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◆◆◆講演会のお知らせ◆◆◆
チャンネル桜支援講演会 
桜ゼミナール1月「マスコミに騙されない、経済の読み方」
講師:三橋貴明
日時:平成23年1月23日(日) 開演14時~
会場:栃木県護国神社内 護国会館
参加費:1000円
詳細は以下のURLをご覧下さい。
http://www.chsakura.com/event/sakura_seminar.html#jan
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  昨日の【朝日新聞2011年1月18日「争論 第三の開国」】の後略部です。


(戸堂氏)
 雇用については実証的にも示されています。企業が海外直接投資をした後の雇用を調べると、直後には減るものの、3年後4年後には増えていきます。これは企業が成長したこと、海外とのやり取りが増え人員が必要になることなどが原因です。
 グローバル化を進めたら海外から安価な製品が入り「デフレを輸入する」という批判があります。しかし、もしグローバル化がデフレの原因なら、グローバル化が進んでいるほかの先進国では日本よりデフレが進行しているはずです。実際そうではない以上、デフレの主因がグローバル化ではないことは明らかです。
 自由化よりも保護主義的な政策で内需を高めることが先だ、その後に国を開け、という論ですか。かつての「幼稚産業保護論」と同じでしょう。ラテンアメリカ諸国が50年代から70年代に積極的に行いましたが、全然うまくいかず、積極開国派のアジア諸国に追い越されてしまいました。現状を見れば答えははっきりしています。日本の農業を見てもわかるように、国が政策的に保護することでは産業は成長できません。
 日本各地に、十分に国際競争力があると思われるのにグローバル化していない企業がたくさんあります。私は「臥竜企業」と名づけました。「臥竜」とは伏した竜、世に出る前の英雄の意味で、「三国志」で有名な諸葛孔明がそう呼ばれました。
 国内にとどまっているのは、はっきり言ってもったいない。適切な情報を得て海外市場でのリスクを低減できれば、世界でかなりやっていけるはずです。マクロ的にも日本経済に貢献できる。こうした企業群がグローバル化することが、日本経済再生の起爆剤になるはずです。


(中野氏)
 グローバル化した世界で輸出を増やそうとすることも、デフレを促進します。日本国内の企業が輸出で競争しようとすると、低賃金で技能が高いインドや中国の労働者との競争になり、社員の給料は抑えざるを得ない。物価が下がると、実質為替レートも安くなりますから、輸出企業にとってはますます好都合で、どんどんデフレが進んでしまう。
 いまデフレ脱却にもっとも必要なのは、輸出ではなく内需を拡大して需要不足を埋めることです。日本のGDPに輸出が占める割合は2割にも達しません。ドイツなどよりもはるかに低い。日本は実は輸出立国ではなく、内需大国なのです。
 内需拡大に即効性があるのは、政府が公共投資をすることです。ですが、経済が開放された中で公共投資をしても、海外の企業が受注して国内の景気刺激につながらない恐れがある。そこで実は一時的な関税引き上げや「バイ・アメリカン」政策的な保護主義が必要なのです。現実には難しいというなら、せめてこれ以上の貿易自由化はやめてほしい。
 公共投資で需給ギャップが埋まれば、デフレは収まります。民間の投資が戻って内需が拡大すれば、関税を下げなくても輸入は自然に増える。輸出依存度の高い東アジア、環太平洋の国々は日本への輸出で潤います。これこそ真の「環太平洋パートナーシップ」です。貿易自由化が自動的に経済を成長させるわけではない。国内経済が成長してはじめて、貿易が拡大するのです。』


 昨日に続いて、本日も感想を一言。


「戸堂さん。貴方の言っていることは、全て『インフレ環境下』の出来事です」


 相変わらず、ドミナントストーリーに支配された「識者」の皆様は、デフレ環境下でインフレ対策を叫び続けるわけです。


 ついでに、デフレの発端たる「バブル崩壊」というイベントを、戸堂氏はものの見事に無視しています。90年代にバブルが崩壊したのは日本だけで、他の国ではそもそもバブルが発生していませんでした。結果的に、日本のみがデフレになったわけで、他の国がデフレではないのは当たり前です(今後は分かりませんが)。


 さらに、「グローバル化がデフレを引き起こした」などと主張している人などいません。「グローバル化がデフレを『助長』している」と言っているだけで、切っ掛けはあくまでバブル崩壊です。この辺の詭弁というか、印象操作は、さすがといった感じです。事実の一部を切り出し、自説を補強するわけですね。


