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ぶーさーのつやつやブログ

艶が2次小説と薄桜鬼ドラマCD風小説かいてます。

書いているうちに、ドラマCDぽくなってきてしまいましたがご容赦をw

そもそもがあり得ない設定なので、今後の展開へのツッコミは受け付けません( ´艸`)

それでもおkな心の広い方はGO!(CV脳内変換スキルをお持ちの方はどうぞ、存分に発動させちゃって下さいwww)






―――アンコール後
スーパーアリーナ公演決定の発表で客席から歓喜の悲鳴があがり、薄桜鬼にとっての初アリーナ公演は無事幕を閉じた。



「お疲れー!」
「お疲れ様でしたーっ!」

ステージ袖でスタッフと握手を交わし、楽屋へと戻る。


「いやぁー最高だったぜー!」

藤堂はバスタオルで止まらない汗を拭いながら、興奮冷めやらぬ声を出す。

「ほんとほんと、客席もいつもよりすげー盛り上がってたしな」

すでに冷えた缶ビールを手にした原田も笑顔で答える。

「俺のドラムソロなんか、失神者が出たんじゃねえの?きゃーーーー新八さまシビれるぅぅつってな」
「アホか」
「アホってなんだよ、アホって」


いつもは原田と永倉のこんなやりとりに冷めた苦笑を送る沖田も、今日は自然と笑顔が零れた。

「一君も珍しく動き回ってたね」
「そういう総司も、MCではいつもより口数が多かったな」
「んーまあね、喉の調子も良かったし、気分良かったよ」


5人が楽屋に近づくと、近藤や土方、山崎、その他のスタッフ大勢が拍手でメンバーを出迎えた。

「お疲れさん、良いライブだったな」

いつも仏頂面の土方も、今夜は珍しくにこやかだ。

「よぉぉー!凄く良かったぞー、みんな。お疲れ様」

パンパンパンと拍手しながら近藤がみんなを労う。

「あぁっ、近藤さん!来てくれてたんですか?」

飼い主を見つけた犬の様に、沖田が走り寄った。

「あったりまえだろ、総司。最後なんか感動して泣きそうだったぞー」

近藤はがはははと笑って、まだ汗がしたたっている沖田の髪をくしゃっと撫でた。


「さあ、まだまだ余韻に浸りたいところだが、30分後には招待のファンと会うんだから急いでシャワーを浴びてくれよ」

土方が言うと、そうだった、とそれぞれ着替えを持ってシャワールームへと向かった。







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(はあああああ、緊張するなぁ)

2万通近い応募の中から、見事に当選した私は緊張で心臓が口から飛び出しそうになっていた。

(どうしよう・・・吐きそう・・・なんか、帰りたくなってきたよ)

終演後にロビーの関係者受付で待つようにという指示通り、私はそこでぽつんと立ち尽くしていた。

2名1組、という当選の条件だったから本当は薄桜鬼が大好きな親友と一緒に来るはずだったのだが、残念な事に昨日からその親友はインフルエンザで40度の熱を出してしまったのだった。

ここに来る前にも、昼間電話で号泣していたその友の為にも、帰る訳にはいかなかったのだが・・・。

(でも、1人でなんて・・・どうしたらいいか・・・あああああっ、パニックだよー!)


「きっと、あの子が当選者だよ」
「ええー、超うらやましいんだけど」
「てか手ぶらなの?プレゼントとか持ってきてないわけ?」
「うわー、気が効かないやつ・・・」

こちらを睨みつける様にして出口に向かっていくファンの心ない中傷が、嫌でも耳に入って来た。

(う・・・視線が痛いよ・・・)

出来るだけ顔を下にして、係の人が呼びに来てくれるのをじっと待っていると。

「すみません、大変お待たせ致しました。どうぞこちらへ、ご案内致します」

優しそうなお姉さんが迎えに来てくれて、私はほっと息をついた。

ロビーを抜けて警備員の立つ扉を何回も通り過ぎてゆく。

迎えに来てくれたお姉さんはファンクラブの担当者だろうか、私の表情からど緊張している様子を察して、歩きながら色々と話しかけてくれた。


「今日のライブ、楽しかったですか?」
「あっ、はい!も、もう最高でした・・・スーパーアリーナの発表で泣いちゃいました」
「そうですか、いつも応援ありがとうございます」
「いえ・・・こちらこそ・・・薄桜鬼は私の唯一の趣味っていうか、生きる希望っていうか・・・」
「ふふっ、大袈裟ね」
「大袈裟なんかじゃないです!私、あんまり友達多くないし・・・今日一緒に来るはずだった親友ともいつも薄桜鬼の話しばっかりしてるんです・・・」
「あら、そう言えばお連れの方、残念でしたね」

