11月25日(火) 20:55~21:20 J-WAVE(FMラジオ・81.3・首都圏ネット)「JAM THE WORLD」に生放送出演します
「SPA 11月25日号」P4に、インタビュー記事が載っています。内容はIMFと日本の1000億ドル資金供給についてです。 http://spa.fusosha.co.jp/
「夕刊フジ 11月14日版 韓国経済“崩壊”危機…止まらぬウォン安、年末要注意」にインタビュー記事が載りました。 http://www.zakzak.co.jp/top/200811/t2008111445_all.html

 朝日新聞『初の「赤字転落」の非常事態』のネタで書こうと思ったのですが、 EDINETに有価証券報告書として掲載されたわけじゃないんですね。売上高や営業利益など、損益計算書の一部だけでは分析も難しいので、とりあえず止めておきます。(今回の「赤字転落」関連の朝日新聞の財務諸表が掲載されているところをご存知の方がいらっしゃいましたら、ご教授ください。)
 さて、円高&外需縮小を受け、様々な媒体・メディアで、ようやく内需振興論が真面目に語られ始めました。
 以前NO様から「ある施策」について、内需拡大効果が高いとご指摘頂いていたのですが、それがいよいよ本格化してきそうなので取り上げます。その施策とは、日本の大手輸出企業に対する「海外子会社からの配当の非課税化」です。
 この施策については、経済産業省が音頭をとり、今年の春から検討されてきました。

海外子会社からの配当を非課税に、国内資金還流促進のため09年度実施目指す=経済産業省
http://jp.reuters.com/article/economicPolicies/idJPnTK012812420080509
 経済産業省は、企業が海外で稼いだ利益が過度に海外に保留されている現状を踏まえ、企業の海外子会社の利益からの受取配当金を非課税とする税制改正を2009年度から実施することを目指している。国内資金還流を促進して研究開発投資などを活発化させることが狙い。同省が9日、明らかにした。
 企業の海外生産比率は2006年度に31.8%に達し、海外経常利益の金額もこの5年間で3倍以上に増えている。しかしこれらの利益の大方は海外に保留される傾向が見られ、日本の国内に還流する額は微増にとどまっている。経済産業省によると、海外現地法人の内部留保は04、05年度ともに2兆円を超えており、累計残高は12兆円強にのぼる。このため国内での研究開発投資などが国外に出て行く懸念もある。
 こうした傾向の背景として、日本の課税制度に一因があると指摘されているため、経済産業省では、これまでの海外利益に対する課税方式を、企業が国内に資金を還流しやすいよう簡素化した税制にする方針を09年度税制改正大綱に盛り込む方針だ。(後略)』

 これまで日本の企業が過去に莫大な海外直接投資を行い、現地の子会社が利益を上げ、配当が日本に流れ込むことで(経常収支の中の)所得収支が大きく黒字化していることは、皆さんご存知のところです。ところが、あの所得収支の黒字でさえ、実は日本企業の現地法人の利益の一部分に過ぎないのです。
 なぜ日本企業は海外子会社の利益を、日本国内に還流させないのか。その理由は、税制にあります。
 日本の法人税は40%位ですが、日本より法人税が安い国(つまり世界のほとんどの国)で稼いだ利益を日本に還流させようとすると、税率の差額が追加で課税されてしまうという問題があるのです。例えば法人税20%の国で稼いだ利益を日本に戻すと、差額の20%が追加で課税されてしまいます。そのため、日本企業は海外子会社で稼いだ利益を日本に還元せず、現地で再投資するか、或いは現地所法人の内部留保として積み上げておく(要は遊ばせる)傾向が強くなっているのです。
 ロイターでは05年末の海外現地法人の内部留保残高が12兆円強となっていますが、06年末には17兆円にまで膨らみました。海外で稼ぎまくっている日本企業にとって、現地の利益をどのように日本に還元するかが、大きな悩みになっていたのです。
 海外現地法人の利益を日本に還流させられないため、その分の日本国内への設備投資や研究開発投資が薄くなるわけで、これは非常に勿体無い話です。
 海外現地法人の内部留保残高は、05年から06年に掛けて5兆円も増加しました。裏を返せば、この追加課税の問題が解消すれば、最大で5兆円の資金が日本に還流した可能性があるのです。もしも全額が日本国内の設備投資に使われたと仮定すると(もちろん、実際にはそんなことは有り得ませんが)、日本のGDPを約1%押し上げる計算になります。
 この海外利益の還流策としての税制改正については、麻生首相も衆院本会議で検討している旨を発言していました。是非実現して欲しいものです。

 さて、日本の貿易収支は赤字化することが増えてきましたが、十月末の「一年後の未来から」
http://blogs.yahoo.co.jp/takaakimitsuhashi/19270748.html
 でも書いたように、わたしは一年後には日本は貿易収支が通年で均衡に近づくか、或いは恒常的に赤字になると予想しています。
 しかし、元々日本は所得収支の黒字が莫大です。その上、前述の海外利益に対する二重課税問題が片付けば、更に所得収支の黒字が膨らみます。そのため、経常収支が赤字になる事は(今後十年くらいは)有り得ないと予想しています。
 経常収支の黒字が続くという事は、対外債権が積み上がり、通貨高の傾向が続く事を意味しています。

円高
輸入(資源等)物価安
貿易赤字
■所得収支黒字(これは今と同じ)
■対外債権増加(これも今と同じ)
個人消費の拡大

 これからの日本は、上記を前提にモデルを組み立てるべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。

 人気ブログランキングに参加しました。
 韓国と別の意味で日本経済wktk!な方は↓このリンクをクリックを。
http://blog.with2.net/in.php?636493  
 ※おかげさまで、人気ブログランキングの「ニュース部門」で首位奪還致しました。皆様のご協力に感謝します m(_ _)m

 新世紀のビッグブラザーへ ホームページは↓こちらです。
http://members3.jcom.home.ne.jp/takaaki.mitsuhashi/index.htm
 新世紀のビッグブラザーへ blog一覧は↓こちらです。
http://members3.jcom.home.ne.jp/takaaki.mitsuhashi/blog.html