晴れ 台風

 

 

7月5日   金曜日

 

8時・・30.0℃   3時・・35.5℃

 

 

10時頃

 

買い物の梯子に出かけるとき、もしかしてと、樫の木の根元そばを見に行った。と、黒猫が、緩く丸まって、リュウノヒゲの葉の疎ら隙間から、緑の両目で私を見ていた。相変わらず、きつい目つきだった。が、

 

「くう、今日もここに居たの?」

 

と言うと、目をぱちりぱちりさせた。

 

「かあさん、買い物に行ってくるからね。」

 

と言うと、ぱちりとした後、目をつぶって顔を伏せた。私は買い物に出かけた。

 

 

11時30分頃

 

買い物から帰って、彼女を見に行ったら、まだ、そこに寝て居た。私は、そのまま、そっとしておいて、部屋に戻った。

 

 

1時頃

 

鉢植えの植木に水をホースであげていたとき、ちょっと、樫の木の下を見たら、彼女が、緑の目で私を見ていた。もう、西日がリュウノヒゲの縁まで迫っていた。

 

「くう、暑くないの?」

 

と聞くと、彼女は、かっかと見返した。

 

「だいじょうぶ?」

 

と言うと、ふっと顔を倒して、また寝た。私は、水やりを終えて、部屋に戻った。

 

 

3時10分頃

 

コーヒーを飲みに行ったら、彼女が水を飲んでいた。2日間近く、彼女は、食していない。水だけで大丈夫か、と思い、

 

「くう、食べて行きな。」

 

と、私が言うが早いか、彼女は、すすうっと小走りし、木戸に行った。そして、敷居に乗って、こちらを見た。相変わらず、そっけない感じだった。彼女の全身は、ずるりと毛が抜けたようで、一回り小さく、ほっそりしていた。もさもさした毛が無くなって、涼しげであった。

 

「くう、何か食べな。」

 

と私が言うと、彼女は、敷居をすすっと下りて、玄関の方へ行ってしまった。

 

 

 

それから、彼女は、顔を見せなかった。

 

昨日にも増して、今日は、むきもなく暑い。彼女は、それなりの、少しでも涼しい所に居るのだろう。としても、食しないで過ごしているのが心配だ。

 

 

7時頃

 

流しで手を洗っていて、ふと顔を上げたら、彼女が、門から少し入った、芝生の上に、ちょこらんと座ってこちらを見ていた。1周りも、2周りも、小振りになって、細っこく見えた。今までの彼女とは、すっかり違って、華奢だった。

 

「くう、何処かへ行って来たの?」

 

と言うと、すっと立ち、てってと玄関の方へ小走りで行った。

 

私が木戸に戻ると、彼女は入り口で待っていた。私を見ると、敷居を跨いで入って行った。まだ、彼女からは、触らないでオーラが出ていたので、私は直ぐにチュールを取りに行った。と、彼女は、さっさと木戸に向かって走り、出て行ってしまった。それで、私は、チューブを1本持ってついて行った。

 

彼女は、玄関前を通過し、南西の小築山の石の上に上がった。私は、その先に行って、チューブを差し出した。と、彼女は、立ったまま、直ぐに舐め出した。そこで、チューブをあげるのは、初めてだなあと思って、たくさん舐めると思って見ていたら、彼女は、5口位で、踵を返し、ビャクシンの葉陰に戻り、グエッと言って、石を下り、廊下の外の三和土の上を西にまっすぐ走り、葉蘭の中にはいいって行ってしまった。彼女の食欲は、最低だったようだった。

 

 

7時30分頃

 

夕食を食べようとして、ガラス戸の外を見たら、久しぶりに、彼女が、階段の下に座っていた。それで、私は外に出た。と、彼女はすっと走り出して木戸の向こうに行ってしまい、そこから、こちらを見ていた。まだなだ、駄目だなと思ったが、先週の木曜日に勝ってきておいた、ツナと白身魚のパテを、黒どんぶりに1.5㎝巾位を入れて、ダイニングに戻った。

 

ガラス戸から外を見たら、彼女は、すすっと入って来て、それを舐め出した。おや。

 

チューブには飽きて、そのパテが珍しかったのか、気に入ったのか、だろうが、彼女は、固形のを少し残して、まだ食べたそうに見上げた。それで、私は、また下りて、そのパテを、また1.5㎝巾で出した。すると、また、彼女は、食べ出し、完食した。

 

その後、彼女は、階段の下に行って見ていた。家族が、「ケンタッキーフライドチキンの残りを半分位あげれば」と言って、箸でほぐした。私が、それを白トレイの上に置くと、彼女は、直ぐに食べ出し、まもなく完食した。

 

おや、やればできるな、と思い、今度は、私が食べていた、細い骨付きのを2つ、あげた。すると、彼女は、また食らいついた。おや、久しぶりの食欲だなと、いささか、びっくりした。

 

後で見たら、さすがに、骨は残したが、頑張ってしゃぶってあった。

 

約2日間の食料をまとめ食いしたかのような彼女だった。まずは、物を食べて行ったので、ほっとした。