上値が試される1Q決算 ― 森を見ず木を選べ
いよいよ梅雨明け。これから本格的夏を迎える。すでに多くの人々が熱中症で病院に搬送されているとの報道がなされているが、くれぐれも気をつけたいものである。強い陽射しを避けるだけではなく、湿度の高い熱風こそ体力を蝕む大敵である。我が家では、この季節のエアコンは「冷房」運転は全く使わず、「ドライ」運転にしている。大量の湿気を除去するとともに、十分に室温も下げられるので快適だ。
さて、6月のモデルポートフォリオの状況ならびに近況について記したい。
6月のマーケットは日米市場とも反落の展開となった。
米国市場は3ヶ月ぶりに下落。5月の雇用統計が+28万人と予想の+22.5万人を大きく上回ったことで早期利上げへの警戒感が強まる。しかし、イエレン議長が6月の利上げを見送り「利上げに踏み切っても利上げペースは緩やか」との見解を示したことや、ギリシャ問題解決への期待感からナスダック市場は過去最高値を更新。だが、ギリシャ問題が決裂したため月末にかけてリスクオフの展開に。6月のNYダウは17619ドルと前月より391ドル下落し月間騰落率は-2.2%。ナスダックは4986となり83ポイント下落の-1.6%となった。
日本市場は月間ベースで今年初めての下落となり荒い値動き。月の半ばまでは黒田総裁の為替発言やFRBの利上げ先送りで為替が125円台から一気に122円台となり日経平均は一時2万円割れ。後半からはギリシャ問題の進展期待と空売りの買戻しで2000年4月以来15年2ヶ月ぶりの高値を回復。しかし、ギリシャの金融支援協議が決裂し、月末にかけて大きく売られる展開。売買代金は2.5兆円前後で推移。6月の日経平均は20235円で取引を終え、5月末の20563円から327円下落し月間騰落率は-1.6%、Topixは-2.6%となった。一方、小型株市場はジャスダック平均が+2.0%、マザーズ指数は+3.0%となり、小型株優位の展開となった。
太田忠投資評価研究所のインターネットによる個人投資家向け「投資実践コース」 における6月のパフォーマンスは-3.0%となり、年初来+8.7%、累計では+170.1%(5月末+178.5%)と後退した。保有株式のウェートは5月末の86%から85%へ低下。ヘッジ戦略を実施していないためネットロング比率は85%。ポートフォリオの新高値銘柄は15銘柄と先月から変わらず。今月は建設や小売りといった内需系の好パフォーマンスが目立った。
6月は2つの大きなイベント、米金利引き上げ懸念と不透明なギリシャ問題を経験して今年初めての下落となった。日経平均は一時、インターネットバブルの高値20833円を上回る局面もあったが、円高を伴った揺り戻しで月末にかけて売り優勢となった。6月は下落したものの下落率は非常に小さく、2万円台をキープしたことから底堅い動きだった。
だが、7月に入って一転して大荒れ模様に。ギリシャの国民投票で緊縮案の受け入れが否決されたことに加え、中国市場の急落に巻き込まれて日経平均株価は一時19115円まで下落。しかしその後は、ギリシャの金融支援を巡るEU首脳会議における合意、さらにギリシャの財政改革法案の可決、加えてECBのギリシャへの緊急流動性支援の上限引き上げで安心感。また、中国市場が落ち着いたことで大きく買戻される展開となった。
急落前の水準を取り戻したことでマーケットは安堵感を取り戻したが、一方では一巡感が出てきている。ここから株価水準が切り上がるかどうかは今まさに始まった決算発表にかかっている。最近の決算発表における株価反応は非常に感応度が高く、イベントドリブンの様相が強まっている。銘柄の選別が一段と進むことが予想される。
弊社のモデルポートフォリオでは、決算内容を見ながら銘柄の入れ替えや個別銘柄の投資ウェートの増減など必要な措置を積極的にとっていく方針である。個人投資家の皆さんにおいても、そうした作業をじっくりおこなっていただきたい。それこそが投資家として成長するかどうかに直結する大事なポイントだ。
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太田忠の縦横無尽 2015.7.23
「上昇が試される1Q決算 ― 森を見ず木を選べ」