結構前ですが観てきました。
最近、休日に行くとアニメ映画でも満員なので、金曜の夜に行ったような気がします。
「リズと青い鳥」が先に劇場版として放映されて、テレビアニメの雰囲気とは違う新しい「響け ユーフォニアム」を創り上げていますが、今回の映画はテレビアニメの雰囲気を引き継ぎ、視聴者がすーっと入っていけるようになっています。
物語はテレビアニメ2期のその後を描いております。
3年生は卒業し、久美子達は2年生に。
新たな新入生を迎えて、全国体優勝を目指します。
映画冒頭では、久美子と塚本が冬空の下を歩いていて、塚本が久美子に告白し、付き合うことに。
結局、二人は恋愛をする余裕がなく、今は吹奏楽に集中したいということで別れることになります。
前回の大会で好成績を残した吹奏楽部に入部する新入生は多いようで、経験者もいるような感じ。
久美子のいる低音パートにも4人入ることに。
そこで人間関係が上手くいかないのが、この作品らしいというか。
低音パート担当、1年の美鈴は人付き合いが苦手で同じ低音パーツのさつきは技術もないのにすぐに周囲に溶け込んでいく。
美鈴はそんなさつきを妬み、何気ない言葉に敏感に反応して、自分で勝手に解釈し、サンフェスから逃げ出そうとする所を久美子が説得し、そこから周囲との関係も良好になっていく。
低音パート1年の久石奏という子は表面上は礼儀正しく良い子に見えるが、しばらくすると先輩を試すような言葉を言ったり、技術力のない3年の夏紀に対して失礼な態度や言動が目立つようになる。
猫をかぶったり、好き嫌いがハッキリした中々いやらしい子。
この子は中学生の頃、先輩よりも技術力があり、それを認められコンクールメンバーに選出されるも良い結果は得られず、先輩から陰口を叩かれた過去があり、今回のオーディションでは3年の夏紀に譲るよう、わざと手を抜いた演奏をし、その演奏を聴いた夏紀と久美子が乱入。
夏紀は譲ってもらってメンバーに選ばれたくない、自分の力で手に入れることに意味があるとし、選ばれなくても恨まないし、後悔しないと言い切ります。
奏は頑張って意味があるのか、頑張った先に何があるのかを久美子に問いかけます。
これは部活動そのものの存在意義を問う質問でもありますね。
久美子は頑張って結果が得られなくても、頑張ったことは無駄じゃないと信じている、と答えます。
わりと一般論なことを言っていますが、誰が言うかによって、誰が聞くかによって、受け止め方って違ってきますよね。
先生や親からそんなことを言われても、同じ体験をしているわけでもないし、聞き手が思春期の子だったら、その言葉を受け止めてはくれないんじゃないかな。
でも、同じ経験をしている久美子が言う事で、何だか説得力を感じます。
オーディションの結果、ユーフォは夏紀、久美子、奏の3人が選ばれ、チューバの葉月は今年も落ちてしまいました。
その結果を聞いた葉月はショックで俯くも、その後すぐにメンバーに選ばれたチューバの美鈴を応援します。
一人隠れて、悔し涙を流す葉月がとても切なかったです。
地区大会までの練習は本作ではあまり描かれていませんが、これは恐らく「リズと青い鳥」と内容が被ってしまうからでしょう。
地区大会本選、「リズと青い鳥」にて結束を高めた希美とみぞれのソロ演奏など見どころがありますが、結果は全国大会に行くことができずに終わってしまいます。
帰りのバスの中、久美子は奏に悔しいかと聞きます。
奏は死ぬほど悔しいと言い、涙を流す。
そう思える彼女は本気で全国大会を目指し、練習を頑張ったからなんでしょうね。
彼女は頑張った意味や頑張った先に何があるのかを知ることができました。
2,3年生があまり悔しさを表情に出さない場面が多いですが、それは練習を頑張って、今自分にできる演奏をやりきったと結果を受け入れているのかもしれませんね。
時間はさらに飛び、3年生になった久美子は部長となり、再び全国大会を目指す―というラスト。
テレビアニメにすると、2クール分の内容を映画1本に収めたこともあって、今回の映画の満足感が少なかったのと今後の展開に不安を感じました。
今回の映画は淡々としており、希美とみぞれはセリフが一切ありませんでした。
「リズと青い鳥」でダブルヒロインになったから、というのもありますが、魅力的な3年生の活躍があまりにも少ないし、3年生最後の大会について、どう思っていたのか、もう少し描いてほしかった。
1年生については、この映画で確かにスポットは当たっていますが、それでも合計して1時間に満たないくらいでしょうから、1年生組に思い入れを持つことができずに終わってしまった感があります。
次の作品が映画又はテレビアニメ、どちらになるか分かりませんが、2年生になった彼女たちが存在感を発揮できるのかが微妙。
そういえば、久美子と塚本が付き合ったことに対して、ネットで話題になりましたが、個人的には付き合っても良いと思います。
確かに久美子と麗奈は百合っぽい描写がいくつもあるけど、麗奈は先生に好意を抱いているし、久美子もノンケですからね。
何でそこまで話題になったのかも、良く分かりません。
このシリーズを観ていて思うのは彼女たちの青春は美しく、うらやましい。
私は部活動に真面目に取り組んだこともなく、ろくな学校生活を送っていなかったので、「頑張って結果が得られなくても、頑張ったことは無駄じゃない」と気づける久美子がただ羨ましい。
全国大会に行けず「死ぬほど悔しい」という気持ちを味わったことのない自分から言わせれば、この作品の登場人物は青春の真っ只中にいて、私が得ることのできなかった経験をしています。
私はこの映画で青春を疑似体験し、生きていく活力にしていくしかないのですね・・・。
彼女たちの部活動や恋愛、その一つ一つがかけがえのないもので、私にはどうあがいても手に入らないものです。
もう少し丁寧に描いてほしかった所ではありますが、所々に映画を盛り上げる場面があって、終始良い流れが続いていたとは思います。
久美子が大きな存在に感じられたのは彼女が少しだけ大人になった証拠ですね。
久美子がバスの中で奏に悔しいか聞いたのも、久美子はその悔しさを経験し、奏が同じ思いでいると分かっていながら尋ねたのかもしれません。
続編を楽しみに待ちたいです。
京都アニメーションといえば「ヴァイオレット・エヴァーガーデン」の劇場版も決まっていますから、そちらも期待しています。