まくしたてた後、ついつい雄弁になってしまった事を恥じているとお姉さんはまるで自分の事の様に、声のトーンを落とした。

私は今日開場する時に受付で当選者確認の際に、親友が来られなくなった事情を説明していたのだった。
きっと、その受付の人から話を伝え聞いたのだろう

「そのお友達にたくさん報告出来る様に、短い時間だけど、たっぷり楽しんでね」

暗い表情になってしまった私を勇気づける様にお姉さんはにっこりと笑ってくれた。

「は、はい!有難うございます」
「携帯で一緒に記念撮影もOKですからね」
「えっ!?本当ですか?」
「うん、サインも何に書いてもらうか決めておいた方がいいですよ」
「うわっ、ど、どうしよう・・・な、何も考えてなかった・・・」

そして携帯の電源を切ったままだったのを思い出して、バッグから取り出して電源を入れる。

さすがアリーナ、歩けど歩けど楽屋までの道のりは遠かった。

お姉さんの歩幅に合わせて歩きながら、再びオンになった携帯を見ると、電源を切っている間に兄から着信があったようだった。
しかも、10回近くもだ。

(うわ、どうしよう・・・今日アリーナに来る事隠してたんだけど・・・こんなに何回もかけて来てるって事は、何か急ぎの用事・・・かな?)

「す、すみません!ちょっと1度だけ電話、いいですか?」
「ええ、どうぞどうぞ。この扉の先が楽屋だから、ここで済ませておいた方がいいかもしれないですね」
「はい、有難うございます」

深々とお辞儀をして、兄の番号をリダイヤルした。

すると、どこかで聞きなれた着信音がすぐ近くから鳴っているようだった。

(あ、お兄ちゃんの着信音と一緒だ・・・)

その着信音はdevilの新曲のイントロ部分だった。

(薄桜鬼のライブ会場で、devilの着信音にしてる人がいるなんて・・・失礼な人がいるもんだな)

耳にあてた携帯から呼び出し音を聞きながら、ぼんやりそう思ってお姉さんの顔を見ると、お姉さんも同じ様に考えていたのか、少し顔色を変えた様に見えた。


「・・おい、お前今どこにいるんだ」

電話に出た兄は開口一番、そう尋ねた。

「あー・・・んーと・・・えっと・・・と、友達の家だけど」
「・・・嘘じゃないだろうな」
「な、なんでそんな嘘つく必要があるのよ?それより、何か用事?」
「ん?いや、友達の家にいるならいい」
「うん・・・ちょっと今手が離せないから、切るね」
「あっ、おい!」
「また後でかけ直すから」

こんな場所で兄弟喧嘩している場合じゃないと、私は一方的に電話を切り上げた。


「す、すみませんでした!」

いそいそと携帯をマナーモードにして、バッグにしまった。

「じゃ、心の準備はいいかしら?」
「はっ、はいっ!」

声は上擦ってしまって、顔はヒクヒクと痙攣している。
全然準備OKじゃないけれど、もうここまで来てしまったら覚悟を決めるしかない。

私は自分にそう言い聞かせて力強く頷いた。

お姉さんが楽屋の並ぶ廊下へと通じるドアを開けると、ギターの平助くんと新八さん、左之さんが談笑している声が聞こえて来た。

一気に心拍数が上がり、膝はがくがくと震えだした。

(ヤバイヤバイヤバイヤバイ・・・どどどどどどうしよう)

「さ、どうぞ」

お姉さんが私の腕を優しく擦って、笑いかけた。

勇気を振り絞り、足を踏み出して廊下へと出ると・・・



「おい、お前こんなとこで何をしている?」

その声にはっと顔を上げると、なんと目の前に兄が立っていた。

「お、お兄ちゃん・・・ど、どうしてここに?」
「どうしてはこっちの台詞だ」

表情はすごく驚いているのに、兄はいつも通りの冷めた口調でゆったりと私を問い詰めた。

「嘘ついて・・・ご、ごめんなさい」

必死に謝っていると、お姉さんが口元に手を当てて唖然としているのが視界に入った。



【続く・・・】