 何といいますか、「絶対的価値観」の持ち主のストーカーぶりが、後略部では見事に表現されている気がします。


 いずれにしても、戸堂氏の主張は「需要が継続的に拡大する」インフレ期の話であって、デフレ期のソリューションではありません。ラテンアメリカの50年代から70年代も、見事なまでにインフレ期でした。インフレ下で国内の供給能力不足に悩んでいるのであれば、昨日も書いたように「開国」には全く反対しません。昨日のブラジルの例が、まさに当てはまります。(70年代のインフレを、開国で解決)


 とはいえ、しつこいほど繰り返しますが、現在の日本はデフレなのです。戸堂氏の主張には、見事なまでに「デフレ対策」の視点が欠けていることにお気づきいただけるでしょう。


 わたくし達、日本国民が求めているのはデフレ対策であって、「開国」のようなインフレ対策ではありません。


 おまけ。


【日本刀の如き】 中野剛志 【経済論客】
http://www.nicovideo.jp/watch/sm13344994


 UP主乙!です。


『日本はバブル後の「出口」、財政再建には企業支出を-野村総・クー氏
http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=90900001&sid=a4es09Bex8fU
 野村総合研究所のリチャード・クー主席研究員によると、米欧で信用バブルの崩壊・資産価格の下落によるバランスシート調整が長期化する中、日本は1990年から苦しんできたバブル崩壊の後始末からの「出口問題」に直面している。菅直人第2次改造内閣が取り組む財政再建には、まず企業部門の支出を促し、日本経済を支える主体を政府から民間部門に移すことが必要だという。
 クー氏(56)は18日午後、都内で講演し、今や「日本の問題は企業部門だ」と述べた。80年代後半のバブル期に膨らませた借金を90年から2005年にかけて返済し終えたのに、「人類史上」かつてない低金利の下で「まだ相当の貯蓄をやっている」と指摘。「借金に対するトラウマ」を抱える企業が「借り入れ意欲を高め、支出を促す政策が必要だ」と主張した。
 企業が借り入れによって家計部門の貯蓄を活用するようになれば「景気も良くなるし、税収も増える」ため、単年度で約44兆3000億円に及ぶ「財政赤字も相当落とすことができる」と主張。資金が退蔵されないため、国内総生産(GDP)が下押しされず、「増税もできる」が、現状は「まだ全然そこまで行っていない」と語った。 (後略)』


 わたくしは自著で、
「日本経済の問題は『国の借金』ではない! 民間の資金需要が低いことだ!
 と繰り返していますが、中野氏やクー氏のように「数値データ」を見る人は、誰でも同じ結論にたどり着くわけです。


【参考 国内銀行の貸出金、実質預金、預金超過額の推移(単位:十億円) 1990年-2010年9月】 
http://members3.jcom.home.ne.jp/takaaki.mitsuhashi/data_31.html#Ginko


 民間(特に企業)の投資意欲が高まらず、負債残高が増えない環境下で「国の借金が! 緊縮財政だ! 消費税増税だ!」などとやっていた日には、民間の投資意欲をますます削いでしまいます。現在の日本はデフレ化で実質金利(=名目金利-期待インフレ率)が高いため、企業は投資をするよりも内部留保で溜め込んでいる(もしくは負債を返済する)方が有利です。


 というわけで、クー氏の言う「企業の借り入れ意欲を高め、支出を促す政策が必要だ」に全く異論はございません。これが実現できるのであれば、方法は別に公共投資拡大でなくても構いません。


 が、現実的には銀行の貸出態度DIがプラスになっているにも関わらず、貸出残高の方は減少を続けているわけです。国内の民間の資金需要を高めるには、まずは政府が公共投資を拡大し、自転車の一漕ぎめを漕ぐ必要があるでしょう、と言っているだけです。(日銀の更なる金融拡大が必要なのは、今さら言うまでもないですが)


 また、大手企業が「「人類史上かつてない低金利の下で、まだ相当の貯蓄をやっている」以上、法人税の「全面的な」引き下げには、反対せざるを得ません。法人税を引き下げ、企業の純利益を増やしても、内部留保(貯蓄)に向かうだけです。やるならば、何らかの「国家のグランドデザイン」に基づいた投資減税でなければなりません。
 
 正直言って、与謝野氏という財務省の手先を取り込んだ現在の管内閣は、「財務省の緊縮財政至上主義の最後の仇花」です。少なくとも、消費税増税やTPP批准が実現したら、日本のデフレ深刻化に一役買ってしまうでしょう。


 逆に、この内閣が崩壊したときにはじめて、日本でようやく「まともなデフレ脱却論」が議論され始めると考えているわけです。

 いずれにしても、管内閣のようなデフレ促進内閣には、速やかにご退場頂かねばなりません。それも、可能な限り速やかに。



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