NHKで放送されている『ドキュメント72時間』で、大谷翔平君の存在を巷の皆さんがどう感じているのかをインタビューした。
現場はロサンゼルスのドジャースタジアムの近くの公園とスポーツバー、そして故郷平泉の公園。同じ時刻から日米二元同時進行で収録された。その中で、ロサンゼルスで聴き取った話が興味深かったので、幾つか紹介したいと思う。
市外から訪れているメジャーリーグファンの親子。息子さんが40代でお父さんが70歳。オラクルパークでジャイアンツ、アナハイムでエンゼルスの試合を見た後、この日はドジャースタジアムで観戦した。翌日はペトコパークでパドレスの試合を観戦するのだという。
大谷翔平選手をどう思うかと質問すると、人間性に惹かれると答えていた。その日は、パドレスとの試合が荒れて報復デッドボールかとも思われるほどのデッドボールの応酬となった試合だった。結果的に最後のデッドボールを受けた大谷選手は、一塁に向かいかけた所でベンチを飛び出そうとするチームメイトを、手を大きく何度も振り下ろして制し、その後に相手の一塁手に話しかけ、そして相手ベンチに赴いて笑顔で語りかけた。
息子さんは、メジャーの中には傲慢になる選手が多数いるが、彼は違うと話した。人間性の良さがが際立っていると。お父さんは、謙虚さが素晴らしいと。
ヒスパニック系のファンは、大谷選手を移民系住民の代表というか代弁者として応援していた。昨今、トランプ政権に変わってから移民に対する風当たりが更に強くなる中、彼の活躍に勇気をもらうと応援を続けていた。
里子として黒人が多い地域で多感な時期を過ごした50代の女性は、今でこそ資格を元にロサンゼルスで仕事をしているものの、少女時代は周りと一人だけ違う自分の存在に苦しんだという。大谷選手の活躍は、その境遇から頑張って這い上がった頃の自分を想起させるのだと言う。そして、もう一度やる気を取り戻させてくれるのだと。
ロサンゼルスでの少年時代にいじめに遭っていた41歳の男性。小学校高学年の時、自分の誕生日に嬉しくて周囲に今日は自分の誕生日だと伝えた。すると、誕生日プレゼントだと言って、年齢の数だけみんなに殴られた。
何の目標も持てないままだったが、ある日、圧倒的な自然の姿を目にした時に、この自然を守りたいと強く思い、その後研究に務めて今の仕事に就いた。水と大気を綺麗にする仕事だと言う。大谷選手を見て、常に自分の目標を設定して前へ前へと進む姿に憧れ、そして自分も頑張ろうと思うのだと言う。
大谷翔平君は野球をしている。日々トレーニングをして調整をして、大好きな大好きな野球を一生懸命している。それは小学生の頃から変わらない。そして、野球と云わず、様々なスポーツ、日々の生活の中に礼節を重んじる日本の文化がある。彼の場合、礼節や思いやりが表面に現われる。
沢山の人々が、彼の姿に、彼の表情に魅入られながら、彼を応援する。悩みを和らげ、夢を膨らませ、優しさを思い出させてくれる彼は、全メジャースポーツのトップ選手の中で飛び抜けた存在だ。
彼は一生懸命に大好きな野球をしている。
この後もたくさん応援したいと思う。