昔、働いていた会社のお局サチコのお話。
サチコは、ガリガリで小さな身体に不似合いな大きな黒いバッグを愛用していました。
美人でオシャレ。潔癖症で神経質で自分だけでなく他人の体型やファッションセンスにうるさい拘りの強い人なので愛用のバッグのアンバランスさは気にしないのかな?と思っていました。
バス通勤で、そんなに大きなバッグは必要ないだろうに。
革だから重かろうに。
って、人の勝手ですが荷物は少なくて済むなら小さいバッグの方が公共の交通手段なら尚更良いのではないかと。私だけでなく、他の人達も同じ事を思っていました。
ある日、その理由がわかりました。
更衣室からバッグを持って来て、過去に手術で取った結石を見せてきたのでした。小さい砕けた石・・・。記念だと申しておりましたが、それを常に持ち歩いている意味が私にはわかりません。見せて来たのは1度ではありませんでした。
見せびらかしてくる時、結石はいかに痛いのかを語るサチコは嬉々としていた。
他には、オーナーが40代前半の時に10歳以上年下と再婚したのですが当時のオーナー旦那の写真も時々出して来てはいかにカッコイイ男だったかを延々と熱く語るのでした。毎回「カッコイイとか思わないアナタはおかしい。」などとオーナー旦那がいかに魅力的なのか。既婚者なのにモテモテである事を説教的に延々と語られるのでした。他人の旦那の魅力について熱く語っちゃう謎。オーナーは、とんでもなく嫉妬深い。何故なのか私は大丈夫でしたが従業員がちょこっとでも喋ろうものなら半端なくイライラする。入社したての頃に約1ヶ月無視され続けたりと子分とともに色々されまくった私としましては、その事をオーナーにチクリたくて何度かムズムズしたものでした。最愛の夫の写真を常に持っていると知ったら?
どんなに容姿が良かろうが、他人の夫の写真を持ち歩く意味がわからない。
大きなバッグの中には、そういったサチコ拘りの小さな物が沢山入っていたのでした。
人に見せつつ熱く語りたい物を。
相手は、既に何度も聞いている。
本人も承知なのだが、語りたいのだ。
バッグの中には、お財布だとか必要最低限の物をではなく、思い出深い小さな物を沢山入れる心理ってなんだろう?
思い出深いと言ってもバツ3だとか、子供達が結婚したとか離婚した。初孫の誕生。私からすると、それらは?人生の中でインパクトなかったんかい?な物は持っていなかったな。
重たくなろうとも、必要が無くても沢山の持ち歩きたい。常に持っていたい物のポイントがわからないし、その心理状態はどうなのか。なんか気になるな。同じような人と未だ出会った事がありません。