雲林古坑――台湾コーヒーの里 | 台湾観光のブログ

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日本時代からの歴史をもつ雲林の古坑コーヒー。周辺の風景が美しいことから、近年は観光名所として注目を集めている。




歴史を誇るコーヒー栽培

「台湾コーヒーの故郷」と呼ばれる雲林県古坑(クーガン)は、北回帰線上に位置し、日光と雨量に恵まれることから、日本時代、すでにコーヒーの栽培が始まった。当時台湾総督府がブラジル産の豆を、試験的に植えたところ、品質の良いコーヒーが育ち、皇室にも献上されたことがあるという。



古坑コーヒーはアラビ
カ系で、苦味をおさえた、スイーティな独特の風味が特徴。昭和十六年、古坑荷包山の栽培地は約七十五ヘクタールにも達し、かつては「極東最大のコーヒー産地」とまで呼ばれ、そのほとんどが日本に出荷されていた。そのため、戦後は一気に衰微したが、台湾の人たちにコーヒーが普及するに従い、再び注目されるようになった。


現在古坑コーヒーの栽培地は華山と呼ばれる一帯に集中しており、喫茶店も百軒ほどある。晩秋のコーヒー収穫期になると、「古坑コーヒーカーニバル」が開催され、コンサート、読書会、焙煎体験などのイベントをとおしてコーヒーを身近に感じることだろう。




アクセス

【マイカー】
国道1-中山高速公路
北上:中山高速公路大林
ICから162県道、台3省道沿いに梅山郷へ。台3省道を経て古坑まで総距離約15キロ、車で約15分。

南下:雲林
JCTより「省道台78線快速公路」を東に進み古坑ICから台3線を古坑方向に。総距離約11キロ、車で15分。


【公共交通機関】

台湾鉄道斗六駅から、華山行き台西客運バスか、タクシーに乗車
(片道約NT$350/半日貸切約NT$2000)。カーニバル期間中は無料シャトルバスあり。


コーヒーの達人
古坑コーヒーの魅力に接するために四人の達人を訪ねてみた。コーヒーの栽培、焙煎、抽出から、ラテアートまで、彼らは違った角度から古坑のコーヒー文化と地域の風情を楽しませてくれる。




栽培の達人-「重点咖啡」劉慶松



華山の海抜約千メートルの場所で「重点咖啡」を経営する劉慶松さんは、かつて模範農村青年に選出された。コーヒーの木は一般に海抜二百メートルから千五百メートルの場所で栽培され、標高が高ければ高いほど、品質のよいコーヒーができる。


茶畑の経験もある劉さんによると、コーヒーや茶は、十分な陽光と水はけのよい土地を好むと言う。古坑コーヒーは二月・三月で開花し、十月から三月にかけて、海抜が低い場所から熟し始め、熟したものから収穫する。コーヒーの実は一つの房のようになっているのに、三回ほどに分けて赤くなるのがおもしろい。コーヒーの栽培技術に興味をお持ちなら、重点咖啡へどうぞ。団体向けのガイドも引き受けてくれる。夜景を眺めながらコーヒーも一興である。


重点咖啡

Tel (05)590-0130
雲林県古坑郷華山村1

www.key-cafe.com.tw



焙煎の達人-頼松志



父親譲りの焙煎の達人である頼松志は、美しいガーデンカフェ「山妍慕夏」のオーナー。店内では自家焙煎の古坑コーヒーのほか、コーヒーの薄切りレモン包み、コーヒー鍋、コーヒーワインなど関連商品を販売している。そして「山妍慕夏」の一番の見ものは、自家焙煎技術と焙煎機。


熟した実を厳選、乾燥、処理して、生豆から焙煎する。焙煎は一番難しいステップで、一般に乾燥、高温分解、冷却の三ステップに分かれる。生豆に熱を吸収させ、中の水分を蒸発させると、パチパチと破裂音が聞こえ、大体三回目の破裂音が聞こえたら、重度焙煎の完了。焙煎の程度はコクと酸味を左右し、つねに同じ焙煎の程度を維持することが最も大切とされる。

 

山妍慕夏

Tel (05)5900-111

雲林県古坑郷華山村55-1

 


サイフォンの達人-徐之敏



四人の達人の中で唯一の女性である徐之敏さんは、家族とレストラン「維野納」を経営している。かつて古坑コーヒーのプリンセスとして選ばれた徐さんは、コーヒーを淹れる名人でもある。その方法には、サイフォン式、ドリップ式と、エスプレッソ式があり、それぞれ風味が異なる。


今回徐さんは、サイフォン式を披露してくれた。サイフォンの装置は上下の漏斗とサーバ、中間のフィルターから成り、まず下のサーバに水を入れて加熱してから、挽いたコーヒーを上の漏斗に入れてセットする。水が沸騰し、冷めると、中のコーヒーと熱湯が混ざり、さらに冷めると真空作用によって、フィルターを通過してサーバに戻る。これで甘味と苦味を兼ね備えたコーヒーのできあがりだ。

 

維野納

Tel (05)590-0203

雲林県古坑郷桂林村桃源路1-6

 


ラテアートの達人-戴圳明



戴圳明さんは、コーヒーの全てに精通する専門家で、「紅果咖啡庁」を経営し、かつて古坑コーヒー豆焙煎およびエスプレッソ部門で優勝した経歴の持ち主。戴さんの得意技は、コーヒーをキャンバス、ミルクを筆のように操って、コーヒーカップの中に作る繊細なラテアート。


描いたり、きれいに見せたりすることより、難しいのは片手でコーヒーカップを支え、片手でミルクの泡を操ることだと戴さんは語る。見ていると、細かいミルクの泡が、エスプレッソコーヒーにすっと溶け込み、するするとキツネ、猫、白鳥の三つのデザインが描かれる。猫の場合は、猫がキツネになってしまわないように、猫の口から離れた方から飲んでくださいと勧める。ラテアートはコーヒーを飾るだけでなく、飲む楽しさもプラスしてくれる。

 

紅果咖啡

Tel (05)590-1799

雲林県古坑郷華山村35-2