2016年制作のロシア映画。

 

 人類と異種生命体グールによる戦争が勃発。人類の特務機関は火力抜群の銃器でグール軍団に応戦する。驚異的な体を持つグールは弾丸をかわし人間たちを八つ裂きに。人智を超えた力が激突する戦いから目が離せない!

 配達員のパーシャは夢の中で見た女性を謎の集団から救う。彼女が異種生命体グールの王女だったことから、パーシャはグールとの戦いに巻き込まれて・・・。

 わくわくのファンタスティック・サスペンススリラー&ホラー映画(*^_^*)

あらすじは・・・

 

 モスクワで女性歌手が失踪するが、彼女と出会った冴えない少年は、彼女がヴァンパイア(人間を食べる“グール”の一種という解釈)の一族の王女だと知ってびっくり。人間と異なる生命体を捜すロシア連邦保安庁の特殊任務“D局”は少年を見習いエージェントにスカウトし……。

 まるでロシア版「メン・イン・ブラック」のようなチームに仲間入りした少年は女性歌手を救おうと活躍。アクション、VFX、特殊メイクなど、ハリウッド映画に匹敵するスケールだ。

 

 高層ビルから飛び降りる夢を何度も見るパシャは、速配サービスの仕事をしている。彼は歌手であるダナ・ロキスのファンだったが、ホテルに書類を届けた折、夢に出て来る女性の腕輪と、ダナの首の後ろにあるタトゥーを持つ女性を見つける。もしや、今の女性はダナではないかと訝るパシャは、受付に全財産を差し出して部屋を聞いた。

 ダナは現在、行方不明と報道されている。聞き出した部屋へと赴いたパシャだったが、突如2人の男に殴られて気絶。
 ダナはナイフを手に、襲い来る3人を相手に奮闘するも、容易に捕まってしまう。隙を見て奴らの手から逃れようとするが、危うく殺されそうになる。ようやく、気が付いたパシャの助けにより、命からがら助かったダナとパシャは、ホテルの屋上へ逃れる。

 追手が迫っていた。パシャは咄嗟にテーブルを手に構える。襲い来る巨漢の男は、人間とはとても思えない相貌と力を持っていた。転んだ拍子に、男がテーブルの脚へ突き刺さる。巨漢の男は、最後の咆哮をして瞬く間に灰となり、錆のついた骨だけを残して消えた。

 驚いたダナはパシャのことを戦士と言うが、彼には何のことだか分からない。なぜか待っていたと言われ、キスをされた。彼女は自分を見つけろと言葉を残し、屋上から飛び降りていく。
 そこへ、白髪の男と赤い髪の女が現れる。ダナを襲った奴らだが、彼らはすぐさま姿を消した。
 その後に、得体の知れない男達が銃を乱射しながら、突撃して来た。パシャは何が起きたのか聞こうとするも、催眠スプレーを噴射されてしまい、意識を失くした。

 翌朝、いつものように自宅のベッドから落ちて目を覚ましたパシャは、ラジオでダナのアルバム発売の情報を聞き、昨夜のホテルへ向かった。そこで、ダナの腕輪を見つける。腕輪を持ってエレベーターへ乗り込もうとすると、催眠スプレーの男が立っていた。半ば無理矢理、車へ拉致。身元を調べられる。

 鏡張りの部屋に閉じ込められたパシャ。そこへ催眠スプレーの男、連邦保安庁のガマユンが来る。特殊任務のD局所属でコードネームはイゴール。Dとはデーモン、悪魔のことだ。モスクワにいる異なる生命体を監視するのが、彼らの仕事らしい。
 俄かには信じられない話で、パシャは思わず笑ってしまうが、イゴールは至極真面目だ。記憶を消すか、話を聞くか二択を迫られ、パシャは話を聞くことにした。

 イゴールから参考文献を受けとる。モスクワには40種類もの異種生命体がおり、彼らは自らを“堕ちた者”と呼称しているらしい。
 昨夜、襲い掛かって来た者達はグール。俗に言う吸血鬼だ。資料を渡され目を通すと、ダナは由緒ある吸血族の王位を継承する王女だった。

 失踪していたダナをD局が感知し、そこへ向かったら人間がグールを殺していた。
 これは140年間で初めてのことだったらしい。その人間がパシャである。彼はどうやら、堕ちた者達の血を引く100万人に1人という稀な存在らしい。
 イゴールは堕ちた者との仲介者としてパシャを使いたいと言うが、彼は即座に決断が出来なかった。

 ひと晩、文献と睨み合いながら悩むパシャ。そうして、イゴールの元で働くことを決めた。
 局本部でイゴールによる訓練をしつつ調査へも同行。情報通の木精と会うことになった。
 木精の話によると、ダナの父親が亡くなり王女の夫となるため、あらゆる種族がダナを狙っているらしい。更には、人間と堕ちた者達の戦争が始まるという話。運命の日は、じきに訪れる日食の日。戦いに負ければ、世界の秩序が変わるだろう。

 白髪の男の身元が判明した。奴の名はヤンクル。切り裂きヤンクルと渾名されており、残酷な男だった。彼は姉の手を借りて復活。ダナを手に入れ、堕ちた者達の頂点に立つことを目論んでいた。

 堕ちた者が経営する、中華系のクラブへ来たイゴールとパシャ。パシャはそこで、オーナーである女性からダナの居場所を知らされる。そして、彼女を救いたいなら、自分の心の声に耳を傾けろと言われた。

