日経平均18300円維持が重要なポイント
熱風が吹いて体にこたえる猛暑が終わり、朝晩過ごしやすくなってきた。秋風を感じる日もあり、空の色も秋めいてきた感じがする。さて、先週から大荒れの世界の株式市場であるが、7月のモデルポートフォリオの状況ならびに近況について記したい。
7月のマーケットは日米市場とも大荒れ模様から反発する展開となった。
米国市場は反発。ギリシャの緊縮案反対の意思表示がなされた国民投票ならびに中国市場の急落で上旬は売られる。その後はギリシャの金融支援合意と中国政府の株価対策によって徐々に落ち着きを取り戻す展開に。6月の雇用統計は+22.3万人と予想の+23万人を下回ったことや賃金が横ばいだったことから9月利上げへの懸念がやや後退。四半期決算はまちまち。商品先物相場は全般的に大きく下落。7月のNYダウは17689ドルと前月より70ドル上昇し月間騰落率は+0.4%。ナスダックは5128となり141ポイント上昇の+2.8%となった。
東京市場も反発。ギリシャ問題と中国市場に振り回され、7月第2週の日経平均は一時19115円まで下落。その後は急速に戻り2万円台を回復。為替も120円台まで円高が進行したが、124円台を回復して終了。第1四半期決算は機械・精密・電機などを除けば概ね好調であり、好決算銘柄が買われる。売買代金は2兆円~3兆円のレンジで日によって異なったが、急落相場では大商い、上昇相場では低調という傾向。7月の日経平均は20585円で取引を終え、6月末の20235円から349円上昇し月間騰落率は+1.7%、Topixは+1.8%となった。一方、小型株市場はジャスダック平均が+2.7%、マザーズ指数は-2.4%となった。
太田忠投資評価研究所のインターネットによる個人投資家向け「投資実践コース」 における7月のパフォーマンスは+1.3%となり、年初来+10.1%、累計では+173.5%(6月末+170.1%)とやや前進した。保有株式のウェートは6月末の85%から82%へ低下。ヘッジ戦略を実施していないためネットロング比率は82%。ポートフォリオの新高値銘柄は10銘柄となり先月の15銘柄から減少。今月も建設、小売り、ディフェンシブといった内需系の好パフォーマンスが目立った。
7月の上旬はギリシャと中国の外部環境に振り回される展開となったが、早々に収まった。そして、日本企業の1Qの決算発表は製造業中心に中国景気減速の影響を受けているものの、東証一部企業の経常増益率は20%超とおおむね好調だった。
ところが、8/11から3日連続の中国人民元の切り下げをきっかけとした中国経済減速懸念に加え、中国株市場の一段の下落で8月第3週の日本市場は7月第2週以来の大幅な下げを記録。今年に入って5回目の調整局面であるが、前回の下げ局面-8.8%の下落(6/24の高値20952円→7/9の安値19115円)を当てはめると、7/21の高値20850円に対して当面の下値メドは19015円であった。
しかし、このラインをあっさりと下回り、8/24のシカゴ日経先物取引では一時17160円まで下落。その後、中国が政策金利と預金準備率をダブルで引き下げたことにより、世界的な株安に一巡感が出てきているのが現状である。
さて、2012年秋からスタートした日本の株式市場の上昇が続くためには、2007年2月の高値18300円を維持できるかどうかが重要なポイントとなる。この水準を今年の2月に超えたことで、これまでの下落トレンドから脱却して真の上昇局面入りしたことが確認されたが、この水準を下回って維持できないとなると、今回の上昇相場が終了したことを意味する。
中国の金融緩和策はすでに昨年から継続して行われているため、今回の緩和政策が根本的な株価対策&景気対策になるのは望み薄である。やはり財政政策の出動で景気刺激策をおこなわなければ、世界の株式市場から動揺を取り除けないだろう。このあたりが、足元では好調な日本企業の今後の業績にも関わってくる大事な問題である。
8/24の日経平均895円安の日の売買代金が4.10兆円、日中値幅が1088円に達した翌日8/25の733円安の日は4.92兆円となり、下値での買い意欲は健在であることが確認された。
しばらくボラティリティの高い状況が続くとみられるが、アベノミクス相場の今後を占う最も重要な局面に来ている。
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太田忠の縦横無尽 2015.8.27
「日経平均18300円維持が重要なポイント」