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「今日の○○は世界の他国すべてに無用な国家になっており、その結果、考慮に値しないものになっている」
↑この○○に入る「国名」を当ててください。(答えは一番下)
日本とアメリカの09年9月末時点の「日米家計の金融資産 比較」をグラフ化しました。
日米家計の金融資産 比較 2009年9月末時点
http://members3.jcom.home.ne.jp/takaaki.mitsuhashi/data_26.html#Nichibeikakei
前回(09年6月末)と比べて、あまり変化はありません。
最近、政治家の方々とお話しする機会が増えていると書きましたが(金曜日も、皆さんが大好きな女性政治家さんと会う予定です)、最初に以下の三つを頭に叩き込んで頂くことにしております。
(1)国家経済にはフロー(GDP)とストック(国家のバランスシート)がある
(2)フローにおいて「誰かの支出は、誰かの所得」である
(3)ストックにおいて「誰かの負債は、誰かの資産」である
当ブログをお読み頂いている方々には、「何を今さら・・・・」という感じですが、はっきり言って「日本のインテリ層(自称)」は、この基本すら全く理解していません。
廣宮さんから「リチャード・クー氏が以前書いていた」話としてお聞きしたのですが、クー氏が政治家にバランスシート不況について説明して回ったとき、理解した人はわずかに三名だけだったそうです。
その方々とは、「中曽根康弘」「麻生太郎」「亀井静香」の三名とのことでございます。中曽根元首相以外は、「なるほど~」と思いますよね。(わたくしは年齢的に、中曽根氏の経済認識や政策がどうだったのか、あまり知りません)
上記の(1)を理解できれば、「家計の金融資産が取り崩されて、国債が買われなくなるるるるぅぅぅぅ!」という論旨が、いかにナンセンスであるかが分かります。
【日本国家のバランスシート 2009年9月末速報値・6月末確定値(単位:兆円)】
http://members3.jcom.home.ne.jp/takaaki.mitsuhashi/data_26.html#JPBS0909
上記国家のバランスシート上で、家計の資産が取り崩されるということは、「何かに使われる」ということを意味します。例えば、1439.5兆円のうち、50兆円だけでも取り崩され、「消費」に使われた場合、国家経済のフロー(GDP)が「最低でも」10%成長することになります。何しろ、現在300兆円弱の個人消費(フロー上の「民間最終消費支出」)が、いきなり50兆円も増えるわけです。
日本は「高度成長期以来の好景気」に突入し、国債を発行する必要性が皆無になるでしょう。
また、(2)を理解していれば、「家計の消費支出は、民間企業の所得である」という、当たり前のことが理解できます。それを理解すれば、家計が消費に使った50兆円が「この世から消える(笑)」わけでも何でもなく、単に企業の銀行口座に移るに過ぎないということが分かるでしょう。
国家のストック上で、「家計の資産」から「非金融法人企業の資産」にお金が移動するだけなのです。すなわち、家計がどんなに頑張って金融資産を取り崩して消費に使っても、「国家全体の金融資産」が減ることは決してないわけです。
と言いますか、家計がストックを取り崩すことでフローが成長すると、貯蓄性向分のお金が再び家計の資産としてストックに積みあがります。結果、国家全体の金融資産は却って増大することになるわけです。
また、「誰かの負債は、誰かの資産」を頭に叩き込めば、日本経済の大本の問題たる「なぜ銀行が国債を買い続けているのか」を理解することができます。その時点で初めて、日本経済に対する政策的なソリューションを構築することができるのです。これまでに何度も繰り返し、この後も百遍以上言い続けるつもりですが、「正しい問題把握なしに、正しいソリューションを構築することは、この世の誰にもできない」のです。
噂の増田悦佐氏の新著「内向の世界帝国 日本の時代がやってくる(http://www.amazon.co.jp/dp/4757122497/
)」を読みました。当ブログユーザの皆さまには、「超面白い!」一冊であることは間違いないと思います。
と言いますか、これまでに何度か書いたように、わたくしは「思想的」には増田氏の影響を最も受けています。都市型文明、中核都市をリニアや新幹線で結んでいくことによる「東京」の拡張、インフラが整い治安のいい中核都市へのリソース集中、などなど、わたくしがこれから様々なチャネルで提言していくことは、基本的には増田氏の「文明論」がベースになっているのです。
麻生さんも、
「鉄道を発明したのはイギリス人だが、鉄道網(ネットワーク)を発明したのは日本人だ」
と仰っていましたので、ほぼ確実に増田氏の影響を受けていると思います。
ちなみに、増田氏が当ブログをご訪問されていると、今年始めに編集さんからお聞きしたことがあります。そのためなのかどうかは分かりませんが、
「マスコミが連日報じている『日本ダメダメ論』」
などと、思わずニヤリとしてしまう表現が使われており、大変楽しめる一冊になっています。
『それにしても、なぜ深刻な金融危機に直面していちばん苦しんだ国、そして一番深刻な自信喪失状態に追い込まれた国が、次の時代の覇権国になるのだろうか。手短に結論をいってしまえば、知識人が自分たちの都合のいい方向に大衆を引きずりまわす能力が低下して、みんながそれぞれに自分で自分の生き方を考えるの世の中になるので、国民全体の持っている潜在力が解放されるからだ。
とても残念なことだが、豊かで平和な時代には大衆は知識人の権威や権力に疑いを持たず、彼らの言いなりになっているケースが多い。あまり波風の立たない時代には、それでも知識人たちは大過なく政治・経済・社会のさまざまな分野でリーダーシップを発揮することができていた。
ところが、危機の時代にはそうはいかない。危機の時代とはどういう時代かというと、だれもどんな答えが正解なのか見当もつかないような時代だ。
(増田悦佐:著「内向きの世界帝国 日本の時代がやってくる」NTT出版 P94)』
先日、「民主党は黒船である」という主旨のことを書きましたが、現代という時代はまさに「幕末」に似ていると思います。
黒船とは、要するに「植民地主義の西欧諸国の圧力」というわけですが、その圧力に屈し、インドや中国がどうなってしまったのか、その種の情報も合わせて当時は流入してきていました。イギリスの植民地になったインドや、アヘン戦争に敗北した中国の存在は、「黒船」に対する日本人の恐怖感を、いやがおうにも高めたに違いありません。(ちなみに、「過去のインドや中国」が「現在のチベットやウイグル、台湾」とういわけですね。)
ところで、突然話が変わりますが、冒頭の文章は、1640年にヴェネツィアの外交官であったクリストファー・ヒルが書いた言葉です。そして、○○に入る国名は、「イングランド」になります。
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【修正です(何と著者ご本人様より)】さて本題ですが、ご引用いただいた文章は、現代イギリスの歴史家クリストファー・ヒルが引用した、彼の著書でも無名にとどまっているヴェネツィアの駐イギリス大使の本国への書簡からの孫引きです。以上、細かしいことで恐縮です。
---ここまで
当時のイギリスは、本日のタイトル通り「他国すべてに無用な国家」と呼ばれていたのです。その後、イギリスは世界の経済的な覇権を握り、二百年も続く「パックス・ブリタニカ」が始まりました。
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