働などの非正規雇用の道も広げた。その結果、輸出競争力は高まったが、国内の格差は広がった。
 サルコジ仏大統領は大統領選を前に「ドイツシステムに近づけていくことが私の仕事だ」とまで言った。欧州を主導してきたフランスのプライドは見る影もない。東西ドイツ統一の負担に苦しみ、「欧州の病人」と揶揄されてきたドイツが今や欧州の覇権を握ろうとしている。
■福祉国家路線を転換
 危機に苦しむ欧州各国を尻目に、ドイツ経済は絶好調だ。その要因はシュレーダー前首相が取り組んだ一連の改革と言われる。失業率が下がり、産業競争力は高まったが、社会の格差は広がった。欧州各国が学ぼうとする「ドイツ・モデル」は、有効なのか。
 「現在の発展の起源は、1990年代の東西ドイツの統一過程だった」。ライプチヒ大学のシュナーブル教授はそう解説する。90年の東西ドイツ統一で失業者は増え、旧東の再建にかかる費用で財政も悪化。99年のユーロ導入が追い打ちをかけた。同じ通貨を使うようになった低賃金の周辺国に工場が逃げ、雇用が減った。シュレーダー政権下の05年、失業者数は500万人に達し、失業率も11%を超え、戦後最悪になった。
 ドイツの復活には産業競争力の回復が必要だった。そこで、企業側の規制や負担を減らす代わりに、雇用を増やしてもらう。さらに、失業給付を削る荒療治を同時に実行した。
手厚い福祉国家だったドイツでは改革前、失業者は手取り給与の6割ほどの失業給付を受け取れたが、就業を促すために支給期間を限った。終了後は生活保護にあたる基礎保障の支給に変えた。一方、非正規労働の規制をゆるめた。 (中略)
 昨年は失業者数が統一後の92年以降、初めて300万人を割った。好景気で税収が増え、借金に苦しむ他の欧州諸国をよそに財政均衡まで達成しようとしている。 (中略)
ギリシャは国家機構を現代化し、構造改革を実行しなければならない」。2月末、ギリシャへの追加支援を審議する連邦議会で、メルケル首相は強調した。
 ドイツは危機に陥った国の支援に反発する国民をなだめるため、見返りに自国が実行したような競争力を回復するための改革を実践するよう求めてきた。
 だが、ベルリン自由大学のジャクソン教授は「シュレーダー改革は多くの低賃金労働者を生み、格差を広げた。他の国のお手本にはならない」と批判する。
 企業が高品質な製品を作る技術や技能を持たない国が、生産性を向上させたところで、ドイツになるのは難しい。改革を進めることで経済が縮小し、税収が減って財政がさらに悪化する恐れさえあるのが現状だ。 (後略)』


【インフレギャップとデフレギャップ】
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http://members3.jcom.home.ne.jp/takaaki.mitsuhashi/data_37.html#IDGAP


 話を整理したいのですが、ドイツの経済の好調をもたらしているのは、記事中にもあるように「輸出増」です。すなわち、ドイツは輸出(GDP上は純輸出)という需要拡大により、図の左側のインフレギャップ状態にあるわけです。


 そして、ドイツの「輸出」という需要を拡大している要因は、ユーロ安です。さらに、ユーロ安をもたらしているのは、PIIGS諸国などの財政危機というわけです。


 すでに何度も取り上げましたが、ドイツは2005年前後に失業率が10%を超え、何とスペインをも上回っていました。理由は、単に01年にITバブルが崩壊し、バランスシート不況に陥っていたためです。


 このドイツを「助けるため」に、フランクフルトに本拠を持つECB(欧州中央銀行)は政策金利を引き下げ始め、これがドイツ以外のユーロ加盟国にバブルをもたらしました。ドイツは南欧などのバブル諸国向けの輸出を拡大し、失業率をようやく引き下げ始めることが出来るようになったわけです。


 同時に、この頃のドイツではシュレーダー政権による「改革」が行われ、非正規労働に関する規制緩和などが実施されました(日本も同じですが)。結果的に、各種産業において企業の人件費負担が減り、投資に回せるお金が増えました。そもそも、最低賃金引き下げや非正規労働の拡大は、純利益を増やすことで投資を拡大しようとするサプライサイド(供給能力)政策なのです。すなわち、インフレ対策です。


 純利益を拡大すれば、投資が増える「はず」。デフレ期の日本では、純利益が増えた企業は内部留保(現預金)を増やしており、米韓などの諸国では配当金に回ってしまっているわけですが(日本も06年まではそうでした)、その話はまた別の機会に。


 いずれにせよ、ドイツはシュレーダー政権期に「供給能力を引き上げる政策」を実施し、現在のユーロ安による「外需拡大」に巧く対応し、国民経済を成長させているわけです。例えば、現在のユーロ危機が「ドイツ国内の不動産バブル崩壊」をトリガーにしていた場合、ドイツの「改革」は裏目に出た可能性があります。すなわち、不動産バブル崩壊で需要が急収縮し、デフレギャップがあるところに供給能力のアップがなされるという話になり、現在の日本と同じ状況に陥ったはずなのです。


 ところが、ドイツは国内で不動産バブルが発生せず、かつ各ユーロ加盟国のバブル崩壊でユーロ危機が深刻化し、ユーロが下がったことによる「外需拡大」を活用しているわけです。何というか、
「ドイツの、ドイツによる、ドイツのためのユーロ」
 という状況に陥っていることが分かります。


 すでにお分かりでしょうが、記事中の「改革」とは供給能力を引き上げるための「インフレ対策」であり、現在のスペインやギリシャが実施すると、デフレギャップが拡大し、失業率がさらに上昇します。さらに、これは朝日新聞の論調が正しいのですが、高品質な製品を生産する企業を持たない国が生産性を高めたところで、ドイツと同じ真似はできません。ドイツはあくまで「元々、競争力が高い製造業大国」だったからこそ、現在のユーロ安による外需拡大に対応できているのです。さらに、シュレーダーの一連の「改革」が経済成長の背中を押すことができているわけですね。


 とはいえ、ドイツの競争力強化は国民の可処分所得を引き下げることにより達成されました。すなわち、国民の消費という最も重要な内需が、今後、順調に増えていくのか、疑問を持たざるを得ないわけです。


 さらに、スペインやギリシャがドイツと同じ真似をすると、デフレ深刻化で財政が今以上に悪化します。そうなると、またまたユーロ安ということで、ドイツは潤うという話です。


 何と言うか、ITバブル崩壊後のドイツとユーロについて考えると、怖くなってきます。さすがに、これまでの「ドイツ復活の物語」について、誰かがシナリオを書いていたとは思いませんが、ドイツが状況を巧みに活用してきたのは確かです。


「ドイツの、ドイツによる、ドイツのためのユーロ」


 今後、次々と実施される欧州各国の選挙に注目したいと思います。


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