西田敏行様


 色々な役柄を、誰よりもそれらしく、この役こそはまり役といつも思わせてくれた西田敏行さん。今年、TBS日曜劇場の第一クールで放送された『さよならマエストロ』がお別れの作品となりましたね。

 若い時から音楽が大好きで、さまざまな楽器に手をつけるものの長続きせず、どの楽器もものにならなかったお茶目な役。それでも音楽は誰よりも大好きで。優しく微笑む表情が素敵でした。


 貴方に初めてお会いしたのは『池中玄太80キロ』。はちゃめちゃなやり取りが楽しく、子供たちとの暮らしに癒されました。そういえば、共演の三浦洋一さんともこのドラマが初めてでした。

 新鮮な2人と子供達が織りなす物語。北海道での丹頂づるの求愛シーンも幻想的で華麗で忘れられません。


 そして、大好きな映画の中の貴方と出会います。井上靖さん原作の『敦煌』です。


 貴方は部隊をまとめる芯の太い武将役。にこやかな笑顔もお茶目な仕草も封印した演技は、強く勇ましかった。佐藤浩市演じる文人を時に庇護し、時に見守り叱咤しながら物語は進みます。

 最後、不利な状態での戦いに赴く時、佐藤浩市さんに言い放ちます。

「お前は絵を守れ。俺は戦いに行く」と。二度と会えない、戻れない事を分かっていながら前線に向かいます。

 本当にかっこよくて、男の中の男を見ました。本当に素敵な演技でした。


 もうひとつ、僕が大好きな番組があります。『人生の楽園』です。ナレーションを聞いているだけで癒され、ところどころ訛りが見え隠れして。時には「ももちゃ〜ん」と菊池桃子さんに振ったりして。


 後年は幾つかの病気と闘ったと聞きました。大変だったんですね。殆ど何も知らなかったです。


 これからはゆっくりして下さい。

 とは言え、時には福島にも帰らなきゃ行けませんね。復興の続きを見届けないと。


 心よりご冥福をお祈りいたします。


(感情を大切にしたくて、情報を検索せずに、記憶を辿って『お手鎌』を書きました。間違えているところがあればごめんなさい)