昔は当たり前だった風呂敷が廃れてしまったかと思いきや、ここ20年来、色々な包み方の提案も相まって、また復活してきている。


 僕が二十歳になる以前は、風呂敷が当たり前で、お歳暮やお中元を持参する際、百貨店の包み紙のその上に、更に風呂敷で包む。贈答の季節が近づくと、お菓子やハム、日本酒やウィスキー、カルピスに至るまでコマーシャルが流れた。それらコマーシャルでは押し並べて和服姿の麗人が格子戸を開けて会釈をし、風呂敷包みの結びを解くのである。いや、ウィスキーだけは男性だったろうか。


 厚手の綿織物、絹に近い薄手のもの、絞り模様があしらわれたものなど、多岐にわたる風呂敷だが、我が家にも何種類かの用意があった。母は、場面場面に合わせて、風呂敷を選んでいた。


 チャンバラごっこが当たり前だった子供時代。実写版で月光仮面が放送されて大人気となった。当のヒーローは拳銃をバンバンだったが、子供たちはマント代わりに風呂敷を首に巻きつけ、おもちゃの刀を持ち出して戦った。

 当然僕もと思って母に風呂敷を貸して欲しいとねだったが、なかなか貸してはくれなかった。挙げ句、布団を包む様な赤茶色の厚布の小さい版を借りた。みんなのマントは薄くて、走るとヒラヒラとなびいたが、僕のマントは滅多になびくことはなかった。


 とても懐かしい。今の子供たちは、そんな遊び方をした事があるのだろうか。