初めましての泉ウタマロさん。
女性の作家さんのようです。

何て言うかこのお話、とってもヴェーダンタに近い感じでした。 
世間一般にはこういうのを【スピリチュアル】ジャンルに振り分けられるようです。 

仕事も冴えず女房にも逃げられた還暦のおじさんが、毎日を憂鬱に過ごしておりまして。
ある日突然、大木に登って降りられなくなった子猫を助けるために木に登り、誤って落っこちて、呆気なく死んじゃうんだけれども。

死後の世界で人生を振り返り、冴えないと感じていた自分の人生や、生前は気づかなかったけれど自分がどれだけ愛されていたかや、魂が本当に求める情熱や、前世にやり残した宿題を今世で果たしていた事実や、何よりこの主人公の魂こそが神様であり、神様は主人公の体や考えを使って【経験】をしていた事実が、神様の言葉によって明らかにされていく。

主人公は死ぬまで自分のことを【取るに足らない、つまらない人間】だと思い込んでいたけれど、本当はそんな取るに足らぬ自分自身自体が神様そのもので、この世界には神様しかいないのだ、と。

聖典バカヴァットギータでは戦士アルジュナが

「どうしよう、闘うことが仕事の戦士である僕が、闘うことも逃げることも出来なくなっちゃった。 
本当はヒマラヤの山奥に籠って、現実逃避してずーっと瞑想してたいのに。
もうどうしたらいいか皆目見当がつかないよう。教えてクリシュナ!」

と、聖者クリシュナに教えを乞うところから物語は始まるのだけれども、このお話は冴えない還暦のおじさんが

「こんな意味のない生死の繰り返しなら、わしゃ金輪際生まれ変わりたくないわい。生きることに、世界と関わることに何の意味があるんじゃい。教えておくれ神様!」

と、どぎついメイクのオカマの神様に教えを乞い、身を持ってその答えを知るところで物語は終わります。

このお話は、まるっきりヴェーダンタではなかったけれど【世界は愛と光に満ちていて、あなたこそがその愛と光そのものである】という結論にはヴェーダンタと近いものを感じるなあと思いました。

この泉ウタマロさんという方がどんな方なのか存じ上げないけれど、もしかしたらヴェーダンタをご存知なのかもなーと思った作品。

バカヴァットギータとか一見マニアックだけれども、意外に有名人で愛読されてる方おりますよね。
一番有名なのは赤塚不二夫先生。
【天才バカボン】のバカボンはバカヴァーンから名付けたのはかなり有名な話。
バカヴァーンとは宇宙の絶対秩序、ブラフマン、イーシュワラまたは神と呼ばれるものです。
バカボンパパの「これでいいのだ」という決め台詞は、一見私達の目には理不尽だったり不愉快だったりする出来事も、宇宙の秩序から見たら全て計算通りで計画通りの出来事なので、これでいいんだよって言ってるんです。


ともあれ、このお話は夢があって素敵だしロマンチックだし魅力的でキラキラしたスピリチュアルな世界観で楽しめたけれど、これを読んだ方がこれをきっかけにヴェーダンタにも興味を持ってくれると嬉しいなあと思いました。

ヴェーダンタは、例えばこんなキラキラしたスピリチュアルのお話の根拠を、理路整然と解説してくれる素晴らしい知識なのですから。


OM



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