日経平均2万円達成の条件 | 太田忠の縦横無尽

日経平均2万円達成の条件

1月もいよいよ第4週となり、すでに実質的には2月相場入りとなっている。今年に入ってから、マーケットのボラティリティの高さに拍車がかかっており、かなり戸惑われている投資家の方々も多いと思う。


さて、12月のポートフォリオの状況ならびに「日経平均2万円達成の条件」についてコメントしてみたいと思う。


12月のマーケットは日米市場ともにボラティリティが大きい展開となった。


米国市場は続伸しNYダウは史上初の18000ドル台乗せ。11月の雇用統計は+32.1万人と事前予想の+23万人を大幅に上回り、小売売上高も+0.7%と好調。しかしながら、原油先物相場が一時53ドル台にまで下落しルーブルが急落したため、NYダウは一時17068ドルを付けた。ロシアは政策金利を10.5%から17.0%へ引き上げ、その後はやや落ち着く展開に。注目されたFOMCでは金利引き上げに「相当の期間」、金融の正常化には「忍耐強く」との文言が入ったことで金融緩和が長期化するとの見方が広がったことや、7-9月のGDPの確報値が速報値から1.1ポイント上方修正され11年ぶりの高水準となる年率+5.0%を記録したことを好感。12/29現在におけるダウは18038ドルと前月より210ドル上昇し月間騰落率は+1.2%。ナスダックは4806となり15ポイント上昇の+0.3%となった。


日本市場は大きく乱高下し激しい展開に。7-9月のGDPが-1.6%から-1.9%に下方修正され、原油安、ロシア不安、欧米株式市場の下落により為替は一時115.50円まで上昇。日経平均は一時16755円を付けた。その後は徐々に買戻しの展開となり、米株高や米国経済の好調を受けて上昇。売買代金はクリスマス休暇に入ると2兆円を切るレベルまで商いは細った。なお、今年の大納会は3年連続の高値とならなかった。12月の日経平均は17450円で取引を終え、11月末の17459円から9円下落し月間騰落率は-0.1%。またTopixは-0.2%の下落となった。一方、小型株市場はジャスダック平均が+0.2%、マザーズ指数は-5.2%となった。


2014年の年間の市場別パフォーマンスを見ると、日経平均が+7.1%(昨年+56.7%)、Topixは+8.1%(同+51.5%)。小型株市場はジャスダック平均が+15.1%(同+45.3%)となったのに対してマザーズは-5.2%(同+137.2%)と下落した。今年のマーケットは年初から4月まで、ならびに10月に大きな調整があったが、全般的には昨年までの上昇トレンドを維持した。


太田忠投資評価研究所のインターネットによる個人投資家向け「投資実践コース」 における12月のパフォーマンスは-0.5%となり、年初来は+3.6%(11月末+4.2%)、累計では+148.5%(11月末+149.8%)で着地。保有株式のウェートは11月末の90%から81%へ低下。ヘッジ戦略をおこなっていないためネットロング比率は81%となった。ポートフォリオにおいて新高値を付けた銘柄が先月の14銘柄から12銘柄へやや減少。


2015年における市場関係者のマーケット予想はほとんどが「強気」であるが、その期待をあざ笑うかのように年初から波乱含みの展開となっている。大発会の日経平均株価は2年連続マイナスの42円安、2日目は525円安と急落を演じた。「急激な原油安によるカントリーリスクと信用不安」「ギリシャの政治不安」「欧州の景気減速懸念」「円高への揺り戻し」などの要因を背景としている。日経平均はようやく昨年末の水準を回復しているものの、今後はさらに「米国の利上げ」を筆頭として、「国内GDPはまさかの3四半期連続マイナス?」「値上げ頻発による消費の落ち込み懸念」などのリスクが目白押しになると思う。


従来は、こうしたリスクに対して受け身的な姿勢を取りつつマーケットは株価形成をしてきたが、今は全く違う。ヘッジファンドを中心とする投機的資金が「仕掛け的」に勝負するようになっている。しかも大規模資金が動くのでその影響は大きい。。要するにマネーゲームである。マネーゲームを自発的に起こす行動が頻発している。


ボラティリティが大きいと一見「リターンも大きく取れる」と思ってしまうが、実は逆だ。ボラティリティが大きければ大きいほど、ちょっとしたタイミングのミスが投資成果を著しく傷つけることになる。それをまざまざと見せつけてくれたのが昨年である。多くのヘッジファンドが閉鎖に追い込まれた。「安く売って、高く買い戻す」「すぐにやられて投げ売りする」「日銀の金融緩和で裏をかかれて、また高く買う」というまるで素人のような衝動的な行動ばかり目についた。自分で波を起こしてカッコよく波に乗るはずのサーファーたちは惨めにも溺死していったのである。一方、国内の個人投資家は勝者だった。ヘッジファンドの逆手をいくことでリターンをつかんだ。日銀や信託銀行も安値では必ず買った。


今年も日本企業が好業績を続けるならば、12年を起点とした4年連続上昇への期待は自然な流れだ。ただし、条件がある。15年度が業績のピークになれば、15年中に早くも下落相場に入る可能性が高いということである。


業績と株価推移の長期的な関係を見ると、業績ピーク時の半年前には株価はピークを打ち始める。最高決算が発表されても、その時にはすでに株価は「かなり下がっている」のがお決まりのパターンである。したがって、15年のマーケットが無事プラスとなり、多くの市場関係者が予想する「日経平均2万円」を年度末に向けて達成するためには、実は16年度の企業業績が増益となることが重要なカギとなる。16年度はすなわち17年3月期であるが、今のところあまりにも諸条件が流動的であり「まだ読めない」というのが本音である。その結論が出てくるのは、今年の夏から秋にかけてだと私は考えている。したがって、そうした動向を慎重に見守っていきたい。


日経平均が2万円台乗せを目指す展開になれば、モデルポートフォリオにおいては累計+200%のパフォーマンスの達成を年内に視野に入れつつ、運用資産の積み上げを狙っていきたいと思う。


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太田忠の縦横無尽 2015.1.28

「日経平均2万円達成の条件」

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