「メリークリスマス!麻生首相」祭り開催中
http://blogs.yahoo.co.jp/takaakimitsuhashi/21288749.html
まだご参加されていない方は、是非!
三橋貴明診断士事務所を開設しました。お仕事のご依頼はこちらから
http://takaaki-mitsuhashi.com/
表現者2009年1月号 特集「グローバル経済の破綻と日本のゆくえ」というタイトルで座談会記事が掲載されます。

 アメリカがついに「ゼロ金利」に突入し、日米の金利差が逆転してしまいました。
 07年夏以降のFRBの断続的な利下げは、なぜか利下げ直後に「ドル高・株高」を引き起こしていました。株高は分かるのですが、なぜFRBが利下げをし、日米金利差が接近してドル高になるのか、不思議でたまらなかったのですが、今回はオーソドックスにドル安となりました。

東京外為:ドルが対円で13年ぶり安値、米ゼロ金利政策重し-88円台
http://www.bloomberg.com/apps/news?pid=90003017&sid=aE7THc2gf2zQ&refer=jp_news_index
 東京外国為替市場では午後の取引でドルが一段安の展開となった。ドル・円相場は一時1ドル=88円24銭(ブルームバーグ・データ参照、以下同じ)と、1995年8月2日以来、約13年4カ月ぶりのドル安値を更新した。米連邦準備制度理事会(FRB)が政策金利をゼロ近辺に大きく引き下げたことから、金利面での劣位性を背景にドル売りが加速した。
 みずほコーポレート銀行国際為替部の時田剛調査役は、米国の実質ゼロ金利政策を受けて、ドル安の潮流が深まっていると指摘。さらに、「米国は未曾有の金融危機に対してかなりの財政出動を行っていることから、いずれは財政赤字が市場の焦点にならざるを得ない」としたうえで、一段のドル安進行は免れないとみている。 』

 政策金利0%~0.25%への引き下げは、もちろんアメリカ史上初めてのことです。空前絶後の低金利というわけですが、日本人にはなじみがありすぎて、衝撃度が今一ですね。
 ゼロ金利政策突入にあわせ、FOMC(連邦公開市場委員会)は「この先の政策における焦点は、公開市場操作やその他FRBのバランスシートを高水準で維持する措置を通じた金融市場の機能支援と景気刺激になる」と、量的緩和の予告とも取れる声明を出します。FRBは今後数四半期に渡り、機関債やRMBS、そして長期の米国債を購入し、市場に流動性を供給することになります。もちろん、FRB(というか、アメリカ)には債券を購入するマネーなど持ち合わせてはいませんので、FRBの買いオペレーションの手段は「ドル紙幣の印刷」となります。
 プリンティング・マネーの時代が到来したのです。ブルームバーグの報道によると、前セントルイス連銀総裁であるウィリアム・プール氏は「FOMCは経済成長再開を見届けるまで無制限に紙幣を印刷するとのメッセージを伝えている」と述べたそうです。正真正銘のプリンティング・マネーです。マジです、アメリカ。
 おさらいですが、日銀が円高を抑えるために為替介入する場合、
 ①日本政府が政府短期証券を発行し、主に日本国内の銀行から円を調達する
 ②日銀が調達した円を用い、外為市場でドルを購入する(ことで、円高を押さえ込む)
 ③日銀が購入したドルで米国債を購入し、運用する
 となり、別に為替介入のために円を刷っているわけではありません。価格の上下はありますが、全体的な円の量は、増えても減ってもいないのです。
 それに対し、今回のアメリカの場合は、FRBがドルを印刷し、米国債などを購入することで市場にマネーを提供していくわけで、市場におけるドル供給量そのものが増えていくのです。この危険性は改めて説明するまでもありません。
 何が危険かといえば、インフレーションも無論そうですが、それ以上に真実、ドル崩壊を招きかねないという点です。
 ご存知、日本国債の買い手の九割以上は日本の金融機関、日本の国民ですので、言わば国債の売り手(日本政府)と買い手が一蓮托生になっています。これに対し、アメリカの場合は国債の引き受け手の多くが外国政府です。(要は、外貨準備を米国債で運用しているのです。)今年九月末時点の中国の米国債保有残高は5,850億ドル。日本は頑張って保有残高を漸減させつつあるとは言え、それでも5,732億ドル。三位の英国は3,384億ドル。
 億ドルで書くと何となく実感がわきませんが、要は主要国は「数十兆円」単位の米国債をそれぞれ保有しているわけです。既に保有している莫大な米国債が、「刷られた」ドルと交換されていく中、各国政府や金融機関は素直に米国債の購入を続けていくでしょうか?
 昨日のエントリーでも書きましたが、アメリカは今回のグレート・リセッションから回復するために、切実にマネーを必要としています。そして多くの国民が借金返済に苦しみ、増税が殆ど不可能である以上、アメリカに採りうる手段は米国債の乱発しかありません。
 片や、財政政策の原資として米国債を乱発。片や、金融政策の一環として、ドル紙幣を乱発。こんな状況の中で、ドルや米国債、そしてFRBの信用が維持されると考える方が無理というものです。
 極端な書き方をすると、アメリカはまず米国債を海外投資家に販売し、財政政策のためのマネーを入手。その後、ドル紙幣を刷り、海外投資家が購入した米国債を買い戻す(買い戻した米国債はFRBのバランスシートに積み上がる)という離れ業が可能なわけです。あるいは米国債の償還時に、ドルを刷って対応してしまうという手もありです。
 いずれにしても、アメリカ、FRBは自分バランスシートを不良債権買取で痛めつつ、ドルを市場に際限なく供給する中で、海外に米国債を売りつけなければならないわけです。神業的なオペレーションが必要だと思います。失敗するとドルの暴落、あるいは米国債の格下げ、すなわちドル崩壊です。
 こんな面倒くさいことをするくらいなら、いっそドル紙幣を無条件で印刷し、公共事業に突っ込めばいいようにも思えますが、それこそ「ジンバブエ・コース一直線」ですので、アメリカにできる話ではありません。現FRB議長のバーナンキ氏は「ヘリコプター・ベン」と揶揄されていますが、これは氏がFRB理事だった頃に、デフレ対策として「ヘリコプターから紙幣をばら撒く」というたとえ話を使ったことに由来しています。もちろん、何ら裏づけの無い中でドル紙幣を印刷してばら撒けば、貨幣価値が暴落し、ハイパーインフレーションとドル暴落を引き起こします。 
 バーナンキ氏は無論、あくまでたとえ話として「ヘリコプター」を使ったのです。
 
