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三橋貴明の新刊、続々登場! (「歴代総理の経済政策力」本日発売!

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 本日は「歴代総理の経済政策力 グランドビジョンを知れば経済がわかる 」の発売日でございます。

 本書は、田中角栄以降の日本の各政権の経済政策、財政政策をマクロ統計を元に解きほぐし、「今の日本がなぜこうなのか」について解き明かしたものでございます。とはいえ、何とページ数の四割が田中角栄(と言うか、高度成長期)になってしまいました。元々は、各首相にバランス良くページ数を割いて下さいと言われていたのですが、田中角栄を書き始めるとあまりにも面白く、全ページの四割を占めるに至ったわけです。


 ちなみに、本書は三橋本としては最もページ数が多いです。なぜかというと、小泉元首相までを書いたところで、予定のページ数が尽きてしまい、「終わりました~」と提出したわけですが、
「いや、安倍総理以降も書いてくださいよ・・・・」
 といわれ、大幅に加筆したためでございます。


 本書とも絡むのですが、相変わらず日本の新聞(と言うか官僚)では、「歴史的教訓」やら「通貨の信認」やら、曖昧なフレーズが飛び交い、まともな政策が打ち出せずにいます。


財務省出席者が果断な金融政策を要望=日銀会合議事要旨
http://jp.reuters.com/article/businessNews/idJPJAPAN-20974820110509
 日銀が9日に発表した4月6─7日開催の金融政策決定会合の議事要旨では、財務省出席者が「日銀においては今後とも、東日本大震災が経済や市場に与える影響や復興の状況等を踏まえながら、果断な金融政策対応をお願いしたい」と発言したことが明らかになった。また一部取りざたしている日銀による国債引き受けについては「政府として検討していない」と明言している。
 議事要旨によると、ある委員は「最近、復興財源を捻出するため、日銀が国債を引き受けるべきとの主張が一部に聞かれるが、そうした取り扱いは、初めはうまくいったようにみえても、早晩、激しいインフレを招き、国民生活に大きな打撃を与えたというのが歴史の教訓であり、この点について、広く理解を得る努力を続ける必要がある」と述べた。複数の委員は「中央銀行による国債引き受けが行われ、通貨への信認が毀損すると、長期金利の上昇や金融市場の不安定化を招き、現在、円滑に行われている国際発行が困難になるおそれもある」との認識を示した。(後略)』


 日銀国債引き受けが「国民生活に大きな打撃を与えた歴史的な教訓」とは、何でしょう?


【1923年-45年 東京小売物価指数 対前年比の推移(単位:%)】


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http://members3.jcom.home.ne.jp/takaaki.mitsuhashi/data_33.html#Senzen
出典:消費者庁「戦前からの物価指数の長期系列」


 グラフの始まりである1923年は、関東大震災が発生した年です。関東大震災は、何しろ首都東京を直撃したため、日本国内の金融システムが一時的に麻痺状態に陥ってしまいました。


 さらに、震災復興で需要(GDP)が回復した途端に、日本政府が緊縮財政に舵を切った(まさに橋本政権そのままです)結果、日本経済は深刻なデフレ状況に陥ってしまいます。1926年の東京小売物価指数は、対前年比で8%超も下落したわけで、まさしく「デフレ」です。


 その後、日本経済は何とかデフレ脱却に向けて歩み始めたのですが、1929年のアメリカ発の大恐慌と、濱口内閣の緊縮財政、産業合理化(いわゆる「改革」)により、またまたデフレに突っ込んでしまいます。1930年の東京小売物価指数は、何と対前年比で14.6%のマイナスになったのです。


 デフレに落ち込んでしまった日本経済を救うため、高橋是清が蔵相として再登板(26年、27年の恐慌を収めたのも高橋是清)し、日銀国債引き受けや政府支出拡大といった、いわゆるリフレーション政策を採用しました。結果、日本経済は世界が羨むほどのスピードで、早期に恐慌状態から脱出することができたわけです。


