教育現場のいじめ防止に向けた取組について

 

【質問】現在全国でのいじめ認知件数はと比べ、本市における小学校、中学校子供のいじめ件数は、どのようになっていますか?何をもって、いじめとみなしていますか?「いじめの定義」も合わせて教えて下さい。

文部科学省は平成28年度「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸問題に関する調査」の結果で小中学校、高校、特別支援学校におけるいじめの認知件数は323,808件と、前年度より98,676件増加し、過去最多となった。と発表しております。

 

【答弁】本市での「いじめ認知件数」は、小学校で1,290件、中学校で124件、100人当たりの認知件数では、小学校28,2人、中学校は6人となります。全国の100人当たりの認知件数は、小学校.3,6人、中学校で2,2人で比較しますと本市のいじめ認知件数としてかなり多いことになります。これは本市が、子どもが嫌だと感じた軽微なことも掌握し、早期に対応する取組に努めているためであり、全国調査での把握方法の見直しになった方法で、文科省からは、児童生徒の実態を丁寧に把握し、いじめ解消にむけた取り組みを積極的に進めていると評価をいただいている。

 

「いじめの定義」ですが、『一定の人的関係のある他の児童生徒が行う心理的又は物理的な影響を与える行為であり、当該行為の対象となった児童生徒が心身の苦痛を感じているもの』とされております。さらに本年4月の、府教委のいじめ防止基本方針改定では、「けんかやふざけ合いであっても、見えない所で被害が発生している場合もあるため、背景にある事情の調査を行い、児童生徒の感じる被害性に着目し、いじめに該当するか否かを判断する」ことが追加されました。

 

【質問】「いじめは人間として絶対に許されない」という意識を一人一人の児童生徒に徹底させなければならないこと。いじめをはやし立てたり、傍観したりする行為もいじめる行為と同様に許されないという認識、また、いじめを大人に伝えることは正しい行為であるという認識を、児童生徒に持たせること。いじめは卑怯で恥ずべきことであり、決して許されるものではないことを、私たち大人が子供たちにしっかりと教えていくことが大切です。本市においての取り組みは、どのようにすべきなのか、「子ども」の目線と安心・安全でのワンランク上の子育てを目指す本市の取り組み、指導はどのようなことでしょうか?どのような方法を用いて指導しておられるのかお伺いします。

 

 

【答弁】「いじめの指導」ですが、本市では年2階の調査を実施し、「いやな思いをしたことがあるか」という質問に加えて個別面談を行い、児童生徒の思いを主に捉えて幅広くいじめを把握し、指導しています。また、昨年度からは追跡調査も加わり認知した事象については、全教職員が情報共有し解消後も見守り体制作りに努めております。

 

【質問】スマートフォンの所持率についてもお伺いします。 次にLINESNS使用率についてはいかがでしょうか?

 

【答弁】「携帯電話やスマートフォンの所持率」ですが、本年4月の調査では、小学校4年生38%、中学校1年生58%でした。昨年度の数字ですが中学校3年生84.2%と、いずれの学年も京都府や全国平均の所持率より低い状況にあります。また、「普段の1日当たりどれくらい携帯電話やスマートフォンで通話や、メール、インターネットをするか」という質問では、全くしないと回答した児童生徒は、小457%、中127%、中216%と、小学校高学年や中学生では、半数以上の児童生徒がメールやインターネットを使用している状況が推察される。

 

【質問】ネットはいじめだけではなく、出会い系サイトやコミュニティサイトなどによる性犯罪、高額請求、ゲーム依存などの様々な問題を抱えています。スマホを持っていないと話題についていけず、友達ができないなどの理由もあり、やむを得ず子どもにスマホを与えている家庭もあると思います。未然防止につなげるため、学校でのスマホ規制、親子でのルールづくりの推奨などのどのように取組んでおられるのかお伺いします。

 

【答弁】「ルール作り」については、本年4月の調査で「携帯電話やスマートフォンの使い方について家の人と約束したことを守っているか」という質問に、小62.3%、中38.4%が「守っていない」と回答しました。「約束したことは無い」と回答した児童生徒は、小68.1%、中318.4%です。本市では保護者の危機管理意識が高い家庭が多いと考えられますが、今日的課題としてネットいじめやネットトラブルの未然防止に向けた取り組みの必要性は強く感じている。各小学校では毎年、警察や携帯電話会社等の協力をいただいて非行防止教室を実施し、具体的なネットトラブルの状況、写真や動画の扱い方、時には法的に罰せられる場合もあることなど実感が迫る内容で指導しています。これらの授業には保護者もできる限り参加しやすいよう、土曜参観日に行うなど工夫している学校もあります。またスマートフォンの購入が多い時期である学年進級時の春休みや中学校説明会に合わせて、サイトの規制の必要性やルール作りの推奨に向け、お知らせやパンフレットの配布を行い、啓発運動に取り組んでいる。

 

