ぼくらの未来 | 日刊タカナリ

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※あくまで個人的な感想なので、参考程度にご覧ください。

オルディネモン誕生。世界崩壊の始まり。


「デジモンアドベンチャーtri. 第6章 “ぼくらの未来”」


『ラグエルモンとオファニモンが合体したことにより、オルディネモンが誕生。現実世界に進行し、イグドラシルの思惑通りに世界の崩壊が始まろうとしていた。
そんな中ヤマト達は、太一を失った悲しみに暮れる間もなく、オルディネモンを止めるために現実世界に戻った。しかし、オルディネモンの圧倒的な力の前に、子供たちは為す術が無かった。』




2018年公開。

「デジモンアドベンチャーtri.」第6章にして最終章です。


オルディネモンの進行を、子供たちは止めることが出来るのか。



不評続きのこのシリーズ。私自身も、4章と5章の酷さには唖然としました。(3章まではまだ良かった。)
そんな酷い状況で、果たしてキレイに終わらせることが出来るのか。


結論から言うと、無理やりキレイに終わらせていたので、気持ち悪かったです。



ネタバレしながらいくつか指摘します。



まず、前回のラストに太一が生死不明の状態になるんですが、全員の反応が薄すぎるし、気持ちの切り替えが早すぎる。

瓦礫の下敷きになったのだから、死んだと思うのが普通。それなのに涙も流さずに呆然としてます。これ、太一がいきなり死んだというだけならまだわかるんですが、同時にオルディネモンが誕生しているため、太一が死んだ(死んでないけど)事が少し薄れてしまっています。そのため、子供たちの反応は太一ではなく、オルディネモンの方に向いてしまっていたように思えます。
女性陣は泣いても良かったと思いますし、その方が気持ちが太一に向いている事が分かりやすかったと思います。

悲しみも伝わってこない上に、気持ちの切り替えも早いです。太一が生死不明、恐らく死んだと思われる状態で、普通であれば世界の危機より友達の事を考えると思いますし、目の前で誰かが死ねば、恐怖するのが普通だと思います。
しかし子供たちは、すぐに気持ちを切り替えて現実世界に戻ります。
こいつらは本当に学生ですかね。心構えがもはや軍人です。学生の反応にしてはあまりにもドライ。高校生ってまだ子供ですからね。その辺からもう忘れているのではないでしょうか。



そして戻った後でガッカリしたのが、パートナーデジモンの反応です。
現実世界もデジタルワールドも危機的状況であるにも関わらず、緊張感もなくごはんを食べます。

このシーンいります?
恐らく息抜き的な意味で入れたんだと思いますが、息抜きなんて出来ません。むしろ、緊張感を台無しにされて腹が立ちました。
アグモンだけならまだしも全員だったので、そこでもガッカリしました。パートナーデジモンはあそこまでバカではありません。

パートナーデジモンがみんなバカになってるので、ガブモンとヤマトのいいシーンもありますが、それも邪魔されます。落ち込むヒカリを励ますタケルを見て、空気を読まずに茶化し始めます。

明らかにこのバカな雰囲気は今回いりません。
そんな事をしている暇があるなら、オルディネモン対策とかしろよ、とか思っちゃいましたね。



死んだと思われた太一ですが、やはり生きてます。
いつの間にかある研究施設にいて、一緒にいた西島は重症を負っています。
なんでその施設にいたのか、あれからどうやってそこに行ったのかは明かされず、いきなり施設にいます。これは不自然ですよ。瞬間移動したんですかね。
瓦礫の下敷きになった後で研究施設ですから、瓦礫の下に研究施設があったとしか思えないんですよね。でもそれだったら研究施設が壊れてなければおかしいですし、太一がほとんど無傷なのもおかしいんですよね。腕の一本でも折ってくれてた方がまだあの場合だと自然だと思います。
西島が助けて、あそこまで運んだのなら、そのシーンはどうしても必要なんですが、それもないため、疑問が生まれるわけです。


このあたりで驚いたのが、02組の生存です。
その施設の生命維持装置に入れられていました。それをやったのはどうやらイグドラシルみたいです。

何のために?

