リン・ヘイテツ ジャズピアノ・ソロライブ
5月15日(日)に私が主宰するスタジオ・マルルー
にて「リン・ヘイテツ ジャズピアノ・ソロライブ」を開催した。
リン・ヘイテツ氏は若手ジャズピアニスト・ナンバーワンの実力を持つスーパー・ピアニストである。ピアノを自由自在に操り、その多彩な表現力には圧倒される。まさに華麗なるマジシャンである。
私がリンさんのピアノを初めて聴いたのは東京倶楽部でのライブであった。ヴォーカル、ベース、ピアノという組み合わせのジャズライブだったのだが、ベースとのインストにしてもヴォーカルの歌伴にしても、今まで聴いたピアニストとは一味も二味も違うアプローチの仕方で表現をするのだ。
ヴォーカル担当のMAHOさんが
「太田さん、リンさんはすごいピアニストなんですよ」
とライブの開始前に言っていた意味がすぐに理解できた。
常に何かをイメージしながら曲を弾いているのが大きな特徴で、聴く者にも「映像」を想起させる力を持っている。リンさんがどこかで書いていた記事で「あるギタリストのオリジナル曲“Green in the Dark”が、本来ならばグラント・グリーン(有名なジャズギタリスト)のことなのに、勝手にgreenを解釈して深海に漂うワカメや昆布をイメージしながら演奏していたので悪いことをした」という吹き出しそうなエピソードがあるくらいで、ワカメや昆布でさえもピアノで意欲的に表現しようとするのだ。かと思うと、洒落っ気の効いた独創的なフレーズが飛び出してきたりする。決して眠気を誘わないピアニストなのである。
このマジシャンのために、いつものように専属のコンサート・チューナーの磯村さんに前日にピアノを完璧に仕上げてもらった。また、今回は「音が最も美しく響く」ようにピアノの位置も通常よりも客席側に横向きに設置。日頃はサントリーホールや東京文化会館で仕事をしているだけに、こういうことにはこだわりをもってくれる。1時間近くもかけて「ああでもない、こうでもない」と試してみた。ありがとう磯村さん!
MC(演奏の合間のおしゃべり)は苦手だということだが、「リンさんのMCは面白いので、ぜひいつものようにやってくださいよ」とお願いしたのだが、けっこう皆の笑いを誘ってくれるおしゃべりだった。うーん、なかなか絵になっているね。
ライブは1st Stageと2nd Stageの2部構成でアンコールを入れて全12曲。曲についてはYouTube映像にて間もなく紹介する予定である。すばらしい演奏の数々である。
ライブの後は、皆でシャンパンで乾杯してお待ちかねの立食パーティーへ。料理とワインは妻が主宰する料理教室のサロン・ド・マルルー に協力してもらい、15品の料理・デザートをサーブしてもらった。満員御礼で約30名の大人数だったため、とても賑やかだった。
この手のパーティーをやるたびに毎回思うのだが、特に我々大人にとって「非日常」は大切である。日常に埋没してしまうと本来持っているはずのいろいろな可能性を無くしてしまうからだ。それを思い出す必要がある。私にとってもこのイベントは「日常」決して味わうことのできない経験であり、多くのすばらしいことを与えてくれる。
最後に日曜日の夕刻という時間帯にもかかわらず、ご参加下さった皆様、どうもありがとうございました!
太田忠の縦横無尽 2011.5.17
『リン・ヘイテツ ジャズピアノ・ソロライブ』