7時30分、富士見高原登山口を出発する。
ゴルフ練習場の脇に登山口があるとの情報から、練習場の受付のある建物にむかう。
が、建物の脇に登山口があるわけではなく、建物に向かう階段をあがった後に気づき、損した気分。こんな些細な階段でも、後々の脚力に影響したらダメだからと思っての事だ。

前回の道迷いの反省を踏まえて、ガイドブックを頭に叩きこんであるのだが、今一度確認する。最初の目的地は、不動清水という場所。登山口から40分の距離だ。
西岳の登山道は、ガイドブックに記載のとおり、目印が少ない。
だけど、木に紐がまいてあったりして迷わないようになっている。
前回の道迷いからの反省で、標識があれば立ち止まって確認し、木の紐は見落とさないよう注意した。

注意深く歩いていると、8時00分、不動清水に到着した。思ったより、ペースが速いようだ。
不動清水では、2組の登山者が休憩していた。座る場所も無かったし、体力的に余裕もあったので、先客に挨拶して先に進むことにした。

次は、林道との交差点が目標で不動清水から1時間30分の行程のようだ。

標高差の激しい登りに、次第に足に乳酸菌が蓄積されてくるのが分かる。
ゆっくり歩いたり、少し止まったりしながらも完全に腰を据えて休むことはせず、登り続けると、先行者の影を視界にとらえる。夫婦あるいはカップルか。
このペースでも、追いついてしまうが、先に行く事になってしまい、足に余計な負担をかけるのが嫌だったので、着かず離れずの距離を保ち、時には立ち止まり距離を空けて登ることにした。

そうこうした8時40分頃、膀胱から訴えかける衝動があった。
下界で放出、また登山中には汗となって放出した水分があるというのかと疑心暗鬼。

下に考えがいくと、お腹から、「普段は朝食後、放出してくれるのに今日はまだなの?」との声が、プスプスという擬音となり、我が耳に語りかけてくる。
お腹の王子様には、お黙りいただき、取り急ぎは、膀胱からの訴えに、「キジうち」という名の「レインボーシャワー」応対するのであった。

下ろした登山道具

いいタイミングかと思い、口も乾きを覚えていたから、アクエリアスを一口飲む。
また、ズボンを下げたときに、タイツがずり落ちているのに気付いた。本来、ヒザにあたらなければならない所が脛にあたっていたりしており、せっかくの機能タイツの機能が生かされていない。ポジションを修正すると、ヒザ周りのみならず、太ももやフクラハギも適度にしめられて、「準備OK!」と言ってくれているように感じた。


気持ちを新たに登り始める。
機能性タイツの機能は、サポートしてくれている事を登りの太ももやフクラハギが感じているが、登りの負荷を完全に消し去ってくれるわけではない。
徐々にペースが、標高差と反比例して上がらなくなってくる。

そろそろ、休憩をいれる頃合いかと思った9時30分、林道との交差点に到着した。
すると、先行していた夫婦登山者ともう一組が腰を据えて休憩していた。
単独行(ボッチ登山者)の私は、人に憚ってしまうのがダメな所だ。
和気藹藹と話する片隅で休憩する気になれず、先を行くことにした。

が、10分後の9時40分に足から「限界です。休憩お願いします。」と悲鳴がきた。普段のウォーキングは、1時間だから足の動きが鈍くなって当然の顛末か、これ以上無理させることは、ブラック企業の経営者と変わらない事だと思うし、外部環境的には後続の単独行登山者に追いつかれてもいて、追われる変な心理作用で足を酷使する事になるのは嫌なので、広くなった場所で腰を据えて休むことにした。

ここで、カロリーメイトを食して、エネルギー補給を行う。
さらに、ボーナスと言わんばかりに「amino vital」をだし、足のモチベーション回復に努める。
また、腰を据えたので、ザックからカメラを取り出して、写真を撮る。樹林帯の中を進む登山道のため、眺望はないので植物を中心に撮影する。

キノコ

今回の登山で活躍のアミノバイタル。昔、富士山登山でもアミノ酸系の飲料は活躍したなぁ。


さらに、今一度、道迷いしないようにガイドブックをチェックする。林道交差点から西岳頂上は、1時間20分の距離、口の中のパサパサなカロリーメイトを水で流し込み、足に号令をかけて、出発準備する。

頂上に近づくにつれて、勾配がきつくなってきたような気がして足が「まだですか?」と声をかける、私は樹林帯の中を歩き続け目標物が無く頂上の距離感が把握できない苛立ちと、後続のクマよけの鈴が近づくプレッシャーなど様々な思惑が頭を行き来している。

そのような状態で登っていたところ、10時20分、樹林帯を抜けて眺望が開けた岩稜帯の広場に出る。富士見町の町が眼下に見える。
上から見る街並みは、ここに限らず爽快な気持ちになる。
隣にも山が見える。後続を先に行かせて、暫し休息して山頂アタックに備えようと思った。
すると、後続組も散々続く樹林帯に辟易としていたのか、一様に腰を据えて座りこみ、休息し始めた。

<視界が開ける。眼下には富士見町の街並み>
西岳から富士見の街並み


それでは、お先に出発させてもらおうと、頂上に向けて出発する。すると、呆気なく頂上に到達してしまった。10時45分の事であった。SNSに画像を転送し、写真を撮る。
あいにく、隣の南アルプスの山はガスがかかっている。だが、次に目指す編笠山は晴れ晴れとはいかないものの、ガスも免れている。

「西岳から編笠山」
西岳から編笠山


富士見高原登山口から西岳は、ガイドブックのペースより若干早い、3時間15分で登れた。
ここ数回、登頂を断念してきたが、それは体力低下だけではない。
現に今日は、体力的にはガイドブックのタイムを上回るペースで登れている。
足の“太もも”と“フクラハギ”からは、「無理しなければ行けるよ。」と言ってくれている。

さらに熟考する。
西岳頂上から編笠山までは、途中青年小屋を経由して、1時間30分。
標高差は、さほどない・・・ように見える。

編笠山から富士見高原登山口までは、2時間50分。
標高差は、2524mから1340mと1184mあるが下りだ、重力が武器となり重くなった体を推し進めてくれるだろう。
11時に出発すれば、ガイドブック通りに進んで、下山は15:30頃。

途中ペースが落ちたとしても、朝登った道と重複する登山道ならヘッドライトで下山する事が可能だ。

足よ、ラジャー、もう1座行こう!と目標を新たに設定して、
西岳頂上の余韻に浸るのであった。


西岳の岩の間から咲く花。強いなぁ。
西岳植物