番外編
『fate』if…
*5*

T side




抱え込んだ小さな頭からは、懐かしいミニョの香りがして、胸が締め付けられた。その頭に頬擦りしながら、小さく震えるミニョの背中を撫でる。

『愛しい』と、心の底から思えるのは

やっぱり、コイツしかいない・・・

そんな思いを込めながら、ミニョの身体を、強く抱き締めていた。

「お願い・・・助けて・・・」

啜り泣くミニョから聞こえる小さな声。
おずおずと、縋るように、ミニョの手が背中に廻される。

「ミニョ・・・?

どうした?何があったんだ?」

「私・・・・・」

ミニョは、それ以上、言えないのか、首を横に振ると、また一段と、嗚咽が大きくなった。

「ミニョ・・・」

ミニョの濡れた頬を手で覆うと、顔を上げさせた。
ミニョの泣き濡れた瞳からは、止めどなく零れ落ちる涙が、俺の手を濡らした。

「ミニョ・・・

俺は、お前のすべてを受け入れる覚悟は出来てる。
子どものことも、そうだ・・・。
俺に、迷惑をかけるとか、重荷になるとか、そんなこと考えるな。
俺は、お前のそばにいたい。
お前を、もう二度と、失いたくない。
ミニョ・・・
お願いだから、俺に、隠してることがあるのなら、すべてを打ち明けるんだ・・・。
いいな・・・」

例え、この先、何が起きようとも、お前を、絶対に離さない・・・。




★★★★






番外編
『fate』if…
*4*

M side




「・・・すまなかった」

耳元で聞こえた掠れた声に、胸が痛んだ。

・・・どうして?

テギョンさんが謝るんですか?

私は、テギョンさんに、絶対、赦されないことをしてしまったのに・・・


ギュッと力強く抱き締められ、胸が締め付けられ、息が止まるかと思った。

廻された力強い腕を背中に感じ、温かな広い胸に、顔を埋めていた。

「ミニョ・・・愛してる」

頭を撫でるように、頬擦りをされ、背中を撫でる優しい大きな手に、涙が、どんどん溢れてくる。

ずっと・・・

ずっと・・・

会いたかった・・・

ずっと・・・

ずっと・・・

ひとりで・・・

寂しかった・・・
辛かった・・・
心細かった・・・

テギョンさん・・・

これから・・・
私は、どうすればいいの・・・?


「お願い・・・助けて・・・」

溢れる涙と止まらない嗚咽に、声にならない。
不安に押し潰されそうで、私は、縋るように、テギョンさんの背中に腕を伸ばした。



★★★★








番外編
『fate』 if…

T side

*3*




ミニョが、黙って、俺の子どもを産んだことは、確かに、驚きはしたが、責める気などなかった。

俺の子どもを堕胎することなく、産んでくれたことは、俺のことを愛してくれていたからではないのか、と甘く考え、浮かれてしまうが・・・ミニョのこれまでの苦労を考えれば、胸が苦しくもなる。

ミニョは、きっと、孤独だっただろう・・・。
俺の子どもを身籠ったことを、誰にも相談出来ず、ひとりで産むことを決め、ひとりで、子どもを必死に守って、今まで、生きてきたのだろう・・・。

この小さな背中に、すべてを背負い込んで・・・

そばにいてやれなかったことが、悔やまれた。

もし、もう一度、お前とやり直せるのなら、お前が背負ったモノ、俺が、すべて受け入れてやる。

だから、そばにいてくれ。
もう二度と、離さないから・・・

だから、謝るのは、俺の方なんだ。

「・・・すまなかった」

記憶を失って、忘れてしまったこと。

ひとりにさせてしまったこと。

辛い思いをさせてしまったこと。

そばにいてやれなかったこと。


ミニョの小さな背中を、しっかりと抱き締める。

もう、ひとりで、すべてを背負い込むな・・・

これからは、俺が、お前と子どもを守って生きていくから・・・

「ミニョ・・・愛してる」

もう一度、変わらない想いを込めて、囁いた。




★★★★

相変わらず、難しいですね・・・(;゜∀゜)
終わりは見えているのに、それまでの展開が見えず、苦戦中…(゜゜;)(。。;)

恥ずかしながら、自分でハナシ描きながら、自分が、一番忘れてしまってるんですよね。
描いているときは、それ(ハナシ)だけしか考えずに、のめり込んで描いていたので・・・そのときの方が、文章が上手いんですよ。自分で、よく、こんな言葉が出てきたな、とか・・・感心しちゃったり(笑)
それじゃダメじゃん…自分(;゜∀゜)
何度も、『fate』をおさらいしながら、描いています。
テギョンは、受け入れる覚悟は出来ています。ミニョを愛してるから。一度、失ってますから、二度と失うまいと、考えていると思います。
問題は、ミニョかな…。
素直に、怖がらずに、甘えなさいと、言ってあげたいです。