ピグやプレゼントに浮かれて、実生活はどうなってるんだぁ
昨年の落ちからその後はというと、翌日はまだ機嫌が悪かった。夕食時になってもブスッとしたまま。
けれどもその明くる日には、少し上向き、さらに次の日はほぼ平常と、立ち直りは早かった。年末の大掃除もマメに動いてくれ、珍しく平穏な正月も過ごした。こんな普通の年末年始って、何年ぶりだろう。
発病前なら、4年ぶり?そう思うと、ずいぶん長いが。
とにかく、ピリピリしないで過ごすあわただしい時期とめでたい時って、ありがたい。当たり前のことがこれほどありがたいってのも、何かおかしい気がするけどさ。
年明け早々、オットがインフルエンザになり、治ったのと入れ違いにワタシもインフルエンザに。そのときも、家事をマメにこなしてくれた。機嫌が良いと、安心して寝ていられる。
そして、これまた久しぶりで一泊旅行にも行っている。
もっとも、それには訳があるんだけど。
今ごろにクリスマスの話をして恐縮だが、オットがワタシにくれたのは旅行のチケットだった。
それも2枚入っていた。オットに確かめると
「オレは犬の世話をしなきゃ行けないから留守番をしておく。お前とお母さん、親子水入らずで行ってこい」
行き先は、ワタシは観光や仕事で何度も行ったことがある温泉だったが
「お母さんの足が悪いから、駅まで迎えが来て歩かなくていいところにした。一緒に雪見風呂をしてきてくれ」
という。そんなことまで気を遣ってくれたのか。どうやら、バイクのメンテナンス費をワタシが出したから、そのお返しと言うことらしい。だから素直に受け取って礼を言い、チケットをしまったけれど、ハハと一緒というのは懸念がある。
だから、オットが居ないときにハハへ声をかけた。
「二人で○○へ行っておいでって、チケットをくれたよ」
「え・・・・・・」
案の定、まったく嬉しそうな顔じゃない。
「ワタシは足が痛いし、出かけられない。雪が降っている所なんか、滑るんじゃないかと恐いよ」
「だから歩かなくていいように、駅まで送迎付きの宿を選んでくれたんだって」
医者通いや、デパートには毎週のように出かけているんだが。
そして出発時が近づくにつれ、ハハの顔が曇る。そして1週間前には風邪を引いたと、医者のはしご。
「ああ、調子が悪いよ。でも、行かないって言ったら、オットさんは怒るだろうねぇ」
と、ため息をつくハハ。
ハハにしてみれば、口うるさいワタシと二人旅というのは気が進まないんだろう。しかも、日ごろなにかとトラブルの元になっているオットから施しを受けるようなことはしたくない。という気もあるんだと思う。
あげく、出発の2日前に
「温泉に入るから、タオルも念のため持って行った方がいいよ」
というと
「風邪引いてるから、温泉なんか入らないよ」
「温泉地へ行って、温泉に入らないなんて、何するのよ」
「帰るまで部屋でじっとしてるっ。あんたにはわからないだろうけど、あちこち痛くて調子が悪いんだから、出歩きたくないのよ」
ハハは、行きたくないモード全開である。はぁ~どうすりゃいいんだ。
だから、夕食時におそるおそるオットに言ってみた。
「あの・・・。ハハが調子悪いって言ってるんだけど。どうしよう・・・代わりに一緒に行ってくれない」
「え"・・・・ばあさん、行かないって言ってるのか」
「・・・・うん。風邪が治らないから、遠出は不安だって」
「しょうがないなぁ」
結局、翌日の調子を見て決めようということになった。でも、ハハはもう、行かない!と決めたようである。
こういうところ、年寄りはめちゃくちゃガンコだからね。
そして次の日の晩、オットに「自分が留守番をしておくから」と、宣言したよう。
仕方がないので、ハハに犬の世話のことを頼み、一晩だけは散歩も辛抱させることに。このごろ、犬はおむつをしているので排泄はガマンしなくていいから、一晩だけなら何とかなるだろうから。
そんな訳で、当日はオットと二人で出かけた。
知らない人には、「夫婦で旅行なんてうらやましいわ」とか「仲が良いわね」とか言われたけれど、そこにはこんな事情があったのだ。
とはいえ、久しぶりの温泉だから、楽しまなきゃソン。と、羽を伸ばしてきた。犬のことやオットの激変も気がかりだし、あわただしい旅行ではあったけれど。
でもオットは、「まさかばあさんが、土壇場でああ言うとは思わなかったな。二人で行くんなら、もっと違った、今まで行ったことない場所を選んだんだけどな」と呆れていたけれど、旅行中は機嫌が良くてホッとした。
ハハも一人で存分に羽を伸ばしたようだ。
しかし、我が家はみんながちぐはぐだから、あちらを立てればこちらが立たず。気だけがもんもんとするなぁ。
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