 その後、高橋是清は1936年2月26日の226事件で命を落とすことになります。高橋是清が狙われた最大の理由は、1934年に発足した岡田啓介内閣の大蔵大臣として、先の犬養内閣の大蔵大臣時代に、自ら始めたリフレーション政策が目標を達したとして、軍事費の削減に乗り出したためです。


 いずれにせよ、関東大震災から226事件まで、日本のインフレ率は日銀引受が行われていた時期を含め、きわめて低い水準(多くの年でマイナス)で推移しました。その後、1937年に日中戦争が始まり、東京の小売物価指数は上昇していきます。


 今も昔も、戦争こそが最もインフレ率を高めるわけです。日本国内で生産される武器弾薬は、次々に軍隊により消費されますが、その費用はもちろん政府支出により賄われるわけです。政府支出にしても、GDPの需要項目の一部です。リソースが軍に割かれ、供給能力が高まりにくい中、需要が拡大する一方になるため、物価は上昇傾向に向かうわけでございます。


 さらに、日本の物価上昇は1941年以降に本格化していきます。。もちろん、太平洋戦争勃発が原因です。


 いずれにせよ、高橋是清存命の時代、東京小売物価指数の上昇率は、ピークの1933年であっても6.5%に過ぎなかったわけです。小売物価指数上昇率6.5%を「凄まじいインフレ!」と評価するかどうかは、個人の価値観の問題ですが、少なくとも、日銀の国債引き受けが「インフレを暴走させた」という歴史的事実は存在しません。インフレ率を高騰させたのは、戦争です。


 あるいは、「通貨の信認が毀損する」という言葉。


 通貨の信任とは、何なのでしょうか。通貨の価値が相対的に落ちることが「信認が毀損」というのであれば、日本はまさに真逆の状況にいます。日本の通貨の信認は、強すぎるわけです。
 理由は明々白々で、日銀が「相対的に」充分な量の日本円を市場に供給していないためです。


【日本とアメリカのマネタリーベースの推移の比較】


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http://members3.jcom.home.ne.jp/takaaki.mitsuhashi/data_33.html#Nichibei
出典:日本銀行、FRB


 世界の基軸通貨であるアメリカ・ドルを管理するFRBは、08年9月のリーマンショック以降、銀行などが保有するGSE債(政府保証債)や長期米国債を買い上げ、マネタリーベースとして市場にドルを供給しています。そんな中、日本銀行の方は「何もしていないに等しい」わけです。


 FRBの量的緩和の結果、08年9月時点では9051億ドルに過ぎなかったアメリカのマネタリーベースは、2011年2月には2兆2063億ドルを超えました。マネタリーベースが、およそ2.5倍に拡大したわけです。


 それに対し、日本のマネタリーベースは、08年9月時点が88兆3741億円であるのに対し、2011年3月現在でも112兆7432億円であす。リーマンショック直後と比べ、わずかに1.27倍になったに過ぎないのです。


 これだけ日本銀行が「相対的に」マネタリーベースを絞り込んでしまうと、日本のデフレが継続するのはもちろん、実質金利が上昇し、為替レートは円高傾向に触れてしまうに決まっています。

 もしかして、日本銀行のいう「通貨の信認」とは、「日本円が上がり続けること」を意味してるのでしょうか。さっぱり分かりません。
 
 いずれにせよ、「政府が国債を発行し、財政出動で復興する。日銀はマネーを供給し、政府をサポートする」という、
デフレ対策、あるいは復興対策のための「普通の政策」を財務省や日銀が拒否するというのであれば、せめて「数値ベース」で理由を説明してもらう必要があります。ところが、聞こえてくる声は「歴史的教訓」「通貨の信認」といった嘘のイメージもしくは意味定義不明なフレーズばかりなのです。


 今回の復興対策の検討を見ると、日本の情報の歪みという根源的な問題が、大きく浮かび上がってきます。


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