秋も深まり、青森でも山に雪が降り始めてきた。今日も、市街地でも降るくらいの冷え込みになりそうである。


 ちょっと早いが、冬の思い出を。


 皆さんは手袋というとどういう素材を思い浮かべるだろう。スキーグローブの様な多少の水は弾いてくれそうなもの。扱いも楽で価格もそんなに高くない合成皮革のもの。少し高くてもやっぱり本革もの。そして毛糸もの。

 僕が子供の頃は毛糸の手袋が当たり前だった。大人はおめかしする時のために皮の手袋を一つは必ず持ち、他に毛糸の手袋も使っていた。

 子供はすぐに物を失くす。文房具はもちろんのこと、傘や、紅白帽や、果ては靴の片っ方まで。親からすると、本当にもうやめて欲しいといったところだったろう。

 そこで登場するのが、左右を繋げた手袋である。太めの毛糸、もしくは毛糸の編み紐を左右の手袋の手首の部分に縫い付けて、バラバラにならない様にするのである。これがまた効果てきめん。繋いでいる毛糸や編み紐が切れたり外れたりしない限り、ずっと右と左は一緒である。こういう細工が必要なこともあり、やはり子供は毛糸の手袋なのである。

 冬用のヤッケやアノラックの袖にあらかじめ手袋をくぐらせ、袖の中を紐が通り抜けている様にして、両袖からぷらんと手袋が垂れている。左の手袋は左の袖から、右の手袋は右の袖から。


 懐かしい記憶が蘇る。


 冬でもお使いに行く。アノラックを着て、ぶら下がっている手袋をはめて、お金を手袋の中に入れ込むのである。ポケットに入れて落とすことも多かったから、我が家では必ずこの方法だった。で、手袋に入っているお金を気にしながら、雪の上を歩いていくのである。


 大人になっちから、スポーツ用品店で驚いた。なんとスキーや雪遊びに使える化学繊維の手袋の左右に、紐を渡してあったのだ。正式採用というか、製品化されているのが驚きでもあり喜びでもあった。今は見かけない。おそらくは狙ったほどの需要がなかったのだろう。


 ちなみに青森県(津軽弁)では、手袋を『はく』と言う。


 あっ!今度、おもしろい津軽弁を特集しようかな。