守秘合意

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『デフレと2012年世界経済(前編)①』三橋貴明 AJER2011.12.20(1)

『デフレと2012年世界経済(前編)②』三橋貴明 AJER2011.12.20(2)

今週と来週は今年ラストになるので、11年について振り返り、12年について考えてみました。

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 今週は毎日、対談、テレビ収録、忘年会があり、さすがにきついです・・・。単行本も書かなければなりませんし・・・。一日が三十時間くらいあれば、助かるのですが。


 さて、TPPです。赤旗(こういう時には本当に頼りになります)にとんでもない記事が掲載されました。


TPP交渉に「守秘合意」 発効後4年間、内容公開せず
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik11/2011-12-22/2011122201_02_1.html
 現在、米国など9カ国が行っている環太平洋連携協定(TPP)交渉で、交渉内容を公表しない合意があり、交渉文書は協定発効後4年間秘匿されることが、ニュージーランドのTPP首席交渉官の発表で分かりました。
 ニュージーランド外務貿易省のマーク・シンクレアTPP首席交渉官は11月末、情報公開を求める労働組合や非政府組織(NGO)の声に押され、同省の公式サイトに情報を公開できない事情を説明する文書を発表しました。同文書は、交渉開始に当たって各国の提案や交渉文書を極秘扱いとする合意があることを明らかにし、文書の取り扱いを説明した書簡のひな型を添付しました。
 それによると、交渉文書や各国の提案、関連資料を入手できるのは、政府当局者のほかは、政府の国内協議に参加する者、文書の情報を検討する必要のある者または情報を知らされる必要のある者に限られます。また、文書を入手しても、許可された者以外に見せることはできません。
 さらに、これらの文書は、TPP発効後4年間秘匿されます。TPPが成立しなかった場合は、交渉の最後の会合から4年間秘匿されます。
 米国のNGO、「パブリック・シティズン(一般市民)」は、「これまでに公表された唯一の文書は、どんな文書も公表されないという説明の文書だ」と批判しました。
 これまでに、米国労働総同盟産別会議(AFL―CIO)、ニュージーランド労働組合評議会、オーストラリア労働組合評議会などや各国のNGOがTPP交渉の情報を公開するよう求める公開書簡を各国政府に送っています。マレーシアの諸団体の連名の書簡は、「より透明なTPP交渉の過程が、交渉者や政府には明らかでないかもしれない誤りや、(国の)アイデンティティー(主体性)への危険に対し、基本的な防御をもたらす」と指摘しました。
 日本政府は、交渉に参加しないと交渉内容が分からないとして、参加を急いでいます。しかし、交渉に参加しても、交渉内容を知ることができるのは、政府内や政府が選んだ業界などに限られます国民に影響のあることであっても、国民が交渉内容を知ったときには、TPPが国会で批准され、発効してしまっている危険があります。』


 結局のところ、TPPとは日本国民のためでもなければ、アメリカ国民のためでもなく、シカゴ学派など一部の新自由主義経済学者、政治家、それにフリードマンのドクトリンに乗った一部の企業群による「ビジネス」と考えると、わかりやすいかも知れません。何しろ、
「交渉内容を知ることができるのは、政府内や政府が選んだ業界などに限られる」
 わけです。


 国家の社会制度システムを変更することが許されているのは、少なくとも日米などの民主主義国家においては主権を持つ有権者だけです。ところが、現在の一部の経済学者、政治家、企業経営者たちは、社会制度システムを「自分の都合がいいように」勝手に変更するという手法を、あちこちの国で使っています(日本のTPPなど、甘いものです)。


 無論、一部の関係者だけで一国の社会制度システムを変えてしまうなど、許される話ではないため、「こっそりとやる」わけですね。そして、システム変更を既成事実化し、後から発表するということを繰り返しています。


 とはいえ、こっそりやろうとしても↑こんなことは簡単にはできないため、シカゴ学派などは上記を「国民がショックを受けている最中」に実現しようとします。これこそが、ショック・ドクトリンというわけです。

 ナオミ・クラインのベストセラー「ショック・ドクトリン」では、ピノチェトのクーデター(民主的に選ばれた大統領を軍が殺したのです)というショックの最中にチリで行われた新自由的な実験以降、世界で繰り返されるショック・ドクトリンの事例が詳細に分析されています。この「波」とは日本すら無縁ではなく、東北の復興(復興特区法)はもちろんのこと、TPPも立派なショック・ドクトリンの一種であることが分かります。何しろ、赤旗(というか、NZの首席交渉官)にもある通り、TPP交渉の関係資料は「主権者」たる国民すら四年間は確認することができないのです。


 震災はともかく、日本の場合、国民がTPPや増税など不利益を被る「ショック」がないじゃないかと思われるかもしれませんが、山ほどあります


「日本は財政破綻する!」
「日本は成長しない!」
「日本のデフレは宿命であり、永遠に続く!」
「日本は世界から取り残されている!」
「国内市場が成長しない日本は、グローバルで生きるしかない!」
「日本の閉塞感を打ち破るためにも、世界へ向かえ!」


 上記のいわゆる抽象的な「日本ダメダメ論」こそが、日本国民に急激な「改悪」を受け入れさせるためのショックというわけです。


 別にですね、TPPだろうが増税だろうが、きちんとした具体論やデータに基づき、国民が知識、情報を共有し、民主的なプロセスを経て実施されるのであれば反対しないのです。ところが、現実には民主的なプロセスを使うと、「急激な改悪」など通るはずがないわけです。


 だからこその「守秘合意」であり、「日本ダメダメ論」なのです


「日本はもう終わった・・・」
 といった主張をネットで流す人がいますが、この種の情報を共有させ、国民に「諦めさせる」ことこそが、日本の国の形を「悪い方」に変えさせようとする人たちの狙いなのだとお思います。もちろん、日本の国の形を「悪い方」に変えようとするイッシューは、TPPや増税に限らないのですが。


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