春もいよいよ間近に:なごり雪 【イルカ】-太田忠(ピアノ)
今日は2月29日。4年に1度しかやってこない暦である。東京でも未明からの雪で、一面の銀世界。ますます雪は本降りとなっている。
「なごり雪」はかぐや姫時代に書かれた伊勢正三の作品(作詞・作曲)であり、彼らの4枚目のLPアルバム『3階建の詩』に収録されたのが1974年。じわりじわりと有名になり、翌1975年11月にイルカがカバーして大ヒットとなった。今から40年近く前の曲であるが、世代を超えて受け継がれている曲と言ってよいだろう。若い人もよく知っている。
私がちょうど小学6年生の頃の曲であり、確かラジオ番組で伊勢正三が「なごり雪はボクが初めて作詞・作曲をした曲です」と言っていたのを聞いて、「いや、才能のある人は第1作目からすばらしい曲を作るもんだな」と私は感心した記憶がある。
この曲はドラマ仕立てであり、映像的イメージが非常に濃い。厳しい冬が終わって、さあこれから春というところで別れがやって来る。その切なさが聴く人々の心にじわりと伝わってくる。
「汽車を待つ君の横で僕は時計を気にしてる」
という出だしから、同音での16分音符の連打が続き、これはピアノではとてもやりづらいのだ。歌っているとあまり気にならないが、曲が同音の16分音符の連打で作られているケースというのは非常に少ないと思う。一歩間違えば、まるで平坦なお経のような感じになってしまう。ピアノを弾くときにはまず、この点の克服が必要である。
そして、イントロおよび間奏部分で、ピアノの88健の一番高い音「ド」を弾くことにチャレンジした。今までピアノの譜面で、最高音を弾く楽譜に私はお目にかかったことはないが、どうしてもこの曲ではそういうことがやりたくなったので、アレンジしてみた。また、曲全体は2コーラス半であるため、サビの部分が3回出てくるが、1回目→2回目→3回目と回を追うごとに音符の数を増やし、盛り上がるようにしてみた。同じサビを繰り返していたのではまことに味気ない。そして、エンディングは「君が去り、一人ホームに残された自分」の目に雪がひらりと落ちるのが映って物語は終わる。
太田忠の縦横無尽 2012.2.29『春もいよいよ間近に:なごり雪【イルカ】-太田忠(ピアノ)』 **太田忠投資評価研究所のHPはこちら**