私立中学・高校で数学と野球を教える | 究極の物理勉強法~たとえ話と微積分で高校物理が楽しくなる

究極の物理勉強法~たとえ話と微積分で高校物理が楽しくなる

物理の予備校講師で『微積で楽しく高校物理が分かる本』の著者の田原真人が、物理の学び方のコツを紹介。物理が分からない人は、公式を丸暗記するのを止めて、解法体系を学びましょう。必ず道が開けてきますよ。


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早稲田大学の修士課程へ進むにあたって、生活費と学費とをどのように工面するかが問題でした。


生活費を稼ぐためのバイトと研究とを両立できるとしたら、勉強を教える仕事しかないと思っていました。


そのために、教員免許も取得したわけです。


幸運にも中高一貫の私立学校の非常勤講師を紹介してもらえることになりました。


こうして、午前中に非常勤講師の仕事をし、午後から大学で自主ゼミや研究室のゼミに出たり、図書館で論文を調べたりする日々が始まりました。


僕が数学を教えていた学校は、東大合格ランキングでベスト10に入るような学校でした。


その学校で、普通科の中学1年生から高校1年生までの数学と、商業科の数学を担当しました。


普通科の生徒は、有名進学校だけあって学ぶ意欲が強い生徒が多かったです。


2進法を教えたときに、一人の生徒がそれに興味を持ち、誰から言われたわけでもないのに、ノートに2進法で1から順番に数字を書き始めたことがありました。


1週間くらい休み時間も休まずにずっと2進法で数字を書いていました。


「先生、1000まで書きました!」


と持ってきたノートを見ると、何ページにも渡って小さい字で1と0とが書き連ねてありました。


「すごいね! 僕だって2進法をみても、10進法に直さないと感覚的にどのくらいの大きさの数字だかつかめないけど、君は、きっと感覚的にも分かるんじゃない?」


と言うと、とてもうれしそうにうなずいていました。


その学校では、勉強合宿という行事がありました。5泊6日で避暑地の宿泊施設に行き、勉強やソフトボール、山登りをするというものです。


非常勤講師であった僕も、数学の講義を担当するために参加しました。


そこで行われた生徒代表VS教員チームのソフトボールの試合で3打席連続ホームランを打ってしまった僕は、野球部の顧問の先生に、


「田原君、もしかして経験者?」


と聞かれ、その場は、


「いやー。ちょっと・・。」


と言葉を逃がしたものの、その後、僕の母校と教えている学校とが高校野球のトーナメントで対戦することになり、OBとして観客席にいた僕の姿が発見されることに・・。


2学期になって、学校へ行くと、


「そういうことなら、頼むよー。」


という言葉とともに、ユニフォーム一式を受け取ってしまいました。


研究時間を確保したいという気持ちもあったのですが、長年やってきた野球を生徒に教えたいという気持ちもわいてきたので、助監督になることを引き受けました。


それから5年、日曜日には練習か試合、夏休み、春休みには合宿に参加するという日々が続きました。


野球を教えていて感じたのは、


「勉強と同じだな・・・。」


ということです。


どこが同じかというと、習慣になっている間違った動きから、効率のよい正しい動きに直すときには、ものすごい抵抗感があるわけです。


それに対して、頭ごなしに、「間違っているから直せ!」と言っても、そうかんたんには直りません。


「このやり方でも、それなりに結果が出ている」

「自分には、このやり方が合っているんだ」


といった言葉が、頭の中を渦巻いて、変えようという気持ちにはなかなかならないものです。



コーチングには、いろいろな方法があると思いますが、僕の場合は、生徒の特徴を踏まえながら、まずは、自分自身から「変えたい!」という気持ちが生まれてくるまで待つことが多かったです。


そして、変えようと思って挑戦した行動が生まれてきたら、その結果ではなく、その挑戦に対して、心の底からほめます。


僕自身、それが一番難しいことだと感じているので、その一番難しいことに対して一歩を踏み出してくれたということがとてもうれしいわけです。


そのあとは、コミュニケーションをとりながらの共同作業になります。


癖が出ないような動き方を工夫したり、正しい動き方に似た動きを探して、それを経由して、動きを作っていったり、いろいろとやりました。


コーチの醍醐味は、成長の喜びを共有できることです。


今、教えることを仕事にしているのは、野球のコーチの体験が少なからず影響していると思います。



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