「美男2」

「やきもき」

*59*


テギョンは、ミニョに、何を話し、何を聞くべきか、ベッドの中で、一晩中、考えていた。
結局、考えはまとまらず、眠れぬ夜を過ごしたテギョンは、いつもより早く起きると、寝不足の頭をスッキリとさせるために、バスルームに向かい、熱めのシャワーを浴びた。着替えを済ませ、階段を下り、キッチンに向かい、水を飲みながら、視線は、何気なしに、リビングのソファーを見る。
こんもりと盛り上がっているブランケット、その中には、ミニョが、まだ寝ているのだろう…そう思ったテギョンが、ニヤリと笑うと、そっと、忍び足をしながら、ソファーに向かうが、ブランケットの中は、すでに、もぬけの殻だった。

"何処に…行ったんだ?"

ミニョがいないことに、呆然としてしまうテギョン。

"まだ、何も話をしてないんだぞ!!"

テギョンは、慌てて、合宿所の中を探し回り、見つけた場所は、二階のテラスだった。ガラスのドアを隔てた向こう側には、シヌとミニョが、テラスの椅子に腰掛け、話をしている後ろ姿が見える。
シヌが、優しい笑顔を浮かべ、ミニョの頭を、クシャクシャに撫でている。

"アイツ、また…"

テギョンが、口を尖らしながら、少し、乱暴に、テラスのドアを開けると、その音に、シヌが、振り返った。

「テギョン、おはよう」

シヌは、特に表情を変えることなく、ミニョの頭にあった、手を外した。
そして、椅子から立ち上がると、空になったカップをトレイに載せる。

「ミニョ」

シヌは、意味ありげに、ミニョに目配せをさせ、通りすがりに、テギョンの肩をポンポンと叩き、テラスを出て行く。

ミニョは、テギョンとふたりきりになった途端、緊張しているのか、目を泳がせ、テギョンから、視線を逸らしている。
テギョンは、また、気に食わないと言ったように、口を尖らしながら、椅子に腰掛けた。



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