昨年来高値更新を試す局面へ
8月に日本列島を横断した台風11号の後、まるで梅雨のシーズンと同じような梅雨前線が停滞し、各地に多大な被害を及ぼした。一転して、猛暑は影をひそめたまま秋の気配に突入している。昨年は特にそうだったが、今年も6月の初旬には真夏で記録するような気温が連発し、8月中旬には秋の気配である。夏の到来が前倒しになった印象が強い。
さて、8月のモデルポートフォリオのご報告から。8月のマーケットは米国市場が反発したのに対し、日本市場は反落となった。
米国市場は反発。7月は6ヶ月ぶりに下落したが、8月のNYダウは535ドル上昇して2月(+622ドル)以来の上げ幅となった。7月において懸念事項であったポルトガルの金融不安やアルゼンチンのデフォルト問題が後退し、中東やウクライナ情勢も沈静化に向かった。一方、米国のマクロ経済指標は好調であり景気拡大への期待が高まったことで買い優勢となった。また政策金利の引き上げが早まるとの見方からドル高が進んだ。8月末におけるダウは17098ドルと前月より535ドル上昇し月間騰落率は+3.2%。ナスダックは4580となり210ポイント上昇の+4.8%となり2000年3月以来の高値を記録。S&Pは史上初の2000ポイント台乗せとなった。
日本市場は利益確定売りで反落し4ヵ月ぶりの下落となった。1Qの決算が出揃ったが市場予想よりも進捗状況は高くなった。好決算銘柄が買われ、不振銘柄は売られる業績相場の様相を強めた。売買代金は連日2兆円を割り込む日が続き、大型株の値動きが鈍い一方で中小型株が買われる展開に。為替は対ドルで104円台と7ヶ月ぶりの円安となった。8月の日経平均は15424円で取引を終え、7月末の15620円から196円下落し月間騰落率は-1.3%。またTopixは-0.9%下落した。一方、小型株市場はジャスダック平均が+3.4%、マザーズ指数は-1.2%となった。
太田忠投資評価研究所のインターネットによる個人投資家向け「投資実践コース」 における8月のパフォーマンスは+3.1%となり、年初来は-0.3%(7月末-3.3%)、累計では+139.0%(7月末+131.9%)と前進した。保有株式のウェートは7月末の83%から変わらず。ヘッジ戦略をおこなっていないためネットロング比率は83%となった。ポートフォリオにおいて新高値をつける銘柄がポートフォリオの組み入れ全体の約半分となり、パフォーマンスを牽引した。1Qの決算発表を受けて8月はポートフォリオ銘柄の入れ替えを積極的におこなった。
8月は4ヶ月ぶりにマーケットが下落したものの、短期的上昇に対する「利益確定売り」の側面が強く、4月を底にした上昇トレンドは崩れていない。心配されていた米国市場も立ち直りつつあり、景気に対する期待値は高まってきている。
9月に入り日経平均が一時的に15,800円台を付けるなど、年初来高値を意識した動きが目立っている。安倍改造内閣の支持率アップ、GPIFの株式買い増しへの期待、NISAの投資枠拡大や子どもNISAの導入、米国景気拡大、中東・ウクライナ情勢の鎮静化などポジティブな要素が目立っており、引き続き上値を試す展開が期待できる。為替が対ドルで106円台と5年11か月ぶりの水準にまで下落しているのは明らかな追い風である。米金利の先高観は今後強まると予想されるため、110円台を目指す展開が期待される。
昨年末の16,291円の突破は早ければ今月中が予想される。モデルポートフォリオは9/5時点において年初来パフォーマンスが+0.8%とついにプラス転換した。今年の高値は1月10日の+3.2%(累計+147.4%)であったが、こちらも射程距離圏内になってきた。
1Q決算は総じて好調であり、2Q以降も期待が持てる。業績相場の様相は大いに歓迎である。ポートフォリオはマーケットの流れに乗るために7月~8月にかけて積極的に入れ替えをおこなってきたが、その成果が着実に出てきている。「好業績」「上方修正」「新高値」銘柄にてポートフォリオを強化し、9月もさらに一層の運用資産の積み上げをおこなっていきたい。新たな気持ちで運用資産の積み上げに邁進する。
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太田忠の縦横無尽 2014.9.9
『昨年来高値更新を試す局面へ』
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