生かしておく理由あったんですかね。イグドラシルにとっては邪魔な存在なわけですから。
そして、02組はそんなに弱くはない。あの4人が動けない状態でも、パートナーデジモンが何とかしてくれます。そのパートナーデジモンはなぜかいません。どうしたのか。説明がありません。

おかしいだろ。
まず太一達が、02組を今まで心配しなかったことがまず不思議。ヒカリやタケルほどではないですが関わってるわけですから、感染デジモンが出現したら02組を含めて心配し、行動するのが普通だと思います。
今回の描き方も、シルエットだけで絵はありません。ここに入っているという説明だけです。台詞もありません。あまりにお粗末。



そして太一も現実世界に戻りますが、太一以外のメンバーがオルディネモンと戦っています。

その際に、自衛隊も攻撃に参加しています。それを見て「酷い」と言っていましたが、言ってる本人達も攻撃を与えているので、酷いと言える立場ではないです。

酷かったのは進化シーンと音楽の使い回しですね。
成長期から究極体に進化する過程をいつも通り見せているんですが、これ長いんですよね。そして今となっては驚きもときめきもありません。
どうせ最後だったら、ワープ進化シーンを新たに作り、一気に進化させた方がテンポは良かったと思います。
しかも進化シーン2回もありますからね。さすがに2回目は飽きましたね。

そして音楽ですが、和田光司さんの名曲「Butter-Fly」「Brave Heart」がもちろん流れるんですが、こちらも2回流れます。
同じ音楽が何回か流れてもそれが効果的に使われていればなんも気にならないんですけど、主題歌や挿入歌はあまり頻繁に使用すると、歌詞があって分かりやすい分、使えば使うだけ新鮮味は無くなります。
今回も1回目は良かったんですが、2回目はもう飽きてましたし、かっこいいというときめきも無かったですね。

この辺うまくなかったですね。



最後の決着もあまりキレイじゃなかったですね。

オメガモンのパワーアップはいいんですが、そのパワーアップにはどういう利点があったのかが全くわかりません。
斬るだけならもとのままでも出来ますし、テイルモンが分離して力も半減されているはずなので、もとの姿でも十分戦えたように思います。

そもそも、テイルモンを分離出来たんならメイクーモンもどうにかする事出来たんじゃないでしょうか。


戦う相手も違うと思うんですよね。
オルディネモンじゃなくてイグドラシルですよね。
結果、メイクーモンは死に、イグドラシルは生き残るという後味の悪い決着となりました。
さらにその後、ホメオスタシスは、イグドラシルをシャットアウトしたみたいですが、「最初からそうしろ」と思いましたね。頭悪くないですか?
ゲームと同じなんですよね。不具合出たからリセットするみたいな。
もっとやり方あるだろ。


そしてラストですよ。
メイクーモンを失ったメイに対して、太一達が「ずっと仲間」みたいな事を言ってますが、メイクーモンを殺した奴等がよく言えましたよね。

だから一番良いのは、「メイクーモンも救出する努力はしたものの無理だった」だと思います。

それなら、子供達の想いも感じ取れました。



全6章通して思った事は、「作る意味はあったのか」という事です。

結局、新キャラクターのメイは何一つ成長というものをしていないんですよね。
むしろメイクーモンを失ったことによって悪い方向に向いてしまう恐れもありました。
そして太一達も、今回の一件で何か成長したかと言われたら、成長したようには思えません。
高校生らしさは、始めの方は描かれていて良かったんですが、それだけです。高校生だから変わったというわけではありません。辛い決断をするのが高校生かと言われたら違うと思います。まだ十数年しか生きてない子供ですから、大人みたいな決断は絶対出来ません。

小学生でデジタルワールドに行って冒険はしてましたが、あの時はまだ好奇心が勝っていたと思いますし、大人みたいなケンカや騙し合いはありませんでした。あとは子供達だけじゃなく、協力者がちゃんといました。結構助けられてました。
しかし今回は、ほとんど子供達だけで答えを出しました。(姫川と西島、デジモンを何とかしようとした政府など、大人はことごとく役立たずだったため。)だけど、あの答えは高校生の答えじゃなく、大人、警察や軍人などの答えです。
もう少し高校生を研究して欲しかったですね。
高校生といっても子供ですから。10代。



スタッフに愛があれば、こんないい加減な作りにはなってなかったと思います。スタッフの自己満足です。
スタッフよりファンの方が、デジモンを愛しているという事がわかってしまったシリーズでした。


予想はしていましたが、非常に残念。

また劇場版を作る予定みたいですが、スタッフは一新して欲しいです。
この人達にはもうデジモンに携わってほしくないです。
あと、やるなら「デジモンアドベンチャーの続編」ではなく、テイマーズやフロンティアのような、新たなデジモン世界の話を作って欲しいです。



「ぼくらの未来」。

明るい未来は見えませんでした。