新年度相場入りからは要注意
一気に暖かくなり、桜も満開になってきた。いい季節である。ただし、私のように花粉症の者にとっては手放しには喜べない季節でもある。さて、遅くなったが2月のモデルポートフォリオの状況ならびに近況について記したい。
2月のマーケットは日米市場で対照的な動きとなった。
米国市場は3か月ぶりに上昇。1月の雇用統計は+15.1万人と予想の+19万人を下回ったものの失業率は4.9%と08/2以来の低水準となり、賃金も前月比+0.5%と改善。利上げ観測の再燃、26ドル台まで下落する原油価格、ドイツ銀行を始めとするヨーロッパの金融不安でNYダウは一時15660ドルと2年ぶりの安値を記録。その後は原油価格の反発、ドイツ銀の自社債券の買い戻しや欧州株の反発で落ち着きを取り戻す展開に。2月のNYダウは16516ドルと前月より50ドル上昇し月間騰落率は+0.3%。ナスダックは4557となり32ポイント下落の-1.2%となった。
東京市場は大幅下落し3か月連続安。1月末に実施された日銀のマイナス金利導入で市場に動揺。米国の景気減速不安によるドル売り・円買いに加えて、日本企業の3Q決算の下方修正続出が強烈な売り圧力となり日経平均は2/12に14952円まで下落。その後、反発したものの16500円を超えることはできず、上値が重い展開に。売買代金は2.8兆円前後で推移。為替は1月末の120.80円から113.00円へと約8円の円高に。2月の日経平均は16026円で取引を終え、1月末の17518円から1491円下落し月間騰落率は-8.5%、Topixは-9.4%となった。一方、小型株市場はジャスダック平均が-5.5%、マザーズ指数は+0.9%となった。
太田忠投資評価研究所のインターネットによる個人投資家向け「投資実践コース」 における2月のパフォーマンスは-0.0%となり、年初来-5.0%、累計では+140.6%(1月末+140.7%)と横ばいに。2月末時点のポートフォリオの株式比率は55%で18銘柄を保有(1月末は63%で28銘柄を保有)。株式部分の含み益は+12.1%(1月末は+6.9%)。ただし、55%のうちダブルインバースETFの投資比率15%の実質ロング比率は-30%、純金ETFの10%は株式ではないため、純粋の株式のロングウェートは55%ではなく-10%である。
1月末のレポートにおいて「1/29に発表された日銀のマイナス金利導入の金融緩和策は劇薬であり、金融緩和策に頼った株価上昇を望むことは難しいと考える」と述べていたが、円安と株高を狙ったはずの金融緩和がもたらした結果は大幅な円高と株安という皮肉なものであった。
日経平均が14952円を付けた翌営業日に1069円高となり、その後徐々に株価は回復して17000円台にまで戻したものの、その後はほとんど横ばいの動きに終始しており、上値を買っていく投資家はほとんどいない。3月期末を控えて、GPIFの評価損を低下させるためのお化粧買いや政策への思惑が働き、月末に向けて株価が上昇する期待値が高まりやすくなったり、3/28の権利付き取引売買日を意識した配当・権利取りのための買いに目立った動きも見られなかった。現在のマーケットは大きな下落トレンドの中での反発局面であり、短期的な日経平均の戻り高値のメドは17500円程度を想定している。
消費税先送りや財政出動の具体的な話も株式市場にポジティブな追い風となる可能性があるものの、もはやマーケットに織り込まれている感がある。4月下旬から始まる決算発表は非常に厳しい内容になると思われるため、マーケットはダウンサイドリスクが高まるシナリオを想定している。現在、活況となっている新興銘柄にも注意が必要である。したがって、決算発表に向けてショートポジションンを高める準備を着々とおこなっていくのが賢明であろう。
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太田忠の縦横無尽 2016.3.31
「新年度相場入りからは要注意」
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