【質問】不登校、長期欠席の状況はいかがでしょうか?またその理由についてもお伺いします。

【答弁】「不登校」について、昨年度に30日以上欠席した児童生徒は、小学校22名、中学校64名で、そのうち90日以上欠席の児童生徒は小学校7名、中学校37名です。その理由は、学力不振、友人とのトラブル、部活や進路等の不安、家庭的な問題など様々で、多様化・複雑化が一層進み、本市でも喫緊の課題になっている。『いじめ防止基本方針』の中では、いじめにより30日以上の不登校が続いた場合は、重大事態と捉えて対応することが記載されております。いじめがきっかけで欠席になった場合、速やかに市教委へ連絡いただくことで、早期に解決が図られるよう、保護者連携を密にしスクールカウンセラーや、スクールソーシャルワーカー、教育支援センター、子育て支援課などの専門機関と相談・連携しながら対応します。いじめ問題解決のためには、教職員だけでなく、保護者、地域、各分野の専門家等と共に支援体制を築き対応していくことが不可欠です。

 

 

【質問】文科省によると、「子供の悩みや困りごとが見えづらくなっており、教員だけでは対応が難しい」ことから、児童生徒の心理に関して専門的な知識を持つ専門家で臨床心理士などのスクールカウンセラーを、31年度までに全公立小中学校に配置する目標を掲げていたが、コミュニケーションが苦手な児童生徒がいじめ問題などで不安を抱え、教員も十分対応できていない可能性があるため、目標実現の前倒しが必要と判断した、とお伺いしています。また、いじめ問題をめぐって、文科省は来年度から、教員や保護者の法的な相談に乗るなど仲介役を果たす弁護士を派遣する「スクールロイヤー制度」を創設するなど対応を強化する方針であるともお伺いしています。

本市でのご対応はいかがでしょうか?

 

 

【答弁】「スクールローヤー制度」は、法律の専門家である弁護士が、法的側面からいじめ予防教育を行うとともに、諸課題の効率的な解決や、学校における法的相談体制の整備に向けて行う制度であり、今年度は文科省が全国10か所で調査研究を実施しています。
 本市では、4中学校と1小学校にスクールカウンセラーがそれぞれ1名ずつ配置され、教育支援センター配置のスクールカウンセラー2名は、9つの小学校を巡回訪問し、保護者や児童生徒、教職員の相談活動に当たっています。また、本市にはスクールソーシャルワーカーが1名配置され、2つの中学校を拠点に福祉的な視点から課題解決にに向けた取組を実施しています。

 

【質問】長岡京市は、基本方針の策定から3年の経過を目途として、国・府の動向等も踏まえ、必要があると認められるときは、基本方針を見直すとともに、必要な措置を講ずる、と明記されておりますが、本市でもこの基本方針を見直す時期であるのでしょうか?そうであればどのような課題があって、改正の内容はどのようなものでしょうか?お伺いします。

 

 

【答弁】「いじめ防止基本方針」についてですが、国の「いじめ防止基本方針」が昨年3月に改定されました。これを受けて京都府も本年4月に改定されました。これらを踏まえ本市でも「市いじめ防止基本方針」の見直しを行い、今議会で報告させていただくこととしています。改定の主な内容は、いじめの定義やいじめ解消の定義の見直し、多様な人材を含めた組織的な対応、いじめ防止への児童生徒の参画、道徳教育の重視などです。今後10月を目途に、市内各小学校の「いじめ防止基本方針」も改定する予定ですが、すべての教職員に対して周知徹底を図り、いじめ防止対策推進法の理解を深めるとともに、児童生徒一人ひとりが、安心して学校生活が送れる環境作りに努めて参りたいと考えています。


質問を終わって

【白石たづこ所感】

 本市での「いじめ認知件数」は、小学校で1,290件、中学校で124件とのことである。

 いじめ対策で、最も大事なことは、いじめを認知して解消することである。教職員も、保護者も地域も、掘り起こしによっていじめ件数が増えることは、教職員の感性と学校の組織的な対応力の現われであると捉えています。しかし、いじめの定義『一定の人的関係のある他の児童生徒が行う心理的又は物理的な影響を与える行為であり、当該行為の対象となった児童生徒が心身の苦痛を感じているもの』は、いじめられている児童生徒の主観を重視した定義に立っているものの、非常に広範な捉え方であり、社会通念上認知されているであろういじめの捉え方とのギャップから、法のいじめに該当するものが、いじめとして取り上げられないケースもあるのではないかとの思いが残る。法のいじめの定義を理解し合い、被害者の立場に立ってどんな小さないじめも初期段階から見過ごさないよう、教職員の間で共有していただきたい。また、組織的相談体制や、スクールカウンセラーの配置、保護者等への研修、警察、携帯電話会社との連携等、しっかりとした取組体制であることもうかがわれる。しかし、いじめ相談は子どものためにある。寄り添う手法で、いじめ相談が子どもたちの相談しやすい手法で行われているか?これが最大の論点ではないだろうか?
 子どもたち自身が行動できる社会をつくることで、同調圧力に打ち勝って、子どもたちが大人に伝えることで早期発見、あるいは抑止効果が発揮されるのではないだろうか。もちろん、周囲の大人がしっかりとした体制、連携を取ることは効果的なことである。子どもの間で生じるいじめを、大人だけの働きかけによって防止し解消するという視点が前面に出てしまうと、子ども自身のいじめ解決主体となる力が弱まってしまうのではないかという危惧が残る。子どもの主体性と大人の関与とのバランスをどう図っていくのかが今後の課題となってくるのであろう。