「雲のむこう、約束の場所」
『1996年。青森県津軽半島。
中学生・浩紀と拓也は、遠くにそびえる搭に憧れており、2人は自作の飛行機でそこを目指そうと計画していた。
しかしその搭は津軽海峡を越えた先にあり、その場所は、世界の半分を覆う共産国家群「ユニオン」の支配下にあった。
そこは、日本ではなかった。』
2004年公開。
監督：新海誠。
日本が南北に別れてしまった、もう1つの戦後が描かれます。
この作品の日本は、現在の日本とは異なります。
北海道がありません。北海道がある場所は、「ユニオン」という大国に占領されています。
元々日本の領土でしたが、戦争で北海道は占領。
そのまま終戦し、日本は南北で分断されてしまいます。
北海道だった場所には、「ユニオンの搭」と呼ばれる高い搭が建ち、日本の生活に溶け込んでいます。
今回の主人公の浩紀と拓也は、ユニオンの搭を自作の飛行機で飛んでいこうとします。
バイトして、そのお金で部品を買い、少しずつ組み立てていきます。
なんか青春ですね。
しかし、同じ学年で2人が想っている女の子・佐由理にこの事がばれ、いつしか2人の夢は、3人の夢となります。
その夢は3年後。
予想外の形で叶います。
世界観というか、なんか所々「エヴァンゲリオン」を思い出しました。
ユニオンの搭やそれの力であったり、研究所で研究・測定なんかはそんな感じです。
ユニオンの搭とはなんなのか、なんの目的で建てられたのかなど、いろいろ謎なのも、見方によってはエヴァっぽいです。
搭の他にも、ユニオンと日本の関係だったり、国内・世界情勢なんかも謎です。
いくらなんでも謎すぎる気がしましたね。
そこを見てほしいんじゃないのはわかっていますが、謎や疑問が多く出てきてしまうと、それが気になって後の話が頭に入りません。
「エヴァンゲリオン」も謎が多い作品ではありますが、その謎を忘れてしまうほどの衝撃展開がありますから面白く熱中出来ました。
しかしこの作品は、謎が多いわりにそれを消すほどの展開が無いんです。
クライマックスも、やってることはかなり危険なことなんですが、そこまで衝撃的でもないんですよね。
静かすぎるというか、熱くないんです。
もう少し盛り上がっても良かったんじゃないかなぁと思いました。
さらに言うと、主人公二人が暗いです。3年後が特に。10代にそこまで背負わせなくても良かったのではないかと思いましたね。
ただ、自作飛行機ヴェラシーラのデザインは、個人的に好きです。
世界観も謎は多いですが、調べてみるとなかなか面白いです。
学生の頃の夢が、すごい形で実現するという流れも好きですね。それだけでワクワクします。
終わり方も、謎は残りましたが、とりあえずやることはやりきっていたので安心しました。
安心はしたんですが、やはりモヤモヤする部分が多いせいで、なんかスッキリしませんでした。
悪くはなかったですが、なかなか難しい作品でしたね。