ボジョレーヌーボー2010
11月の第3木曜日はボジョレーヌーボーの解禁日。
我が家でも早速、取り寄せたボジョレーの1本目を11月18日に楽しんだ(横に転がっている空ビンがそれである)。
ボジョレーはフランスのブルゴーニュ地域にある大きなワインの生産地区であり、ブルゴーニュの赤ワインの特色であるが、その色は透きとおった薄い赤である。ブルゴーニュワインの対極がボルドーワインであり、こちらの赤ワインは濃い赤なので透かしてみても写真のようにはならない。長期熟成のワイン(ボルドー)と非長期熟成ワイン(ブルゴーニュ)との違いである。
ボジョレーヌーボーはおそらく日本人に一番耳慣れたワインの種類だと思うが、ボジョレーワインの中でも今年収穫した葡萄のみを使用し、わずか数週間で醸造して試飲新酒(ヌーボー)として出荷されるものである。一般的なワインの造り方とはかなり異なる特殊なものであり、しかもガメイという品種の葡萄が使われるのが特徴である。だから日本においては特殊なものが最もポピュラーということになる。
ボジョレーヌーボーが日本でも有名になったのは確か1980年代の終わりのワインブームの頃だと記憶する。会社の上司が「ボジョレーヌーボーって知ってる?今日解禁日だから皆で飲みに行かない?」などと誘われた時に、私は初めてその名を知った。が、飲んでみるとおいしくないのだ。軽い味わいだが、熟成したブドウのやさしい味がせず、人工的な風味で苦味が口の中に広がる。少しなら飲めるが、とてもたくさん飲める代物ではなかった。
その感覚はずっと続き、結婚した頃に私は妻に言った。
「ボジョレーって、あまり好きではないんだよね。人工的で馴染めない味がする」
「あ、それはたぶんガメイだからよ。来年からちょっと違うタイプのボジョレーを注文するわ」
妻はソムリエの資格を持っているためワインに詳しく、通常のボジョレーは止めて写真のワインに切り替えた。
(写真左から)
フレデリック・コサールのラパン
フィリップ・パカレ
ルロワ
ルイ・ジャド
ジョゼフ・ドルーアン
である。通常は左の3本だけを注文するのだが、今年は嬉しいことにルイ・ジャド、ジョセフ・ドルーアン、フィリップ・バカレの3本をいとこからもらったので、全部で6本である(楽しみが2倍に!)。
これらももちろん品種はガメイであるが、味的にはピノ・ノワールに近いので味わいがまろやかでボジョレー臭さがないので気に入っている。
2009年のボジョレーは50年に1度の出来栄えと言われたが、今年は春の低温に加えて、夏前に雹の被害が出るなど試練の年となり収穫量は例年に比べて少ないそうだが、きちんとした生産者が作ったワインの出来はまずまずらしい。我が家で味見した限りでは、去年とほとんど変わらない。しばらくボジョレーで楽しめそうだ。
太田忠の縦横無尽 2010.11.20
『ボジョレーヌーボー2010』