荷物を運ぶのは大変である。僕も本業では無いにしても、部門を超えて力仕事に駆り出されて、荷物を抱えて階段を二十往復もしたものだ。
ついさっき、青森市内の繁華街で、運送会社のドライバーを見かけた。それはそれは大きな荷物を荷台から持ち上げ、左手は荷物の左下角を持ち、右手では上面の向こう角を持って、それはそれは大きな荷物を運ぼうとしていた。ところが歩道に体を向けると、丁度お年寄りのご夫婦が並んで歩いていた。
お二人は歩くのがとてもゆっくりだった。そして、歩道が狭いことに加えて車道に面した側は自転車がずらっと停めてある。ドライバーは、体を少し後ろに反らせながら、ゆっくりと2人の後に続いて歩を進める。最初のお店の入り口を通り過ぎても、まだゆっくりとついて行く。次のお店も通り過ぎた。そして3件目のブティックの入り口の前をお二人が通り過ぎた後、お二人との距離を保ったまま入り口の前に着き、ゆっくりと入って行った。お二人はその気配に気付かないまま歩いてゆく。
当たり前の事なのかもしれない。何でも無い光景なのかも知れない。しかし、わずか30秒ほどの出来事に温かい気持ちにさせてもらった。
人は人を気遣い、優しさを持って生活をする。後ろをゆっくりと歩いていたドライバーがそうだ。そして、気付かない内にそういう気遣いや優しさを持って接してもらうこともあるだろう。
それでいいと思う。
自分ももっとしっかりしなきゃな、と思ってしまう。