 パシャの話から、イゴールは場所の検討をつけて出撃。果たして、そこにダナはいた。だが、彼女は部隊を見て抵抗する。パシャは彼女を説得後、捕縛して檻に入れた。
 その直後、ヤンクル一派が急襲。D局の移動手段は地下鉄である。狭い車内では激しい戦闘が繰り広げられた。そして、ヤンクルが登場。常軌を逸した戦いが始まる。ヤンクルを倒すために電車は地上を目指していた。パシャは咄嗟にダナを庇い、ヤンクルの姉は太陽の光に焼かれて灰となった。

 その後、ヤンクル一派がプロムパーティを襲撃しD局が出動。仲介者であるパシャは1人、本部に残ってダナを守ることになった。
 パシャはダナに腕輪を返し、運命の夢について彼女と話をする。そこへ、緊急通信が入った。各地から入る通信にパシャは、ヤンクルが本部の場所を把握していることを察知。部隊は遠くへ誘き出され、本部は丸裸だ。

 パシャはダナを連れて、本部から脱出しようとするが、時すでに遅く。2人はヤンクルに見つかってしまい、ダナが連れ去れてしまう。
 パシャは戻って来たイゴールに、期待外れだったと謹慎を告げられた。

 パシャは中華系クラブのオーナーに助けを求める。彼女から潜在能力を引き出す術を聞いた。それは暗号のようでもあり、言葉通りとも思えた。
 パシャは本部へ戻り武装後、夢で見たビルへと向かった。彼は自らに、自分は戦士であると言い聞かせる。気合を入れて奴らの元へ。

 1人目はなんとかやっつけた。部屋へ向かうと2人のグールが襲って来る。様々な武器を用いて、必死に戦う。クラブオーナーの助けもあり、パシャは2人のグールを倒して、屋上へ向かった。

 月が太陽を隠している。ダナを救うため、パシャは必死にヤンクルへと立ち向かうが、奴の力は強大だった。しかし、パシャは諦めない。何としてでもダナを救うのだ。
 ビルから落とされそうになっても、どうにかしがみついて登った。

 両手は血塗れ。全ては夢の通りだった。
 ヤンクルは今にもダナに食い付こうとしている。信じる心が恐れに打ち勝つ。パシャは呟き、ヤンクルへと突進。奴と共にビルから飛び降りる。空中でヤンクルを灰にしたパシャは、そのまま車の上へと落下した。

 病院で目を覚ましたパシャ。身体のどこにも不調は見られない。あの時確かに、落下して死んだはずだった。
 そこへ、イゴールが現れる。彼の様子からパシャは全てを察知した。あの日食の日、ダナが彼を救ったのだ。結果、彼女に選ばれたパシャは堕ちた者達の頂点に立った。
 夜、彼はダナとデートをする。2人は夜を統べる王と女王になったのだった。

 

これは面白い!!久しぶりにわくわくする映画だった。大好きな映画になりましたね。

 ロシア発SFダーク・ファンタジーということで『ナイト・ウォッチ』『デイ・ウォッチ』のようなスタイリッシュ演出に、吸血族が人知れず存在する世界観が『ブレイド』や『アンダーワールド』を彷彿とさせ、それらを管理する秘密組織にスカウトされ指導される主人公という設定が『MIBメン・イン・ブラック』と丸かぶり。

 いろんな映画をかいつまんだような作品ですがこれがまたツボにハマる中二感で最高でした。

 ストーリーこそは既視感の塊で独自性がまったくありませんが、それをカバーする演出がロシアの独自性の塊のようなもので最高にバランスが良かった。

 最初のホテルの通路でのバトルから一気に引き込まれた。

 飛んだり跳ねたり重力を感じさせない動きにハイスピードとスローモーションの使い方が上手くて超人っぽさの演出が見事。

 そして何をもっても特に優れていたのはカメラワークだ。

 カメラワークのセンスが光りまくっていてハリウッドには無いスタイリッシュさを感じた。

 そして、本作を盛り上げる要素として挙げられるのは音楽のセンスの良さもある。

所々流れるテクノ調の楽曲、主人公が悩んでいる時に流れるメロディアスな楽曲それぞれが怖ろしいくらいに画面に合っているのだ。

 

 主人公についてはヘタレで決して強くないのだが、クライマックスに単身敵の本拠地に乗り込んでいく展開はアツくてたまらない。

 単なる配達員がいきなり超絶優秀な狩人になったりはしないというのがロシアの考え方なのだろうか。主人公は実は100万人に1人の選ばれし者だったり、特に理由もなく王女に好かれたり、まるで男の子の理想の実現とも言える設定で固められた主人公だったが戦闘力だけは初期値のままというのが斬新だ。

 ラスボスの倒し方も自爆特攻で相打ちに持ち込んでギリギリ倒すというのもヒロイックではあるが爽快感はなく賛否両論に思うけど。

 オチも王女のキスで異種生命体の王となって死から蘇るという展開が予定調和感にあふれていてパッとしないけどね。

 このラストのためだけに人物設定を考えたかのような無理矢理感が全編にあってアイデア不足が否めない。それでも未公開映画としては出来が非常に良く、新鋭の登場を思わせる佳作だった。

キャストは・・・

◎パシャ(イワン・ヤンコフスキー)

 歌姫ダナとの夢を、何度も繰り返し見る青年。堕ちた者の血を引く特殊な人間。

◎ガマユン / イゴール(レオンド・ヤルモルニク)

 特殊任務D局の優秀な指揮官。少々、傲慢な言い方をするもやり手。

◎ダナ・ロキス(リュボフ・アクショノワ)

 吸血族王家、ロキス家の正統なる血筋を持つ女性。歌手で美しく聡明。首の後ろにドラゴンのタトゥーがある。

◎ヤンクル(ミハイル・エフラノフ)

 吸血族で残忍な性質を持つ男。王女ダナの血を狙っている。白髪。

映画予告編

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