オリンパス問題の徹底解明を望む
それにしても、今回のオリンパス事件はひどすぎる。
本業が厳しいからといって素人が巨額の財テクに走る ―。
損失を開示できないからといって粉飾決算をおこなう ―。
そして、過去の損失を隠ぺいするために、実体のない買収によるあきれた偽装工作に走る(それにしてもお粗末すぎる中身だが) ―。
偽装工作のM&Aにおいて何百億も手数料を払ったことを問われて「正当な対価だった」と主張し続ける ―。
どれもこれもが、日本が世界に誇る光学・精密機器メーカーからは想像もできない姿である。そして、その醜態が露わになりつつある。ちょっとギャップが激しすぎて私には理解できないことばかりだ。
有価証券報告書虚偽記載にかかわった人物すべての刑事責任が問われるのはもちろんのこと、株主ならびに社員はこの悪質な事件に関してもっと強く主張すべきであろう。それくらいおぞましい事件である。なぜ、こんな大胆な悪事ができたのか不思議である。
海外投資家からの日本の会計システムならびにコーポレートガバナンスに対する目は厳しさを増すばかりだ。すでに世界的な相対的地位が低下している日本マーケットであるが、さらなる地盤沈下は避けられないように思う。単なる一企業の問題として片付けられるものではない。監査法人やアナリストの存在意義も問われるだろう。
とにかく、経営判断のミスによる失敗をこそこそと隠し続けたがために、株主価値が致命的に失われるという事例が今後起こらないよう、オリンパス問題の徹底解明を望む。
それにしても、上場廃止になりかねない事態が起こり、連日ストップ安しているのにもかかわらず、膨大な出来高ができるのは不思議である。新規の投資家たちは、何を期待して買っているのだろうか?
太田忠の縦横無尽 2011.11.9
『オリンパス問題の徹底解明を望む』