 しかし、一年前にはまさか日米金利差が逆転する日が来るとは思ってもみませんでした。日米金利差を担保とした、円キャリーという魔物が荒れ狂った時期についても、そのうち懐かしく思い返される日が来るのでしょうか。
 現在、米欧金利差拡大により、ユーロが値を上げていますが、例の半期決算問題(欧州金融機関は半期決算で、リーマン・ショック以降の状況が未だオープンにされていない。12月に決算が締められ、1月下旬から2月上旬になって初めて、リーマン・ショック以降の悪影響が公表される。) が控えていることもあり、このまま順調に推移していくとは思えません。
 結局のところ、日本円だけが一方的に騰がっていく状況は避けられないと思いますので、各企業は超円高を前提に経営戦略を立てる時期が来たのではないかと思います。超円高は裏を返せば、日本人の購買力が日々上がり続けていることを意味しています。
 その上、日本には総額でアメリカをも上回る現預金という強力な武器があるため、日本の問題は「いかに日本人に金を使わせるか?」の一点にほぼ絞られるのです。はっきり言って、こんな暢気な状況でいられるのは、世界中を見渡しても日本ただ一国ですよ。他国では投資にせよ消費にせよ、あるいは政府支出(公共投資)にせよ、その原資となるマネーをどのように捻出するかが、大きなボトルネックとなっているのです。アメリカを見れば分かると思いますが。

 人気ブログランキングに参加しました。
 
アメリカ経済マジgkbr!と思う方は↓このリンクをクリックを。
http://blog.with2.net/in.php?636493  
 ※人気ブログランキングの「ニュース部門」で一位を継続中です。皆様のご協力に御礼申し上げます。m(_ _)m 

 新世紀のビッグブラザーへ ホームページは↓こちらです。
http://members3.jcom.home.ne.jp/takaaki.mitsuhashi/index.htm
 新世紀のビッグブラザーへ blog一覧は↓こちらです。
http://members3.jcom.home.ne.jp/takaaki.mitsuhashi/blog.html
 関連blogへのリンク一覧は↓こちらです。
http://members3.jcom.home.ne.jp/takaaki.mitsuhashi/link.html