僕は料理が得意な方だと思っている。家族の中の役回りで僕が作ることが多かった事もあり、今ではほとんどの食事を僕が作る。作るイコール上手だと言うつもりはない。最初は苦労したものの、作り慣れてきて大体何でも大丈夫になった感じである。
僕が料理し始めたのは高校生の頃。今は亡き両親が仕事で遅くなることが多かったので、自分のためと両親のために少しずつ作って、家事を手伝っているような感覚だった。母は料理が苦手で、レパートリーも少なかった。
転機となったのは結婚である。妻も料理が上手だが、やはりお互いに慣れ不慣れがある。上手下手ではなく、あくまでも慣れ不慣れなので、ご留意を願いたい。
二人きりなのでどちらかが作ることになるのだが、妻が忙しくて気持ちが落ち着かなかったり体調を崩すたりする事もあるため、少しずつ僕が料理をする機会が増えていった。
練習を積みながら次第にレパートリーが増えて、出来も良くなって。そして、ある瞬間に、経験していない『手順』がほとんどないことに気付く。料理番組を見ていても、手順や段取りがメモをしなくても頭に滑り込んでくる。次第に自信が深まっていった。
娘が小学一年生の時、食育の授業で『皆さんの朝ごはん』を書き出した。
我が家では毎朝、シシャモかメザシ、青菜のおひたし、目玉焼き、ねぎ海苔納豆、味噌汁、冷奴。ヒジキか切り干し大根、わかめと胡瓜の酢の物。この朝ごはんのおかずには担任の先生もかなりびっくりして、連絡帳にまで書いてきてくださった。
決して高額な食材を使っているわけではなく、小鉢物は作り置きで毎朝同じものが食卓に上る。しかし、栄養バランスには注意をした。
自分も美味しく食べるし、家族にも美味しく食べてもらいたいと作る。栄養が偏らないように配慮する。そんな毎日が積み重なる。
しかし、私は聖人君子ではない。三回に一回は面倒臭いと感じてしまう。やれやれである。
さて、今日のお昼は何にしようか。