観てきました。
短編映画と思っていましたが、映画としての尺は十分にあり、安心しました。
映画のクオリティについて、作画に関しては本当に素晴らしい出来となっています。
これだけで見る価値のある作品です。
最高水準でテレビシリーズから変わることなく安定しているのが本当に凄いですよね。
こんな制作会社は京都アニメーションしかないと思います。
シナリオについて
個人的には残念な内容だったと思います。
話の筋は感動的な内容でしたが、主人公がはっきりとせず、誰に感情移入して良いのか分かりません。
今回のシナリオであれば、戦争孤児の二人の少女が主人公にならなければいけないけど、新キャラを主人公にするには挑戦的に感じたのか、結果的に主人公はヴァイオレットを含めた3人又は主人公不在のような構成だったかと思います。
テレビアニメの場合、1話ごとに手紙の依頼人にスポットを当て、その人や出来事に触れることで主人公のヴァイオレットが人として成長していく物語でした。
だから、依頼人とヴァイオレット、二人にスポットが当たっても違和感はありませんでした。
しかし、今作のヴァイオレットは人としても、自動手記人形として完成されており、彼女は今作で何も得ていないと思います。
強いてあげるのなら”友達”ができたくらい。
次作で描きたいであろう、ヴァイオレットの恋について、少し触れてはいますが、彼女はそこから答えを見つけ出すことができていません。
同僚との結婚だの恋愛だのの会話のやりとりについて、この映画では意味のあるものになってはいませんでした。
あくまで匂わせる程度。
構成についても、学校に嫌々通っているヒロインの目的が前半でハッキリとしません。
中盤になって、ヒロインの口から事情を聞くことになるのですが、それまでは誰にも感情移入ができない状況だったと思います。
また、事情を聞いた後の卒業までの流れがあまりにも短く、卒業以降は時系列が飛び、義妹中心に物語が展開する為、やや見づらさを感じました。
また、ラストに義妹から姉に手紙を送るシーン。
目の前に本人がいるのに直接渡すことはありませんでした。
彼女は自分の決意の為、そうしたわけですが、映画として、あの場面で再会しないのは盛り上がりに欠けます。
ストーリーを長期的に見れば、問題のない流れではありますが、映画としては改変してでも、あそこで再会することが良かったように思います。
作画について。
上記で挙げたようにこれだけで見る価値のある作品。
電車の窓から反射するヴァイオレットの表情とか、光の表現とか、木漏れ日に当たる人物とか、一つ一つが細かい。
今回はアクションシーンがあったわけでもないのに、作画が凄いと思えるのは最初から最後まで書き込み量の多い線画と背景、それに合わせた撮影効果にあるように思います。
今回の映画は全体的に見れば残念な出来でしたが、冬にある映画は主人公がヴァイオレットになっているように予告では感じましたので、冬の映画に期待したいです。
ただ人によっては楽しめるのかもしれません、劇場では泣いている方もちらほらいましたので。
僕が観た時はアニメ映画なのに一番大きいスクリーンで公開されていましたが、全国的にもそうだったんでしょうかね?
そんなに人入らないだろうと思っていましたが、色々な事が絡んで、そこそこの入りでした。
その時に他映画が何も来ていなかったから、大きいスクリーンで見れたのかもしれませんけどね。